テレビ番組は、もんのすごくたくさんの人たちがかかわって出来ていることは今や皆様ご存知だとは思うのですが、「いろんな人たちって何してるの?」ということについてちょいと書いていきたいと思います。でも「テレビのスタッフとは」みたいな就職参考書みたいなこと書いてもツマンナイわけで、現場目線から、そしてとくに「通販の場合」目線で書いていきたいと思います。まず最初は、通販だからこそ出会えた“本当にスゴワザすぎるおばちゃんたち”!
「ナマの迫力です」
スタジオで展開する通販番組を見ていると、大げさな相づちや納得するオバサマたちの声を聞くこと、ありますよね?! たとえばスゴイ洗剤を売る番組だと……。
――さあ、この洗剤がいかにすごいか見てもらうために、このジュウタンにケチャップこぼしましょう。
「アァ~アァ~……」
――そしてソースもこぼしましょう。
「アアアァ~アァア!」
――さらに、落ちませんよ~、醤油もドボドボ~。
「ワァワァアアア……」「ウソー」
――こうなると奥様方もう手に負えないでしょ?
「ウンウン」
――でもこの洗剤を一吹きすると!……あらキレイ!
「エェエエ!」「ワァアア」(拍手)
以上「 」内は観覧客の声。大げさな相づちというのはこの「エェエエ!」とかのことなのですが、私はスタジオ収録の現場に行くまで、あれは効果音をあとからのっけていると思ってたんです。しかし、違うのです! あの声、ナマでおばちゃんたちがリアクションしていたのです!!
「もはや名人芸ですよ、ホント」
初めて通販のスタジオ観覧に行ったとき、客席にはおばちゃんたちがズラーリ。筆者は何の説明も受けていなかったので、本当にただの一般客だと思ってました。
ところが、収録が始まって衝撃! そのおばちゃんたち、観覧客のような形で来てもらっている“相づち屋さん”“歓声屋さん”だったんですね(業界では「笑い屋」と呼ばれることが多いですかね)。
20人くらいだったかな~。あの現場を見たときの衝撃はホントに感動しました。テレビで見るあの“大げさな相づちや笑い声”が目の前で、ナマで! しかも感激するのタイミング、声を挟むタイミングを、おばちゃんたちは心得ていて全くハズしません! ディレクターが事前説明したり、台本も一切読んでない。でもすべてが絶妙のタイミングなんです。困った嘆きの声、驚きの歓声、喜びの喝采、「ココ!」というバッチリのタイミングで入ってきます! しかもその後、番組側が視聴者にしっかり聞かせたい商品の説明などのところになると、ピタッ! と無言。聞きやす~くメリハリつけてくれるんです。
「おばちゃんたちの正体は……タダのおばちゃんらしい」
こうした「笑い屋」さん、昔はコント番組にはよく呼ばれていたらしいです(「ド、ド、ドリフの大爆笑~」には必ずついてましたよね)。ですが最近は、音の調整技術も発達しましたし、効果音サンプル(事前に録音してある出来合いの音声)でこういった歓声も業界にはあふれている昨今。実際に「笑い屋」さんを呼ぶことは少なくなっているようです。
でもねぇ~、現場に「笑い屋」さんがいてくれた方が断然よいナと思いました。というのも、ただ「アァアアアア」などの音としての声を出すだけじゃないんですよ、「笑い屋」さんは。中にはベテランらしい人もいて、喜びの声のあとに小さな声で「スゴイ」とか「ステキー」「ほしいわぁ」とか一言、つぶやくんですよ。これが商品の売りドコロとリンクしていいんですよね。
で、このおばちゃんたち、一応プロダクションに所属している(というか、プロダクションを通して集められる)そうですが、普段は何をしているかというと……主婦とかおばちゃんをしているそうです!! こうした収録があるとき、日給数千円(時給千円いかないくらいらしい)で集まってくれるそうです。
まあ似たようなことは「番組観覧のバイト。登録制」なんていうのもよく見かけますが、その多くは、ただ見ていればいい程度。ところが、あのおばちゃんたちはホントに名人芸だったですねぇ~。歓声を上げる以外は限りなく素人さんの“一般の客”なので、制作側からお弁当も出ません。だから、昼休みのランチタイムとなると……おばちゃんたちは慣れたモノで、ご持参のお弁当を客席で広げて モサモサ食べていらっしゃいました。
さらに、このおばちゃんたちのリアクションがすごいのは、視聴者にリアクションが伝わってすごい、っていうだけじゃないんです。もう1つ、いや2つ、何がすごいのかは、次回お話しましょう。