前回は、サラサラ成分として売り出し中のDHAについてでしたが、健康食品の通販や健康番組を長くやってきた中で、いろいろと「サラサラになる」という健康法を見てきましたので、今回はそんなお話。
「顕微鏡映像の“サラサラ”はホント?って思うでしょう」
しかし誰が考え出したのでしょう、この何とも魅力的な響き“血液サラサラ”。対して悪い状態が“ドロドロ”ですね。ひと頃、「ドロドロだった血液が、○○を食べるとご覧のように」という感じで、血液の流れを顕微鏡で捉えた映像を見せるという手法が流行っていました。
筆者がかかわった番組でもよく使用しました(多くは通販番組でなく一般のバラエティ番組)。たとえば「ドロドロ解消作戦・2週間チャレンジ」といった感じで――チャレンジ前の“ドロドロ映像”を撮る→番組が提案する解消法を続ける→そして2週間後に再び血液の状態を見てみる→あーらフシギ、サラサラに――というようなものですね。
あれはホントなのかというと、私のかかわった限りですが、これがホントなんですよ~。映像としては。
「血液の状態って割とすぐに変わるみたいですよ」
そういう番組にかかわっていて率直に思ったのが、「血液の状態って意外にすぐ変わるんだなぁ~」ということ。た・だ・し! コレを継続するのが難しいわけなんですよ。テレビが追い続けている2週間、となればほとんどの人は規則正しい生活も頑張れるし、おいしくない健康ジュースを飲み続けたりもできる。油っこい肉料理や揚げ物もガマンできる。そうすると血液の状態って目に見えてよくなって、期待どおりの映像は撮れるんですよ。
ただ永久に365日それを継続できるかというと……そう、継続できなきゃ元に戻るわけです。つまり「○○は体にいい」なんて言われていることで、実際に“サラサラ映像”が撮れるものはだいたいわかっているんです。問題は、実生活でそれを続けられるか否かですね。
「食べるだけで……なんて都合のいいハナシはやっぱりないんです」
そしてこの“サラサラ作戦”だったり、他には“体脂肪燃焼チャレンジ”(ダイエット)だったりがテレビになるときは、だいたい「ラクさ、手軽さ」を際だたせるために、主役にしたい食べ物を“食べるだけで”という点を強調しがちです。
ですがホントのところ、「食べるだけでやせるとかサラサラになるとか、都合のいいハナシはない!」のですよ。そういった類の通販番組やバラエティ番組では、ちょこっとだけ、「その他、積極的に歩くなども心がけました」と言ってたりします。でも7秒くらいその一文をさらっと言うだけだから、全く運動してないように見えるんです。
また一方では、「食べ物を変えるほかは、普段通りの生活を送ってもらいました」「以前と変わらない生活をしてもらいました」と言っていることもあります。が、そこにはツッコミどころがあるんです。「普段通りの生活」「以前と変わらない生活」ってどんな生活? という点。「普段通り」の生活はしながら、多少は歩いたりしているわけですよ。体動かしてカロリーを消費しないことには、根本はかわらないのですからね。
「健康食品のことで悩む前にすることがあると思いますよ」
“血液サラサラ”やダイエットのために、専門家がまず勧める運動はウォーキングですね。つまり歩いてれば、「うっすらと汗をかき、酸素をとり込む有酸素運動になる」と。筆者は「歩く」をテーマにした番組もやったことがあるのですが、歩くってホントスゴイですよ(笑)。何がよいのかというと、歩くっていうのは全身を使い、全身に血の巡りがよくなるので、体のあちこちでいいことが起きるんだそうです。
たとえばさかのぼって古代ギリシャの時代、かのソクラテスは歩きながら考えたという逸話があるそうですが、実は歩くと脳の働きも活発になるという調査結果もあると教えてもらいました。
でも「歩くのもダルイ……寝ていたい……」という人も多いかと。そんな方にぜひオススメというのが「寝ころんだまま体操」。寝たまま両手両足を上げてブラブラブラ~と振る、これだけ。末端にまで血がめぐってエネルギーを消費、血液サラサラの助けになるそうです。コレ、やってみるとなかなかよく、手先足先がポカポカしてきます。実は某局の女子アナさん、末端の冷え解消にやっているんですって。その女子アナさん、スラリと美しいプロポーションですよ!
ともあれ、何か不思議なものを一生懸命食べたり飲んだりする前に、体を動かしましょう、というお話でした。