毒?(過ぎてしまえば笑い話だが、過ぎるまでが長い……)
食の損得感情

見えないリスクに人がとる不可解な行動

このサイトの読者のみなさんにこのようなことを打ち明けるのは恥ずかしいことだけれども、私は今も牛肉を元気よく食べる気にはなれないでいる。国産牛の管理の厳重さ、米国産牛を食べた場合に変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)に感染する確率の低さ、あるいはそもそもvCJDとBSEとの関連は未解明である、などなどの説明を聞いても、どうしても積極的になれない。説明自体にはうなずきもするので、これは全く個人 […]
地面に落ちた食べ物は、ハトに任せる。拾って食べない
食の損得感情

不二家をもって他山の石とすべき人々(2)

1月下旬の週末、よく行くスーパーマーケットで買い物をしていたところ、男性の従業員が売り場で台車に乗って作業をしているのに出くわした。シャーシの両端に垂直の支柱部分があり、好みの高さにステンレスの天板を付けられる多段式の台車だ。男性従業員は、キャスターがロックされていない台車の上、腰の高さに取り付けた天板に、サーフィンをするように腰を落として危なっかしく立ち、床からは手が届かないシェルフの上部の品物 […]
「かわいいと思っていたら、大間違い」と言われないように
食の損得感情

不二家をもって他山の石とすべき人々(1)

不謹慎な言い方になるが、「不二家」の不祥事には意外性があり、マスコミにとっては格好の素材となっている。不二家のブランド・イメージは、ペコちゃんによる「親しみ」「かわいい」、パッケージ製品のメーカーの一方、市中に洋菓子店も展開していることによる「手作り」、そして明治創業という歴史による「老舗」などの言葉で表現できるだろう。それが消費者を裏切っていたというのだから、「犬が人をかんだ」話ではなく、「人が […]
イチゴショートとシュトーレン。20年後、30年後のクリスマスの食卓に並ぶ食べ物は、子供たちにどんな感動をもたらすだろうか
食の損得感情

クリスマスケーキの甘みを増したのは科学だが

日本でクリスマスケーキと言えば、イチゴショートにいろいろな飾りが付いたものが一般的だが、ドイツならシュトレンという質素な見た目の甘いパンのような菓子を焼くし、フランスならビッシュドノエルという、丸太状のケーキを食べるという。シュトレンはトンネルの意味らしい。一方、ビッシュドノエルは、「クリスマスの丸太」。つまり、「食べるクリスマスツリー」というわけだ。なぜ、クリスマスに木を飾ったり、木をかたどった […]
サンフランシスコで見た「NO MSG」(グルタミン酸ナトリウム不使用)の看板。現地のガイドは、「不景気になると、東洋人差別が始まる。その一環」と言っていたが、それでは日本でのうまみ調味料忌避の流行を説明できない
食の損得感情

“妖怪化”する自然科学と近代的工業技術

以前、味の素の広報の方が漏らしていた。「最近は、世界的に化学(chemistry)、酸(acid)という言葉の受けが悪い。悪いものの代表のように使われているケースが目立つ。1960年代までは、この二つの言葉は、世界を良くする夢のキーワードだったのに……」。かつて”夢の言葉”だったから、「化学調味料」という言葉が使われたのも、自然なことだった。そう考えてみると、「うまみ調味料 […]
このどれかを割ると、中から出てくるのは……
食の損得感情

「そんなはずない」に振り回されない運営

生卵を割ろうと手に取ったとき、なぜかは分からないが妙に嫌な予感がした。見た目は普通の鶏卵。おかしなところは何もないように見えた。テーブルに打ち付けて割り、小鉢の上で開けると、その瞬間強烈な悪臭が広がった。出てきたのは、ドブのような臭いを発する濃褐色の液体だった。
藤井米穀店の「愛米味」。通信販売ではチルド便で配達される
食の損得感情

コメのブレンドの神様の責任感

「コメのブレンドの神様」と呼ばれる人がいる。藤井米穀店(大阪市淀川区)の藤井博章社長だ。藤井社長は、各地から仕入れたコメの状態と味を吟味してブレンドし、産地名や品種名ではなく、各種のブレンドに付けた商品名を前面に打ち出して販売している。
確かにミルクは子供用だが……
食の損得感情

話半分に読む「病気にならない生き方」

「病気にならない生き方/ミラクル・エンザイムが寿命を決める」(新谷弘実著、サンマーク出版)という本が100万部を超えるベストセラーになっているというので、つれあいが買ってきた。数日経って、肉を食べるのをやめると言い出した。牛乳も飲まないと言う。胃の調子が悪いからH2ブロッカー系の胃薬を買うと言っていたのも、やめたと言う。
農業機械の展示会に集まった農業経営者たち。売れるもの、利益の出るものを求めて真剣そのもの
食の損得感情

「GMは必要な技術」は消費者にとっておいしい話か?

「遺伝子組換え(GM)技術は日本にとって必要な技術」と、4割の農業経営者が回答――雑誌「農業経営者」が、今年3月にアンケート調査をした結果だ。調査対象者は、同誌購読者を中心とした2004人。43.8%が「必要」「どちらかといえば必要」と答え、48.2%が「必要でない」「どちらかといえば必要でない」と答えた。必要でないとする回答の方が数は多いが、GMに関する否定的な報道が多い中、意外な印象を与える数 […]
「夢ごこち」のブランド力アップに力を入れる中島美雄商店
食の損得感情

民間育成品種がコメ流通を変える

ビジネスファーマー向けの雑誌「農業経営者」(農業技術通信社)8月号で、「民間育種米で商機をつかめ」とする特集を組んだ。執筆に参加して感心したのは、民間が育成したコメの新品種がコメ流通を変えつつあることと、それによって“コシヒカリ神話”がいずれ“昔話”になっていく予感だ。
コシヒカリの圃場。作り手の数だけコシヒカリの品質はあるが、その違いは消費者には伝わらない
食の損得感情

コシヒカリ頼みの文化的貧困状態から脱出するには

手もとの日本経済新聞を机の上に置いて眺める。今日のニュースをチェックしようというのではない。たとえとして、第一面全体を日本の水稲うるち米圃場の全面積だと考えてみる。紙面の上から6段分、中央の折り目から上のほとんどのスペースが「コシヒカリ」で埋まっていると想像して欲しい。以下、「ひとめぼれ」「ヒノヒカリ」「あきたこまち」がざっと1.5段ずつを占め、『春秋』というコラムの上までのほとんどを埋めてしまう […]
DAKARA。よからぬ思い込みが筆者だけのものであることを祈る
食の損得感情

思い込むのは消費者の勝手か

ある雑誌の編集長から聞いた不思議な話。九州のある小さな町に、小さな喫茶店がある。その店のマスターは、お客にマジックを披露してくれる。それが評判で、全国からお客が遠路はるばる訪ねて来る。日本を代表するような有名な企業の経営者やタレントなど、著名人もたくさんやって来る。あまりに大勢が来店し、行列が出来ては近所迷惑なので、当日朝一番に電話して予約しなければならない。