読み書きバイオ

百聞は一見にしかず――遺伝子組換え作物展示栽培の意義

 テレビなどを見ていると、「天然ですから、安心ですね」などというセリフが当たり前のように繰り返されている。そして「もちろん、遺伝子組換えなどは使っていません」と続く。これを毎日刷り込まれていれば、農薬も遺伝子組換えも避けたいと思うのが当然だろう。私たちは、身近に実物がなければそれがどんなものか確かめられないから、このような発言や表示から想像してそれを恐れるようになるのかもしれない。遺伝子組換え作物 […]
北海道よもやま話

有機栽培農家の敵「農薬」、その価格と流通

北海道のダイズ、ムギ農家が農薬を使用する金額はどれくらいだと思われるだろうか? 現場では除草剤、殺菌剤、殺虫剤の3タイプを主に使っている。金額、量は少ないが、成長促進剤、発芽抑制剤なども使用して、しっかりと農薬取締法に書かれている“国民の生活環境の保全に寄与”しているはずだ。ただ残念なことに、そのような話を生産者仲間が集まってしたことはないのだ。
北海道よもやま話

農薬の希釈倍率と水の使用量に関してもっと自由を!

期待はしていなかったが、やはりFoodScience編集部にクレームがあった。昨年6月25日付けの拙稿に対してである。農業生産者であり、科学者ではない自分が、かって知ったる本業の範疇と思い込み、しっかり下調べもせずに、うろ覚えで書いてしまったのが原因だ。農作業が忙しく……の言い訳はだめだ。間違いは間違いである。これからは自分の言葉で現場のことを書くように努めたい。
北海道よもやま話

半分の濃度で2回散布すると減農薬栽培にならない不思議

米国ノースダコタ州の農家Bobと農薬の話になった。私が「ところでどのくらい農薬を使用しているんだ?」と聞くと、「日本人は農薬の使用にウルサイからな?」と言いながら説明してくれた。春コムギの場合、除草剤が2回、殺菌剤が1.5回(1回と2回の場合がある)、殺虫剤が0.5回(使用する場合と1回使用する場合がある)だそうだ。殺虫剤を除いて農薬の名前を聞けば、馴染みのある物ばかりであった。正直言って、殺菌剤 […]
コロのGM早分かり

除草剤グリホサートに耐性のある植物の自然への影響は?

こんにちは、コロです。前回は除草剤グリホサート耐性の遺伝子組換え作物はどのようなものなのかをお話しました。そして、その除草剤グリホサートはどんな植物でも枯らせてしまうとても恐い除草剤に思えますが、実はそうではないということも説明しました。今回は、除草剤グリホサートに耐性のある植物がほかの植物と交雑した場合自然への影響はあるのか、また、グリホサートに抵抗性のある雑草についてお話しましょう。
コロのGM早分かり

毒性が低い除草剤グリホサートのしくみ

こんにちは、コロです。現在、商業的に栽培されていて、日本も含め世界中で食品や飼料などとして利用されている遺伝子組換え作物の主なものには「害虫抵抗性」のものと「除草剤耐性」のものがあります。害虫抵抗性がどのような仕組みなのかをお話しましたので、今回からは、除草剤耐性の遺伝子組換え作物について、少しお話しましょう。
北海道よもやま話

残留農薬問題に隠れて、意外と見えない水質汚濁問題

農産物を生産する農家は常に消費者のことを考え、安全、安心な農産物を提供できるように、日頃から気を引き締めて営農をしている――。と言いたいところだが、実際のところ、そのようなことを寝ても覚めても考えているわけではない。もちろん、大切なことだと重々承知しているが、その前に我々営農者は守るべき数々の法律があり、遵法精神を全うすることで、結果的に消費者に安全・安心な農産物を提供できているのだと思う。その間 […]
北海道よもやま話

GMの里、北海道遺伝子の香りのする街からのつぶやき

北海道には、倒幕政府主導の開拓の後に明治時代に米国人がやってきて、日本で唯一彼らからパイオニア精神を引き継いだ農業生産者がいると言われている。でもいったい今、北海道のどこにいるのだろうか? いるとすれば、何人くらいいるのか? 私に言わせればこれは大嘘もはなはだしい。こんな大嘘を今でも小学校で教えているとすれば、あきれるばかりだ。1985年(昭和60年)頃から「バイオ!バイオ!」とメディアが騒ぎ立て […]
巨大なカントリー・エレベーターの前で、グローバル・マーケットの中のローカルなビジネスを語る
食の損得感情

ラウンドアップレディ・アルファルファ――栽培禁止に困惑する米国農家

Indiana州では、10の牛舎に約3万頭の牛を飼う巨大な酪農場と、それに隣接するカントリー・エレベーターを訪ねた。このカントリー・エレベーターを経営する会社は、トウモロコシ、大豆、小麦、ライ麦、アルファルファなどを生産、貯蔵し、地域の酪農場などに供給している。ここで聞いた話から、日本の消費者がほとんど気付いていないグローバリゼーションの何たるかを思わずにはいられなかった。
食の損得感情

人間は物質だけでなく意味を食べる

今夏、米国では飼料用のGM(遺伝子組換え)アルファルファが流通する見通しという。目を引くのは、これまでに商品化されているGM作物は、ダイズ、トウモロコシ、ナタネ、ワタ、ジャガイモなどいずれも飼料作物か工業的に利用される作物が主で、今回また飼料作物が加わるということ。このことをつかまえて、米国のマーケットでも主食をGM作物にすることには躊躇があるという声もある。