今回は青汁のお話です。青汁は健康食品の王者と言ってもいいでしょう。JADMA(日本通信販売協会)が2011年12月に発表した「サプリメント登録制調査資料」によると、回答した192社に売上げ上位3品目を尋ねた結果、「青汁」は計35件でグルコサミンと並んでトップ※。どうしてこんなに引っ張りだこなんでしょうね。
「『まずーい!』の一言で始まったんですね」
青汁が有名になったきっかけは、まずはあのCMにほかなりません――悪役商会の俳優・八名信夫さんの「まず~い。もう一杯!」のセリフで有名なキューサイのCMです。私がギョーカイでうかがった話では、あれ、当初違うセリフが用意されていたそうですが、本当にまずくて思わず出た言葉なんだったとか。
このCMは、バラエティの“おもしろ大賞”的な番組で何度も放送され、「青汁」というなじみのない言葉が一気に全国に広まったと言えます。
キューサイのホームページによると、この「まずい」CMが始まったのは1990年とのこと。つまり有名になってから20年以上経った今も、青汁は人気商品ナンバーワンの地位にあるわけです。いろんな商品が出現しては忘れ去られていく健康食品業界にあって、かなりの長寿ジャンルと言えるでしょう。
「青汁抜きに今日の私は語れないかも」
私も、さまざまな企業の青汁のインフォマーシャル(テレビショッピングなど、一つの商品を時間をかけて紹介する形式)の制作に、十数年以上かかわってきました。そこで青汁市場の成長を肌で感じてきたのですが、そのかかわり方を理解してもらうため、私の歩みをちょっと説明しておきますね。
私は1999年頃からテレビの世界に入ったのですが、当初から一般の番組と通販番組の両方を担当していました。で、通販番組の最初が青汁だったのですね。そしてその後、他の青汁メーカーが番組を作りたいとなったとき、「青汁の番組を制作したことがある人」として、お声がかかったわけです。
このギョーカイって狭いので、「青汁の通販やることになったんだけど……」という誰かがいると「あ、森畑さんやったことあるらしいよ」というウワサがすぐに回るのです。その次には「健康食品の通販番組やることになったんだけど……」「通販番組やることになったんだけど……」となって、こうしていつの間にか、さまざまな健康食品や化粧品ほかの通販グッズのインフォマーシャルにかかわるようになっていったわけです。
え?「ちみのギョーカイに“一業種一社”という言葉はないのか?」ですか。確かに「ライバル会社の仕事にかかわっていいのか」ということがあるかもしれませんが、結構そのあたり“ゆるい”です。なぜならどんな制作者も、ずーっと一社と契約を続けているわけではないから。ただし、もちろん、「競合の□☆社と○△社をやったことあるんですがいいんですか?」ということは必ずお話しながらやってきました。
まあ考えてみれば、「某4チャンネルで人気料理番組を作った人が、某8チャンネルで料理番組をやっちゃいけないか」となると、専属契約でもない限りそれは自由なわけで、“一社で縛る”ということはギョーカイのしくみとして難しいと思います。
「青汁通販がテレビ通販をリードしてきたんです」
というわけで、20年以上人気の健康食品として君臨している青汁ですが、このジャンルについて私が感じてきたのは「消費者ニーズを考えての進歩がスゴイ!」という点です。とにかく青汁に参入している企業はベンチャーから大手飲料メーカーまでものすごく多い。それだけ競争が激しいからこそ、「消費者は青汁に何を求めているのか? どんな青汁を、どんな手法でPRすればよいか?」という点は、いろんな健康食品の中でも相当に考え込まれ、洗練されてきていると感じます。
そんな青汁の進歩について、次回からお話していきます。
※「サプリメント登録制調査資料」(2011年12月/日本通信販売協会)
http://www.jadma.org/pdf/press/supplement_survey.pdf