技術士からの提言(Y)

三方一両得の食品回収対策

8月15日は終戦記念日。数年前のこの時期、出張先のホテルでアニメ版「火垂るの墓」を観たことがある。誰にも遠慮することなく、ボロボロ涙をこぼしたものだ。あの戦争では大勢の人が武器により、そして飢餓で亡くなった。現在の日本の繁栄は、彼らの尊い犠牲のおかげである。清太と節子、そして戦争で犠牲になった方々がこの日本を見ているとすれば、どのような気持ちだろう。農林水産消費安全技術センター(FAMIC)がまと […]
在りし日の「くいだおれ」店頭で。かつて複数の銀行が、融資の条件に「人形を置くのをやめること」を示したという。氏が、一時をしのぐために“魂”を捨てなかったことは言うまでもない
食の損得感情

秋田県比内地鶏ブランド認証 制度の歪みに揺れる老舗

7月8日に閉店した「くいだおれ」の創業者、故山田六郎氏の伝記「ばかたれ、しっかりせ」(柿木央久著、講談社)を取り寄せて読んだ。あまりのスーパー経営者ぶりに、一読しただけで全部を真に受ける気持ちにはところどころブレーキがかかるのだが、ともかくも痛快な立志伝には違いない。「くいだおれ」閉店が取り沙汰される昨今では、この希代の成功者も同店創業者として知られるということになるのだが、その人生で成し遂げた大 […]
うねやま研究室

「科学的根拠」とは

根拠(エビデンス)に基づいた医療(evidence-based medicine:EBM)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。医療において治療の効果や副作用などの臨床試験による結果(「根拠」)をもとに医療を行うというものであり、「根拠」として採用されるのはできるだけ客観的で正確な最新最良の医学知見です。そんなの当たり前ではないか、と思われるかもしれませんが、EBMの対極にある「三た論法」と比較 […]
Maryanskiのバイテクと食品安全考

メディアとのつき合い方――ときにはつまずくこともある/Working with the Media – Sometimes There is a Bump in the Road

最近、あるバイテク企業に関する海外ドキュメンタリーが、NHKテレビで放映された。その企業の農業バイオテクノロジーに対する姿勢とその技術を支持する米国政府の役割に批判的なそのドキュメンタリーは、インターネットなどでも配信されている。私は、米国食品医薬品局(FDA)の食品バイオテクノロジー政策に関してそのドキュメンタリーのためにインタビューを受けた1人である。そのドキュメンタリーの中で、リポーターは私 […]
ヨーロッパでスピリッツを得るために使われた蒸留器(国立民族学博物館)。日本ではこの種のものは発明されず、渡来して使われるようになった
食の損得感情

新しい調理法に積極的なヨーロッパ。日本が保守的に見えるのはなぜか

「日経レストラン」7月号で、飲食店向けの新製品を集めて、実際に料理人や経営者にも使ってもらい、所感を聞くという特集を担当した。高級な醗酵バターの風味を持ち、トランス脂肪酸はバターよりも少なく、価格もバターの半値程度というマーガリン「アロマーデ」、新機軸の調理機器、資材などなど、面白いものが多数集まった。料理人諸氏は経営の観点から、それぞれに冷静な判定を下したが、実験では誰しも面白そうに目を輝かせて […]
うねやま研究室

詐欺的「健康食品」「サプリメント」への対応

近年、食品の機能性についての関心が高まっているようですが、その期待の極端な形が詐欺という形で世界中で問題となっています。日本では「いわゆる健康食品」に分類され、海外では「ナチュラルヘルス製品」「ハーブ」「伝統的漢方薬(TCM)」「サプリメント」などと呼ばれる商品群があります。医薬品ではないものの、濃縮エキスだったり粉末だったりカプセルや錠剤だったりといった形態で、食べて美味しいとはとても言えないよ […]
コロのGM早分かり

毒性が低い除草剤グリホサートのしくみ

こんにちは、コロです。現在、商業的に栽培されていて、日本も含め世界中で食品や飼料などとして利用されている遺伝子組換え作物の主なものには「害虫抵抗性」のものと「除草剤耐性」のものがあります。害虫抵抗性がどのような仕組みなのかをお話しましたので、今回からは、除草剤耐性の遺伝子組換え作物について、少しお話しましょう。
食の損得感情

セブン-イレブンの保存料・合成着色料不使用のどこを評価するのか

セブン-イレブンが弁当・そうざい類などで保存料と合成着色料を不使用としたことについて、私は肯定的に見ている旨を何度かこの覧に書いてきた。最初に書いた記事から時間が経ったこともあり、読者からはそれはなぜかといった問い合わせや、反論もいただいている。今一度、そのことについて説明しておきたい。
北海道よもやま話

残留農薬問題に隠れて、意外と見えない水質汚濁問題

農産物を生産する農家は常に消費者のことを考え、安全、安心な農産物を提供できるように、日頃から気を引き締めて営農をしている――。と言いたいところだが、実際のところ、そのようなことを寝ても覚めても考えているわけではない。もちろん、大切なことだと重々承知しているが、その前に我々営農者は守るべき数々の法律があり、遵法精神を全うすることで、結果的に消費者に安全・安心な農産物を提供できているのだと思う。その間 […]
California州OaklandでのFDA食品バイテクノロジー市民集会。
Maryanskiのバイテクと食品安全考

国民の健康保護、世論、そして人的資源の有効利用/Public Health Protection, Public Opinion & Effective Use of Resources

最近、米国で商業販売されている一部のトマトを食べてサルモネラ菌に感染するという食品由来の疾病のニュースがあった。このケースは、健康を司る省庁が十分な人的資源を有し、かつ予期せぬ出来事に備えているということがいかに大切かということを浮き彫りにした。ところが、通常は、そういった組織の人的資源というのは限られている。結果として、国民の健康を効率的に守るために優先順位をつけることが必要となる。時折、国民の […]
うねやま研究室

食品由来のリスクを定量評価する

食品のリスクというと真っ先に思い浮かぶのは食中毒でしょう。一般の消費者には残留農薬や加工食品の添加物が危険だと思っている人が多いかもしれません。今回はそうした食品由来リスクを定量化して評価しようという試みについて紹介してみようと思います。
コロのGM早分かり

抵抗性害虫の発生を防ぐ「緩衝区」のメカニズム

こんにちは、コロです。前回は、Btたんぱく質が効かなくなる抵抗性害虫の出現というリスクを回避のために、緩衝区という、ただ単にBtたんぱく質を持っていない作物を植えるだけの、簡単で有効な手段を持っていることをお話しました。今回は、どうして緩衝区から出てきたたくさんの害虫によって、抵抗性害虫の発達が防げるのかを「生物学的」に説明しますね……とは言っても、できる限り易しくお話しましょう。
食の損得感情

すかいらーくの何がいけないと私は考えたのか

前回、5月22日の記事に対して、問い合わせ、ご意見やお叱りをいくつかいただいているので、それについて説明したい。その前に、表現について2つの反省点があるので、それからお伝えしたい。この記事中、「できもしないことを言い出して人気取りに走る、無責任で恥ずべき行動だった」をはじめ、すかいらーくを批難する内容を書いたのだが、表現が断定的であったために、私の主観ではなく客観と受け取られたとすれば、これは本意 […]
Maryanskiのバイテクと食品安全考

米国のバイテク食品安全性評価――FDAは義務化せず/Assessing Biotech Food Safety in the U.S; FDA’s Voluntary Approach

1990年代初頭、日米双方の政府は現代バイオテクノロジーによって開発された食品の安全性を評価するための政策や指針を作成した。日本においては、厚生省(当時)が1991年にOECDの指針を基にバイテク作物の安全性審査のための任意の指針を作成した。しかしながら、2001年にその安全性審査は日本において義務化されることになる。米国では、バイテク食品は今でも1992年に米国食品医薬品局(FDA)が作成した任 […]