ニーズの高まりから、大手メーカーの参入もあるものの、ネタが下半身であるがゆえに、なかなかテレビ通販などでメジャーに売り出されない下半身系の健康食品。これを大々的に、真っ正面からアピールできるようにするにはどうしたらいいでしょうか、ってお話をします。
「下半身のイメージを変えなくちゃなんです」
前回、下半身のお悩みが「コレで解決しました!」と顔出して語ってくれる「愛用者」が、このジャンルではいませんですがなということを書きました。下半身系の健康食品をテレビ通販で売り出す難しさは、それもさることながら、そもそもの商品イメージにも原因があると思うのです。
つまり、このジャンルの商品がテレビ通販でもっとメジャーになり得るかどうかは、“清潔感”を与えられるかどうか、その壁を越えられるかによりますでしょうねぇ。
みなさんおわかりと思うんですが、「この商品で尿のお悩み解決しましょう!」「これで性を楽しみましょう!」というものは、“表”の、“昼間”の、“ファミリー”の、“メジャーな価値観”にはなってはいませんですよ。とにかく話題が下半身に行った途端、「下品なことを……」というイメージになっちゃうんです。
だから、メーカー自体も、とくに上半身で名声を得てきたメジャー企業であればなおのこと、「下半身で有名にはなりたくないなぁ~」と思っているんですよ。ここが、下半身系健康食品の最大の弱点です。
でも、ニーズがあることはわかっているので、テレビ通販業界では扱いたい機運はある。ならば、やはり清潔感を壊さない、新しい価値観を浸透させていくべきでしょう。私はそれを実現する可能性はあるんではないかなーと見ています。
「上半身だってイメージ変わったんですよ」
そもそもですね、上半身系の商品だって全部が簡単に市民権を得てきたわけではないんですよ。たとえば、最近は「美魔女」なんて素敵な言葉が出来て、そういう方を紹介する番組でも、ずっと若々しくきれいでいるための努力の部分も隠さないですよね。それから、昼間のカフェでお友達同士で化粧品とかお肌のお手入れとかについて話すときも、ナイショ話っぽくじゃなくて、フツーにお話してますよね?
でも! 今は簡単に口にできる「若返りたい」「もう○○歳だけどキレイになりたい」「何歳になっても恋を楽しめる女性でいたい」なんて希望も、ちょっと時代をさかのぼれば、バッシング対象でしたですよ。「いい年して何言ってんだ」「結婚してるのに恋がなどとはしたない」みたいに思ったり言ったりする人は少なくなかったわけです(ホントいい時代になりましたね~)。
そんな風に“若返り願望”に対する反感を緩和させ、むしろそれに向けて努力することはステキなことだと広げていったのには、社会の変化もありますし、その中での雑誌やテレビの影響も大きいでしょう。「歌は世につれ世は歌につれ」。“若返り願望”のイメージも、世の中が変えの、さらにメディアが変えので、“表”の、“昼間”のものに変わってきたんですね。
だから、下半身系商品にだって、どこかに突破口はあって、“表”の、“昼間”のものにできる可能性はあると思うんですよ。なにせ下半身お悩み人口は増えているという世の中の変化があるわけですから、メディアもキャッチボールに参加する番。何か手はあるはずだと思うんですよ。
下半身系のお悩みを解決したいと考えることも、別に不潔な話ではないこと、恥ずかしい話ではないこと、人生を楽しむ重要な要素であることと、とらえ直せばいいのです。企業がそのようにメッセージする覚悟と立ち位置を決めれば、まずその勇気ある一社が現れれば、状況を一気に変えることは不可能ではないと思います。
「脳からのアプローチってどうかなぁと」
もちろん、簡単ではないです。
「下半身の健康は人生を楽しむのにめっちゃ大事!」
と、表で、昼間に、ファミリーに向けて、さわやかに、清潔に、メッセージするには、そしてそれが受け容れられるには、相当に緻密な戦略がいるだろうなと。
その戦略について、個人的に思い付いていることを少々ご披露いたしますですよ。緻密な部分まではヒミツですが。
まず、2方向からのアプローチがあるかと。1つは割と誰もが思いつくことです。見ている人の好感と共感を背負える強力なタレントが前面に立って謳うこと。いわゆる“広告塔”というやつですな。
たとえば、以前ED(Erectile Dysfunction/勃起不全)に関するPRでは、サッカーの王様が出演していました。まあ、あれが世間の共感をどれだけつかんだかっていうところは、私にとっては“?”ですが。とにかくあのような存在です。
ただ、越える山はやっぱり高そうですから、そういう人が一名ではなく複数名必要だろうなぁと思います。でも、でも、これまた誰が引き受けてくれるのか、そんな人が何人もそろうのかと考えると、現実的にはなかなか難しいでしょうねぇ。
じゃあもう1つのアプローチは何かというと、“脳”です。最近よく語られる脳からのアプローチです。
下半身の問題が“下半身発・下半身行”では身も蓋もないまんま。そこにですね、“脳”に登場してもらうのですよ。これ、専門の先生方に聞いたわけでもなんでもなく、テレビ側の私としての願望ですが、こんなことが言えるといいなと思うのです――「脳が司る人間の性質として、下半身の機能が衰えることは必然です」「さらに下半身の機能を取り戻したいと、脳は願っていますよ」なんてこと。
こういう話が成立するとすれば、「私が見栄や欲望のために下半身の機能を取り戻そうとしているんじゃないんですよ、脳が欲していることだからそのためにやってあげているんです」(?)のような、恥ずかしさの緩和ができますし、「人間として当然のことをしている」という風に訴えられるんじゃないかなぁと思うんですね。
どうでしょう、このアイデア?