管理機の一つ(記事とは直接関係ありません)
「よい農産物」とはどんな農産物か?

重要なのは栽培管理であり有機栽培か否かではない

有機栽培でも一般の栽培(いわゆる慣行栽培)でも、栽培の管理がうまい人の農産物は比較的おいしいし、おそらく栄養面でも良好となる傾向があるはずだ。 有機栽培と慣行栽培は対立概念ではない  栽培というものは、耕して種を蒔いたら収穫までほったらかしというものではない。生産者は状況に応じて作物や土にさまざまな働きかけを行って、作物が健康に育つようにする。それが農業で言う管理だ。  管理がよく作物が普通に健康 […]
堆肥舎(記事とは直接関係ありません)
「よい農産物」とはどんな農産物か?

栽培方法の基準だけで品質はコントロールできない

前章では、作物の品質を決める要因として、栽培に適した地域・条件、旬、鮮度品種がとくに重要なものとして挙げ、栽培方法による違いはあまりないといったことを述べた。以下ではもう少し踏み込んだ解説を行いたい。 レシピだけで料理の善し悪しは決まらない  栽培方法に名前の付いたものは数あるが、その中で最も知られているのが有機栽培である。ここでは有機栽培を例として挙げて、栽培方法と品質の関係について述べていくが […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

農産物の品質の適正な表示を考える

作物の栄養について書いたが、有機栽培のものが優れているという表示や広告には注意が必要だ。 有機栽培と慣行栽培で栄養価の違いはない 「有機栽培だから栄養面で優れている」といった表示は、現在イギリスでは禁止されている。2009年7月、英国食品基準庁(FSA)はオーガニック(有機認証)食品の栄養価と健康影響についての科学的根拠を吟味したレビューを発表した。それによると、「通常農法による食品と比較して、オ […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

おいしい農産物が出来る条件

これまで農産物の安全性について書いてきたが、次に農産物の品質について考えてみよう。農産物の宣伝文句でよくあるのは、「おいしい」「本物」「栄養価が高い」などだ。まずは、「おいしい」ということについて考えみよう。 おいしいかどうかは食べる人が決めるもの  農産物は食べ物であるから、「おいしい」という惹句はある意味必須かもしれない。しかし、筆者が気になるのは、「おいしい」を主張することが、他は「おいしく […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

化学肥料を使う農産物の安全性

次に化学肥料について、農産物に与える影響について書いてみよう。 化学肥料を使っても植物が吸収するものは同じ  まず、第一に押さえておきたいのは、化学肥料を使用したからといって、農産物が人体に危険を及ぼすようになるような心配は全くないということだ。土壌中にある栄養分が天然由来や堆肥等であろうと、化学肥料であろうと、植物がある成分を吸収した場合、植物の体に入る成分は同じものであるということだ。  先に […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

特定農薬に指定されていない木酢液

リスクの考え方、農薬の一般的な説明と現在の日本の農産物の残留農薬の状況について説明してきたが、これらを危険・安全どちらと考えるか、仕事や生活に受け容れるかどうかの判断は、新幹線を利用するか利用しないかを考えるのと同じように(第2回参照)読者一人ひとりに委ねられている。 “農薬ならぬ農薬”木酢液をどう考えるか  ところで、ここで“農薬ならぬ農薬”についてお話しておきたい。すなわち、天然物由来の各種資 […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

50年前の考え方で今日の農薬を評価することはできない

消費者の間ではよく理解されていないが、農薬はこの50年あまりの間に大きな変化を遂げている。「沈黙の春」(レイチェル・カーソン)が発表された1960年代から「複合汚染」(有吉佐和子)が発表された1970年代の農薬と、今日の農薬とを同じように考えることには無理がある。 現在の農薬は危険性がコントロールされている  まず、これまで述べたような残留性のある化学合成農薬の大部分は、すでに淘汰され、黎明期の農 […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

有機栽培は作物の安全・安心のためではなかった

農薬にはどのような危険があるだろうか。また、どの程度危険なものなのだろうか。これはものによって一様ではなく、時代によっても異なる。たとえば、化学合成農薬の中でも、かつて販売されていたり広範に使用されていたものには、かなり危険なものがあったが、今日流通している農薬は、それらとはまた事情が異なる。 農薬の急性毒性・残留性・催奇性  農薬の危険性として、まずいちばんわかりやすいものは、飲むと死んでしまう […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

有機農業を理解するには農薬と化学肥料を理解する必要がある

現在、安全や安心な農産物と言った場合、多くの人がイメージするのは、“科学技術に頼らない”有機栽培などの栽培方法を行なっている農産物ということになるだろう。では、有機農産物は実際に安全・安心で栄養価が高いと言えるだろうか。 化学農業時代が有機栽培を生んだ  それを考える前に、まず有機栽培とは何かということを押さえておきたい。  かつて化学肥料は“金肥”(きんぴ)などと呼ばれていた。金で買う肥料、高価 […]
食品安全情報(化学物質)

リスク評価の新課題への対応

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.22(2012.10.31)を発表した。ECは環境とヒトの健康について、食品以外のリスク評価課題の意見の募集を開始した。韓国KFDAは来年から始まるカフェイン関連に規制に先立ち、国内流通中の“エナジードリンクなど”カフェイン含有量の調査結果を発表した。
食品安全情報(化学物質)

ラクトパミンの残留基準採択

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.14(2012.07.09)を発表した。コーデックス委員会は動物用医薬品ラクトパミンの豚・牛への最大残留基準を採択した。欧州食品安全機関は、毒性学的懸念の閾値概念に基づく健康リスク評価についての意見を発表した。英国食品基準庁は、ミラクルミネラルサプリメント(MMS)は、摂取すると健康被害をもたらし得ると再度警告している。
土を知る、土を使う

作物の栄養(17)有機成分(1)

かつて無機栄養説と有機栄養説のどちらが正しいかという論争があった。また、昨今は有機栽培に切り替えるかどうかという視点で有機成分がとらえられる傾向がある。しかし、無機成分と有機成分の両方をうまく使うことが作物の栽培に有効だという理解をすることを勧める。
土を知る、土を使う

作物の栄養(13)カルシウム(2)

カルシウムは植物の体の中で、ある部位から別の部位へ移動するということができない成分です。したがって、不足はダイレクトに障害につながります。これを効かせ続けるには、単に量を与えるだけではない工夫が必要です。
食品安全情報(化学物質)

食品安全情報(化学物質)No.04(2012.02.22)

国立医薬品食品衛生研究所が月2回発表している「食品安全情報」(化学物質)。ドイツではヨウ素欠乏予防が取り組まれているが、日本ではむしろ過剰摂取が問題になる地域であることに注意。米国でオーガニック玄米シロップを含む製品からのヒ素検出が発表され、FDAが声明を発表している。米国国家毒性プログラム(NTP)は、イチョウ抽出物についてファクトシートを発表。リスクがある半面、有効性を示す試験結果はない。