健康食品に限らず、テレビ通販といえばコメンテーター。オールナレーションで制作する番組もありますが、やはりスタジオの臨場感を出すには、コメンテーターの存在は欠かせません。そんなコメンテーターさんたちのオハナシを……。
「コメンテーターって言っても4種類あるんですよ」
テレビ通販番組で「みなさん、コレがすごいんですよ~!」と紹介しているコメンテーター――そもそもいったいどこの誰なんでしょう? その「所属」はいくつか種類があります。
(1)フリーのアナウンサー事務所に所属し、色んな商品を紹介する人
(2)商品のメーカーが雇った、その商品専属の人(1も含まれます)
(3)商品のメーカーの社員(たまたましゃべりが上手く、紹介している人)
(4)テレビ局所属のアナウンサー
という感じ。
まずは話が簡単な(4)の「局アナ」からいきましょう。多くは説明はいりませんよね。流れとしては、「テレビ局の広告営業さんが紹介する商品を獲得してくる→制作が台本を作る→アナウンサーが紹介する」ということです。
でも、テレビ通販に出る方で多いのは(1)フリーのアナウンサー事務所に所属している人の方ですね。
「フリーのアナウンサーって、まぁフリーターなんですが」
「アナウンサー」と「コメンテーター」という語句が入り交じっていますが、別に区別はありません。どっちも「しゃべってる人」と思ってください。ただ、制作現場では「アナウンサー」と言うと、“テレビ局所属の社員のアナウンサー”を指すことが多いので、そうでない場合はコメンテーターという呼び方をする、というような感じです。
で、「フリーのアナウンサー」ってどんな人たちかというと、一言で言うとフリーターですね。収入や知名度はピンからキリまで。「テレビ局を結婚とともに退社。CM出演も解禁になって収入ウハウハ♪」という人がピンなわけですが、キリはというと「タレント事務所に所属してる、名刺もある、その事務所のホームページに名前ものっている、けど仕事はない」みたいな。正直言って、事務所を選ばなければほとんど誰でもなれます。実際、ほぼ全く何もしてくれないけど、“所属タレント”として「フリーのアナウンサー」を抱えている小事務所は多数あります。
「“事務所に所属”ってことはマネジャーがいて、仕事を手配してくれるんでしょ?」と思う方もいるかもしれませんが、それは売れっ子だけ。無名の人にマネジャーなんか付くわけないです。
タレント事務所がお金を得る仕組みは、「事務所所属のAさんが番組に出たら、出演料として、番組から事務所にギャラが入る」→「事務所は何割か引いてAさんに払う」というものですから、多くは出演オファーがない人の世話など焼いてあげません。なので、無名のアナウンサーたちは、割と自ら営業してあるいて仕事を取ってきています。
まぁそんなのでは家賃も払えないですから、多くの“キリ”の方々はバイトしてます。普通のフリーターと同じく、居酒屋とかで。そうしながら出演キャリアを重ねていって、「へぇ、いろいろやっているんですねぇ」と履歴書上でも信頼を得て、さらに職務経歴書の行数が増えていって、いつしかしゃべりの仕事だけで食えるように……となっていくわけです。
まぁこのあたりは、フリーのアナウンサーに限らず、芸人やタレントもしかり、構成作家やカメラマン、デザイナー、雑誌のライターなどなど「フリー」の方々は似たようなものですよね。
「カンペなしでお話できちゃう人たちなんですよ」
話が広がり過ぎましたが、フリーのコメンテーターとして通販番組に出演している方々は、こんなふうに徐々に信頼を得ていって、仕事を勝ち取ってきたというわけです。
そんなみなさんを見ていてスゴイなぁ~! と思うのは……記憶力! 自分がかかわった通販番組で驚きましたよ。「ほとんどカンペがない!」んです。
この驚きにはちょっと説明が必要だと思います。
「カンペ」はもうみなさんご存知「カンニングペーパー」ですね。セリフや動きの指示をスケッチブックに書いたりして出演者に見せるという。
で、実は一般的な情報番組やバラエティ番組は、ほぼ“オールカンペ”です。知名度がある番組ほどそうで、台本を全く見ていなくても進行できるようになっていることがほとんど。あれはなぜなのか、よくわからないんですが、制作側から出演者への礼儀みたいなものなんでしょうかね?
ですが、あくまで私がかかわったものですが、通販の場合……ほぼカンペなし! あっても「商品名だけ」とか、ホントわずかでした。
コメンテーターが話さなくてはいけないコメント、つまり商品の特性、機能、そして会社名なんかが、一般の番組よりも圧倒的に多いにもかかわらず、です!