ビーティー・アド(東京都町田市、初川四郎社長)は、ホタルイカの遺伝子を導入した真菌などを利用し、電力を使わずに発光し続ける塗料型の資材を開発。店舗の屋外看板やカラーコルトンで実証実験を行う。複数の大学とベンチャー企業との連携で実用化を目指す。
《この記事はエイプリルフールの“ネタ”でした》
バイテク・薄膜・界面活性剤の技術を結集
開発した素材は、空気中の窒素を固定する根粒菌、光合成細菌、ホタルイカ等の遺伝子を導入した真菌など複数の生物を混合したもの。根粒菌と光合成細菌から栄養を得た真菌が体内でアデノシン三リン酸とルシフェラーゼを生成して発光する仕組み。
現在の発光量は単位面積当たりの比較で20Wの電球程度。今後、真菌の改良と施工面の複層化などで60Wから最大100W程度まで高めたい考え。
今月から東京・豊洲のコンビニエンスストアの外看板(ポールとカラーコルトン)で実証実験を行う。発光量はまだ十分ではないが、「節電のために消灯しているよりは視認性が上がる」(初川社長)。
当初、発光バクテリアを用いて研究を開始したが、必要となる塩分を含む培地が他の生物の障害となり、施工対象の腐食も問題となった。ホタルイカ遺伝子を導入した真菌の研究との出会いで実現の目処が立った。
3つの生物素材の応用には、3つの大学・大学院の研究室が持つシーズが利用される。関係する各大学・大学院の研究室については、それぞれ利益相反がないか確認中のため、現段階では非公表としている。
真菌の発光にはマグネシウムとリンの供給が必要となるが、千葉県のベンチャー企業が持つ薄膜技術で必要な成分を施工面に蒸着することで半永久的に対応可能となるとしている。また、生物素材を適正な配合で混合して保持し、保水力も持たせるためには、他の企業が持つ界面活性剤の技術も取り入れている。
「夏の電力危機に間に合わせたい」
当初看板用に開発に着手した技術だが、壁面への施工で屋内照明にも利用できる可能性がある。初川社長は「開発のスピードを上げて、今夏の電力危機に間に合わせたい」としているが、同社といくつかの研究室が計画停電の影響を受けており、「計画よりは遅れぎみ」となっている。同社では開発の拠点を京阪神へ移すことでの対応を検討している。
同社ではこれまでにもラジウム化合物、プロメチウム化合物といった自発光素材を用いた看板の研究を行い、複数の特許も持っているが、「放射線を出す物質に逆風が吹く中、店舗側の理解は得にくい。今後は生物系新素材にリソースを集中する」(初川社長)。