前回に続いて「美のために胎盤を食らう(飲む)」というオハナシ。正確に言うと「胎盤由来の物質と言われているプラセンタです。プラセンタは豚由来のものが多かったんですが違う動物由来のものもあるようで……。
「『馬がなに?』と思ってくれたら大成功なんですよ!」
プラセンタは、かつては牛の胎盤のものがあったんですが、BSEの騒動を経て豚のものが主流になっていったんですね。で、問題はそのイメージです。前回「『豚の胎盤由来』というのは美容飲料のイメージとしてはどうなの?」ということで、PR上は「豚の」ということにあんまり触れられてないことを書きました。
ところが! 豚に替わるニューフェイスが数年前から登場してきました。それが「ブブー」ではなく、ヒヒーン!」。馬だったのです!
こちらの売り出し方は「今までのプラセンタの多くは豚由来のものでしたが何とこれは、“馬プラセンタ”なのです!」といった感じ。でも「何と馬!」なんて言われても、「それがなんでスゴイわけ?」と思った方もいるのでは……。実は! そう思ってしまったあなたは、売る側のPR戦術の“思うツボ”にはまっちゃってます!
どういうことかというと、売る側は、まず何とかして興味・関心をもってもらいたいわけです。「馬……何がすごいの?」と思ってくれたということは、気になっちゃった、覚えちゃった、知りたくなっちゃった、ということで、売る側の戦術・第1ステップは成功! なんですよね。
「『馬で押せるのか?』って、考えたでしょうねー」
もちろんプラセンタ原料が馬になることでのメリットはさまざまにあるということなんですが、でも豚の方にも色々なメリットはあるわけで。どっちがいいのかと言うと、どっちを扱っている会社も「自分たちが売っているものがイイ!」と言うに決まっているので、商品の特徴については省略します。
通販のみならず、テレビでまずクリアしなきゃいけないのは「興味・関心・疑問を持ってもらうこと!」なのです。「えっ? 何かすごいの? どうして? なぜ?」といった気持ちを視聴者が持ってくれて初めて、発信サイドが言いたいセールスポイントが伝えられるんです。まぁ、いわゆる“キャッチ”(広告で言うキャッチコピー)ですね。
馬プラセンタは豚プラセンタよりも後発なのです。これは筆者の推測ですが、その状況で“キャッチ”を何にするかという時、「馬を押し出すぞ! これなら新しいプラセンタ感が強くなる!」ということがアイデアに出るのはうなずけるところです。
でも、ここは試行錯誤があっただろうなあと思われます。というのも「馬=美」とすぐに結びつくものではないですからね。ちなみに、筆者が通販で馬プラセンタを扱った時は、「馬を押し出すぞ!」というコンセプトが決定した後で、それを前提に構成を作ってください、という形で発注が来ました。きっとその前に入念なコンセプトワークがあったのだろうなあと思います。
「『20000mg』の意味なんて誰も考えてないわけですよ」
現在市販されているプラセンタは、豚由来であったり、馬由来であったり、また形状がドリンクであったりカプセルであったりと、色々な商品がしのぎを削っています。そうした状況の中、今(2012年4月です)「含有量で差をつける」PRが目立つようになってきたと、個人的には感じています。「さまざまにプラセンタありますが、何とウチの商品は、20000mgもプラセンタが入っているんです!」「えぇ~20000mgですかぁ! うそ、そんなに~!」といった具合。この後、大体「これだけ贅沢に入っているのに何とお値段が……!」とくることが多い。
賢明な読者のみなさんはお気づきでしょうが、この「20000mg」っていう量が多いか少ないか、誰にもわかりません(笑)。「タウリン1000mg配合!」が、実は「1000mgって1gよね。それって多いんだろうか?」というとこまで多くの人が気にしないのと同じです。
でも、同じ種類の商品が争っていると、やはり質の悪いものは駆逐されていくし、何かが少ないよりは多いものに、買いやすい価格に安定していくのは常。
さあ今日も胎盤飲んでキレイになろう!?