食にも運動にも体型にも気を配り、壮年と言われる年になってもカッコイイ! というスターが脳梗塞に……。という事態に至ったお話の続きを。
「健康管理に熱心な人たちが相次いで脳梗塞になってびっくりです」
前回の繰り返しになりますが、脳梗塞になったそのスターの方、本当にストイックな方で、アスリートなのかと思うほどのトレーニングと食生活管理をされていました。もちろん、その効果もあって見た目も体調も、驚くほど若々しさを保っていらっしゃいました。見た目もスラッとカッコイイもんです(脳梗塞から退院の後、回復した現在もかわらずマジかっこいいです!)。
だけど病気はやってきた……。
で、このパターン――ストイックな健康管理→なのに大病――決してこのスターに限ったことではなかったので、筆者は二度驚いたのでした。当時、「病気になった芸能人を反面教師(モデルケース)として、健康にすごす秘訣を探る」というような番組に携わっていたワタクシ、ある知識人(当時大学教授)も、同じようなパターンで脳梗塞になったと知ったのです。
この方も、毎日ジョギング……いいえ、ジョギングというより少し激しいランニングというべきか、汗びっしょりになるまで走る! 自分を追い込む! という印象でしたでしょうかね。食事も健康に気を配った摂り方をしていて、乱暴な言い方をすると“健康オタク”でした。
その積み重ねのたまものか、こちらも余計な脂肪なんて全くないといった引き締まったお体。細身ながら筋骨たくましい雰囲気が漂っていたんです。
だ・け・ど! そんな方でも、脳梗塞になってしまったのですよ……。
でね、筆者は素朴な疑問として思ったのです「健康管理って言っても限界があるのか?」と。
「しっかり運動してたのに何で?って思いますよね?
皆さんよく聞くでしょう?「健康のためには、バランスよい食生活と適度な運動」ということを。だけど、そうした生活をしてたにもかかわらず、大病に……という例もあるということなのですね。
まぁ有名人の例を挙げましたが、番組は芸能人の例もあり、一般の方の例もあり、という風に計画したので、企画段階ではいろいろなケースを見ることになったのです。その中でも、やはり正しいと言われている生活をしていながら病気になっちゃった方はやっぱりいらっしゃった。
こんなナットクできない話、番組では原因をはっきりさせたい! ということで、知識人の方の生活をケーススタディとしてVTRにまとめ、なぜこんなによろしい生活をしていたのに脳梗塞になってしまったのかを探りました。で、ありうるとすればココか、という説明を導き出したのであります。
「運動するにもやり方は考えなくちゃということだったわけで」
Q:「運動にも食生活にも気を配ったのに、なぜ脳梗塞に?」
A:「夏場に汗びっしょりになるほど“運動”してたのが原因として考えられる――汗が出て、血液から水分が失われ、血液の濃度(ドロドロ度)が上がり、脳梗塞に」
というのが、番組が導いた結論でした。ですが、正直な話を打ち明けますと、私はちょっぴり「何だか苦しい理屈じゃない?」と思っていたのでした。これが10年くらい前。
ところが今年の夏、脳梗塞が起こり得るパターンとして「運動→発汗→血液濃度アップ」を警告している専門家の話をよく耳にしたです。それで、「あながち間違いではなかったのね」と、今になって思っている次第です。
つまり、「黙っていても汗がダラダラ出る夏に、さらにムリに汗をかくほど運動なんかしちゃうと、ヤバい場合もあるよ」ということなわけです。
それをさらに言い換えれば、「健康づくりのはずが、時と方法を間違うと、健康こわしになるよ」ということだったんですね。こうして書いていても何だかスッキリしないんですが、過ぎたるは及ばざるがごとしと言いますか、薬も使い方を間違えると毒になるということにも通じることだと思うわけで。
「たぶん、大事なことを忘れているんだと思うんですよ」
そんな番組を作りながら驚いていた筆者ですが、実は健康の根本として、現代人の多くが見逃しているのはココじゃないかなぁーと思っていることがあります。
食の話ではないんですけどね。
何かというと、「健康のもとって、いろいろあるけど、やっぱ睡眠時間! イッパイ寝ることが大事なんじゃない?」かと。これは手もとに何かデータがあっての話ではなく、個人的な考えですが。
いろいろなテレビ番組、健康食品のCM、本、セミナーなどで、いろいろな健康法が伝えられています。その多くが、健康食品や、栄養バランスのとれた食生活などを勧めていますね。「医食同源」なども言われ、食事が大切と考える人はたくさんいます。
でも! 食事も大事ですが、私は「たっぷり寝る」ことがいちばん体にいいことなんじゃないかなーと思っています。
病気になった人がいると、どうしても食生活や忙しさなどが問題視されることが多いと思いますが、どれくらい寝ていたかには、今一つ注目されていない傾向があるように思います。体調が悪いとき、疲れたとき、そんなときは眠るのがいちばんだと思いませんか? だって、即効で効きますから。
しかしながら、忙しい人ほど眠る時間は削られるのが現代社会。「眠れないけどせめても……」と健康食品に目が行って、それで売れているということがあると思うんです。健康食品の通販番組を作ってきた私が言うのもなんなのではありますが、何かこう、対処のしかたが間違っていると思いませんか?