今回と次回は“番外編”ということで、ラジオ通販のお話です。同じ放送とは言え、映像のないラジオでは何をどう伝えたらいいのか、ずいぶん悩みました。
だんだん春らしくなってきましたね~。お花見の季節、屋外でのビールもオイシイ季節になってきました。というわけで、今回は少し気分を変えまして、「映像も画像も全く見せずに販売する!」という通販のお話をしてみましょう。
「『メディアと名のつくところに通販アリ』ってことなんです」
「映像も画像も見せない通販なんかあるのか!?」って、お忘れですね? ラジオのことを。
私はラジオ通販の仕事を最初にいただいたときには、正直驚きました。「モノを見ずに売るのか!? 売れるのか!?」って。しかし、このラジオ通販というのは、むか~しからあるものなのだそうです。筆者は専らテレビ番組だけで、ラジオ番組を手がけたことがなかったので、衝撃が大きかったのです。
そんなラジオ通販、いや~、ありとあらゆるものが売られてます。
健康食品はもとより、化粧品、フィットネス関連機器、ジュエリーやファッション、テレビで売っているものはほとんど売ってます。保険も売ってます。カニなど、産地直送の名産品などは、そういえば現地レポートと共によく売られていますよね。
しかし、健康食品をモノを見せずに売るとは、どういった原稿を作ればよいのか? このときは美容系のドリンクを売るというお仕事だったんですが、悩みましたね~。
「“情報”じゃなくて“感情”だったんですよ」
ラジオ通販の原稿作りで悩む点……ズバリ、モノが見えない、「その“効果”がこんな風に現れました!」っていうのも見えない! ということです。
たとえばコラーゲンタップリの美容ドリンクがあったとします。テレビや雑誌ならば、コレを飲んでる人の「お肌ピチピチ」「とても五十代なんて年齢が信じられないお肌~♪」という映像や写真を見せる手があるわけですが、それができない!
ならば、音声のみで伝えられることに絞って考えた末、筆者は“情報”に寄せて原稿を作成しました。たとえば、「コレは良質の○○○を原料にして、話題の□△成分を何グラム、☆○成分を何グラム、さらに○△成分、さらにさらに□☆成分……」といった具合に、スペックのデータなどで押しまくってみました。
しかしこの原稿の作り方、大間違いだったのです!! ラジオ通販を長く手がけられてきたプロデューサーに、やんわりと、だけど徹底的に原稿を否定されました。
何が間違いだったのかというと、音声で伝えられるのが栄養成分や配合量だけの情報だけだという思い込みです。プロデューサー氏曰く、「何が何グラムと言ってもリスナーにはわからない。それよりも『もっちもち肌』とか『ぷるるん』とか『飲むと体の中からみるみるエキスがわき出る感じ!』とか、抽象的でよさそうな言葉を使ってください!」といったことでした。
つまり“情報”よりも“感情”! です。