- 牛丼市場に「焼き」ブーム
- 外食企業の海外進出、中小店が積極化
- ノロウイルス、感染患者が高水準で推移
- ワイン人気続く
- レバー刺し規制、始まる
- 「俺のフレンチ」など「俺」シリーズ、人気集める
- チムニー、MBOから再上場へ
- ピザ、パスタなど「粉もの」業態に新展開
- レインズ、コロワイド傘下に
- すかいらーくの会長に米国マクドナルド元社長が就任
1. 牛丼市場に「焼き」ブーム
三光マーケティングフーズが2011年から展開している「東京チカラめし」が急速に店舗展開を始めたことをきっかけに、牛丼マーケットで“焼き”商品が次々と投入されている。「東京チカラめし」の「焼き牛丼」に対抗して、「吉野家」が「牛焼肉丼」を、「松屋」が「焼き牛めし」と「焼き豚めし」を販売した。
飽和市場と言われた牛丼マーケットで「東京チカラめし」がある程度の実績を示したことで、既存の牛丼チェーンも無視できない存在となっている。「東京チカラめし」事業は現在のところ赤字の模様だが、来期以降は黒字展開を果たす見通しだ。
2. 外食企業の海外進出、中小店が積極化
外食企業の海外展開が本格化している。これまでは大手中心だったが、数店から10店程度を展開する中小企業が新天地を求めて海外に出ていることが特徴で、進出先は、中国や台湾だけでなく、シンガポールやタイ、インドネシア、ベトナムなど、東南アジア各国に広がっている。人口減少が続き、先行き不透明な日本市場よりも、成長性が高く、可能性があるアジア市場に打って出る企業が増えている。
3. ノロウイルス、感染患者が高水準で推移
ノロウイルスを原因とする食中毒や感染性胃腸炎が流行の兆しを見せている。例年、ノロウイルスは冬場に感染者が増えるが、厚生労働省によると、2012年11月時点で、過去最高の患者を出した2006年に次ぐ数の感染者が出ており、厚生労働省は注意を呼び掛けている。
4. ワイン人気続く
ここ2~3年、盛り上がっているワイン人気が2012年も引き続き、勢いを保っている。国産・輸入を合計したワインの課税数量は、2008年から4年連続で前年を上回っているが、2012年も4月から9月までは、前年を上回る数字となっている。とくに2012年は、11月に解禁となるボジョレー・ヌーボーに関して、大手小売店が低価格の大量販売を行ったこともあり、通年での前年越えがほぼ確実な情勢。
飲食店においても、ワインバル、ワイン食堂などのワインを主力としたカジュアルな店の開店が相次いでいる。
5. レバー刺し規制、始まる
7月から牛の生レバーの提供が禁止された。2011年に牛の生肉をユッケで食べたお客がO157により集団食中毒で死亡したことを受けた措置。牛の他の内臓部位や、鶏刺しなどについては、現状のところ規制の対象となっていないが、鶏肉についたカンピロバクターを原因とした食中毒はここ数年高水準で発生しており、肉の生食のリスクを改めて考える契機になっている。
6. 「俺のフレンチ」など「俺」シリーズ、人気集める
高級フランス料理店や高級イタリア料理店出身の料理人が作った本格的な料理を「立ち飲み」価格で提供している「俺のフレンチ」や「俺のイタリアン」が大きな人気を集めた。フォアグラを載せたステーキが2000円台で食べられるなど、コストパフォーマンスの高さにお客が開店前から並び、それをテレビなどのマスメディアが取材することで一層お客が行列するという循環が生まれている。
原価率を高め、客数で粗利益額を稼ぐというビジネスモデルがいつまで成り立つか、出店場所が限られるのではないか、などの指摘もあるが、2012年に最も注目を集めた業態となった。
7. チムニー、MBOから再上場へ
居酒屋大手のチムニーが2012年12月に東京証券取引所市場第二部に再上場を果たした。ジャスダック上場していた2009年に投資ファンドのカーライルグループの支援でMBO(マネジメント・バイアウト/経営陣による買収)を実施してから3年での再上場となる。
MBOでファンド傘下となった企業が再上場したのは3社目で、外食では初。チムニーは居酒屋「はなの舞」など600店余りを展開する。
8. ピザ、パスタなど「粉もの」業態に新展開
ピザやパスタなど、いわゆる「粉もの」業態に新しい動きが次々出ている。ピザ、パスタ、サラダバーなどが1480円で時間無制限で食べ放題になり、東海圏で人気を誇る「ヴォーノ・イタリア」が関東圏に進出を果たしたほか、焼き立てピザをファストフード感覚の低価格で提供する「ナポリス」も首都圏で店舗展開を始めている。イタリアンFRのサイゼリヤも、200gで290円という低価格パスタ店の実験店を出店しており、「粉もの」業態の低価格化とファストフード化が急速に進みそうだ。
9. レインズ、コロワイド傘下に
焼肉チェーン「牛角」などを展開するレインズインターナショナルが居酒屋大手のコロワイドの傘下に入った。MBOの結果、大株主となっていたアドバンテッジ・パートナーズが持ち株をコロワイドへ売却した。コロワイドは食材調達面での相乗効果を狙い、株を取得した。
日経MJの飲食業調査によると、レインズは店舗売上高ベースで12位。20位以内の大手企業が他の外食企業の傘下に入るのは初となる。
10. すかいらーくの会長に米国マクドナルド元社長が就任
外食大手のすかいらーくが、元米国マクドナルドの社長兼最高執行責任者だったラルフ・アルバレス氏を代表権のある会長に招聘(へい)する。
日本の外食大手のトップに外国人が就任するのは珍しい。外食企業のトップは、創業社長か生え抜きのケースがほとんどだったなかで、他の企業を経験した外国人実務家が企業再建の舵取りをする初めてのケースとなる。
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