前回に続いて“番外編”ラジオ通販のお話です。同じ放送とは言え、テレビとラジオでは、やり方が大違い……と思いきや、テレビでやってきたことのおさらいという面もありました。しかし一方、ラジオならではのメリットもあります。
「耳だけで聴いていると、言い方で何でもスゴイって伝えられちゃう」
前回は、ラジオ通販では、“情報”よりも“感情”! というお話をしましたが、実はこのこと、テレビ通販をやる中でも全く同じで、「データを伝えるのではなく気持ちに訴えなくちゃ」ということは認識していたんです。が、ラジオはそれができないという単純な思い込みをしちゃっていたのです。
で、修正の結果どんな原稿になるのかというと……「この美容ドリンク、ご愛用の方の写真が手元にあるのですが、いやぁ~プルプルモッチモチの上に雪のように真っ白! で、年齢を聞いてさらにビックリ。間もなく還暦とおっしゃるんですよ!」といった具合。
放送の結果はというと、ハイ、大変反響だったそうで、その後も何度か繰り返し、お仕事をいただきました。
そうして感情を高ぶらせたうえで、成分や含有量といった情報をお届けするのですが、同じことを言うのでも、わかりやすい言葉でよさをあおり気味に言った後だと、コメンテーターさんもテンションが上がって、伝わり方が違うんですね。同じ「□△成分が○○gも!」と言うときの声のトーンも力が入りまくり、よくわからないけど何だかスゴク聞こえて新鮮でした。
実はこのあたりはラジオ独特の強みでもあります。どういうことかというと、「何と!□△成分が贅沢に○○gも入っているんですよ~。コレはホントに贅沢とした言いようがない!」ということを音声だけ聞くと、その数字が本当にスゴイかどうかはさておき、スゴク聞こえるんです。(笑)
「そんなの、テレビでも同じじゃん」と思う人も多いかもしれませんが、テレビはそれにインパクトのある映像がついてこないと、結果的に視聴者にアピールはしません。大きな字幕スーパーだけつけたって、視聴者は興味を引きつけられませんね。
「映像がないからナマっぽいっていうところもあるんです」
最後のひと押しは、テレビでもおなじみですが「この放送の後、30分間は何と通常よりも○○%も割引。回線を増やしてお待ちしています。このあと30分だけ割引ですよ!」というタイムセール的手法です。しかし、これも音声のみのラジオの方が効果的に働いていると感じました。と言うのは、ラジオは収録であっても生放送のように聞こえやすいんですよ。もちろん本当に生放送のものも多数ありますが。
たとえばスタジオ生放送展開の情報番組の場合、よくある構成は「スタジオのつなぎは生、途中に差し込む情報は事前取材の収録(ラジオなら録音、テレビならVTR)」といったパターンです。番組内で登場する通販部分は、前もって収録されることがほとんど。なんですが、テレビの場合、この境目が視聴者にわかっちゃうんですよね。収録セットも違うし、ひどい時は出演者の服が通販部分のVTRだけ替わったりしているとか。
だから、テレビで「この後○○分は割引!」と言ってても臨場感が少し薄れます。それがラジオとなると、事前収録したものも、ナマに聞こえるんですね~。
ネットなどに押されてラジオというメディアもさまざまな課題があるようですが、ラジオ通販はスポンサーにとってはもう一つ、うれしいことがあるそうです。それは「放送料(広告出稿料)が割安」という点。そして、リスナーには健康食品などのコアターゲット=主婦やシニア層が多いと言いますから、非常に効率的なメディアなのかもしれません。
「百聞は一見にしかず」と言いますが、「一を聞いて十を」想像してもらっちゃうラジオのほうに分があるというところもあるんですね。