二つで一つの「めおとぜんざい」(絵・筆者)
スクリーンの餐

「夫婦善哉」の中の昭和大阪グルメ

織田作之助の原作を豊田四郎監督、森繁久彌・淡島千景主演で映画化した「夫婦善哉」(1955)を紹介する。「くいだおれの街」大阪をこよなく愛した原作者の食べ歩きの経験を反映していると思われる描写が随所に見られる。
赤く染まるスクリーンにさまざまな意味を込める(絵・筆者)
スクリーンの餐

張芸謀作品の中の酒と餃子

今年度のノーベル文学賞は、村上春樹氏優位の下馬評を覆し中国の莫言(モー・イエン)氏が受賞した。私は莫言の小説を読んだことはないが、彼の原作を映画化した「紅いコーリャン」(1987)を観てその作品世界の一端を知った。今回はこの映画の監督で2008年の北京オリンピックで開会式と閉会式の演出を務めた張芸謀(チャン・イーモウ)の作品に登場する酒と料理を紹介する。
「ゴッドファーザー Part II」(1974)。若き日のビトー・コルレオーネとソニー、フレド、マイケルの三兄弟(絵・筆者)
スクリーンの餐

「ゴッドファーザー」三部作の中の食べ物

「ゴッドファーザー」(1972)はアメリカの裏社会に君臨するイタリア・マフィアの抗争を描いたマリオ・プーゾのベストセラーをフランシス・フォード・コッポラが監督した映画史に残る名作である。一作目のヒットによって「Part II」(1974)、「Part III」(1990)も製作され三部作となった。イタリア系移民の家族がストーリーの中心なので、劇中ではイタリア料理をはじめとする食べ物が多数登場するが […]
「男はつらいよ 寅次郎紅の花」(1995)。満男と泉の若いカップルを見つめる寅さんとリリーの眼差し(絵・筆者)
スクリーンの餐

「男はつらいよ」シリーズの中の食べ物

お盆は過ぎてしまったが、筆者が子供の頃の盆正月の映画の定番と言えば、松竹の「男はつらいよ」シリーズをおいて他になかった。筆者の周りにも他の映画を劇場で観に行くことはなくてもこれだけは一家揃って年二回盆正月に観に行くことを年中行事にしている家庭が多くあり、まさに「国民的」映画シリーズという形容が相応しかった。「男はつらいよ」シリーズの食のシーンを紹介したい。
「2001年宇宙の旅」(1968)。今はなきパンアメリカン航空のスペースシャトル「オリオン号」で出された宇宙食。惣菜ごとに8つに小分けされ、無重力下のためストローで吸引して食する(絵・筆者)
スクリーンの餐

SF映画の中の食べ物

今夏公開の目玉作品もほぼ出揃ったなか、洋画は今年もコミック原作を含めSF映画がその大多数を占めている。今回は過去のSF映画で登場した未来の食の姿を見ていこうと思う。
「三月のライオン」(1992)。アイスキャンディーをかじるアイス(由良宜子)(絵・筆者)
スクリーンの餐

映画の中の氷菓「三月のライオン」ほか

いよいよ夏本番。アイスクリームや氷菓のおいしい季節である。映画の中でも「ローマの休日」(1953)のスペイン広場でオードリー・ヘップバーン扮するアン王女が食べるジェラートをはじめとして、さまざまなシーンで氷菓が印象的な使われ方をしているが、今回は異色作と言える2本を紹介する。 ※以下「R18+」の作品を取り上げます。18歳未満の方の閲覧を禁止します。
アンドレウ(フランセス・クルメ)に与えられた食事は黒パンとスープだけの粗末なもの(絵・筆者)
スクリーンの餐

映画の中のパン「ブラック・ブレッド」

昨今のヨーロッパ金融危機でも話題になることの多いスペインだが、20世紀にはそれとは比較にならない苦難の歴史があった。今回はそうしたスペインの歴史を背景にした作品の中で、現在公開中のパンが重要な意味を持つ作品を取り上げる。
オスカル(右)が家族と訪れた海岸。母の運命を変える光景に遭遇する
スクリーンの餐

映画の中のウナギ「うなぎ」「ブリキの太鼓」

今年の土用の丑は7月27日。しかしそれを前にして昨冬からの今シーズンも、3年連続となるシラス不漁が伝えられている。これによって価格が高騰し、庶民には手の届かない存在となってしまうのが心配な今年のウナギ。そこで今回は、指をくわえながら、“食えないウナギ”が登場する2本の映画を取り上げたい。