携帯電話。うちの子から携帯電話を取り上げようとする邪悪な企ては、必ずや粉砕されるであろう……
食の損得感情

教育再生懇談会の“携帯禁止”を食産業は笑えるか

全くばかげている。かりそめにも内閣総理大臣が開催する教育再生懇談会が、今月末にまとめる報告書に「小中学生に携帯電話を持たせるべきではない」という内容を盛り込むのだという。何かの問題が起こっていて、それとなんらかの物や事柄が関わっていると推測されたとき、他の物や事柄との関係をよく調べもせずに、他の方法も考えもせずに、とにかくなくしてしまえばいいという考え方は甚だしく合理性に欠け、極めて無責任であり、 […]
パセリとハツカダイコン(子供の学校の菜園産。記事とは直接関係ありません)
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「使い回し」は外食の常識ではないと信ずる

連休中、妻の父に温泉につかってもらおうということで、義父、妻、子供と私で車で出かけた。温泉と言っても首都圏の健康ランドのようなもので、朝食は付かない。それで翌朝、帰途にあったファミリーレストランで食事をした。我々の席を担当した店員は、妻の「これにはドリンクバーは付くの?」という質問を「後で説明します」と遮った。振り向けば、別の店員が、店内をバスケットの試合のように重心を落として敏捷に走り回っている […]
これではパンも売れまい。流通業は米食キャンペーンなどに知恵をしぼるべきだろう
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バター不足でもなおマーガリンを買わない理由

お困りの人も多いと思うが、バターが手に入らないのに閉口している。駅前のスーパーでも、車で行くスーパーでも品切れ。冷蔵ショーケースの中はからっぽ。または、マーガリンが嫌と言うほど積み上がっている。バターが並ぶはずのスペースには、次の入荷は何曜日という張り紙だけ下がっているが、その当日もお客が殺到して、バターはあっという間に品切れとなるはずだ。その人だかりに目を血走らせて参加することを想像するだけで具 […]
ある農家の鶏卵。人を楽しませる経験の作り方はさまざまだ
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「これがあってよかった」体験の提供でうまくいくリスコミ

最近の味の素のテレビCMに好感を抱く。「小栗流直球たまごかけご飯」篇と名前が付いている。俳優の小栗旬が、ジャーから丼によそった熱々のご飯にくぼみを作って生卵を割って載せ、醤油をかけ、そこに味の素を振って、かきまぜながらかき込む。それだけのシーンで、特段の説明はない。食べているシーンが終わった後に、「さとうきびを醗酵させて」というメッセージも流れるが、このカットはおとなしい。最も伝えようとしているの […]
朱印船(模型。国立歴史民俗博物館)。かつて明に渡航を拒否された日本の貿易商は、他のアジア諸国に向かった
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「中国依存」「自給率アップ」はどちらも腐敗の温床

中国製冷凍ギョーザの中毒事件以来、食品の製造や流通に携わる人と話していて、気がかりなことが1つある。彼らの多くが、「今の日本の食は、中国産の農産物や食品なしには成り立たない」という趣旨のことを言う。その主張のニュアンスとして「今の」の部分はごく軽く、むしろ「これからも」という気持ちが強いように感じられる。そして、「だから、そのことを消費者や報道機関に理解してもらう必要がある」とも言う。ビジネスパー […]
日本航空の別な機材。忘れ物に注意
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トイレに食事をしまったJAL機。食品衛生だけの問題ではない

2008年2月6日、日本航空の釜山発成田行きの旅客機が、軽食を積んだギャレーカート1台をトイレに収納して離陸していたことが分かった。釜山で空のカートを降ろし忘れ、所定の位置に収納できないカート1台があるのを、客室乗務員が離陸寸前に発見。咄嗟の判断でそれをトイレに押し込んで離陸した。上空ではカートの中身の軽食を通常通りサーブし、成田に着陸するときは再びそのカートをトイレにしまったという。
子供が包んだギョーザ。やれやれ、可愛さも味のうちか……
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ギョーザの内食化が進むのは外食の黄色信号

同業者のことをあげつらうのはあまりやりたくないことだが、新聞、テレビ、週刊誌のむき出しのセンセーショナリズムには、いよいよぞっとさせられる。中国製冷凍ギョーザの中毒事件に関して、最初は「中国産」「農薬」「毒」が見出しに躍っていたかと思えば、この1週間は「テロ」の2文字を入れるのが流行になっている。現在の段階では、分別に欠ける、危険な言葉の使い方と感じる。
国産の焼きギョーザ(記事とは直接関係ありません)
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中国産ギョーザで傷ついたのは誰?

中国産ギョーザによる健康被害の問題は、中国産商品が今後、日本の消費者と企業からどのように扱われるかを決する、重要な分岐点となるだろう。これまでに、中国産の農産物や食品でも、「日本向けに作られている商品は安心できる」とする論調があったが、これに冷や水が浴びせられた格好だ。私自身、それに概ね賛成していたので、考えさせられることが多い。もちろん、今でも中国産がすべてだめというつもりはさらさらないが、消費 […]
ラッカセイの乾燥
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天日乾燥で5倍の値を付ける「天空米」

子供に飽きるほどの雪を見せてやろうと考えついて、15年ぶりにスキーに行った。越後湯沢からタクシーで目的地へ向かう途中、石打丸山スキー場が見えて、「天空米」という商品があることを思い出した。リフトを運営する日本リフトサービス(新潟県魚沼市、鈴木一彦社長)の100%子会社JLC(同)が販売しているもので、スキー場のリフトに、根もとから刈ったイネをハサガケ(ハセガケ)のようにつるして天日乾燥したコメだ。
いわゆる“古代米”の稲穂(記事とは関係ありません)
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コシヒカリBLは、コミュニケーション戦略のミス

さてさて、温厚な松永さんを怒りで震えさせてしまったというのは、ただごとではない。だが、誤りの指摘や反論ならありがたいのだが、「違和感」という感情、「怒り」という情動だけ報告され、その原因に言及されないというのは、私としては困惑するばかりで、生産的でない。それを残念に思う。とはいえ、このことはコシヒカリ新潟BLを「コシヒカリ」として売るべきではなかったということを考える上で、よいヒントとなっている。
コメの収穫作業(茨城県)
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コシヒカリ新潟BLの販売方法は「情報隠し」か

新潟県の泉田裕彦知事は、JAなどがコシヒカリ新潟BLを在来コシヒカリと区別せず売っていることを批判した。朝日新聞などによれば、知事は2007年12月4日に、「消費者の信頼を獲得するため、なるべく情報を開示する方向でやったほうがいい」と発言。11月30日の県議会の委員会でも、「在来品種と新品種の違いを分からないようにして売ってしまおうという戦略。『情報隠し』だ」と言ったという(ともに朝日新聞の報道) […]
肉中温度計。ある種のチェーンレストランでは、商品の温度にノウハウが凝縮され、人間の体温のように、商品の温度で異常が見付かる
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ミシュランの覆面調査員とは違うが、気になる存在――ミステリーショッパー

19日の「ミシュランガイド」の発表から、周囲はその格付けに納得するかしないか、妥当と思えるか思えないかなどの話題でかまびすしいこと、一通りではない。なににせよ、食に関して世間の関心が高まるのは悪いことではない。私はと言えば、発表された店は行ったことのないところばかりで、我が身を省みて大いに笑ってしまった。もちろん殿上人の世界のことにはなんら意見する材料を持たないのだが、ニュースで触れられる「覆面調 […]
オートメションの製造工程を見せることを売りの一つにしている「クリスピー・クリーム」
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「生産のポルノグラフィー化」でいいのか?

鹿島茂氏のエッセーで、「メリヤスの逆説」という面白いキーワードに出会った(「ア・プロポ」:中公文庫「クロワッサンとベレー帽」所収)。メリヤスは1本の糸を編んで作る編み物のこと。また、機械編みの衣料品を指す(ちなみに、縦糸と横糸の2本の糸で作るのは織物)。ところが、今日、メリヤスは「専門の業者以外には口にしない死語になってしまっている」。鹿島氏自身、メリヤスは素材のことと思い込んでいたという。
伊勢神宮の御手洗場がある五十鈴川。赤福の波形はこの川の流れを模したとか。なんともおそれ多い話
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赤福は倫理観だけでなく販売予測技術も低レベルだったか

「赤福」が非常な勢いでたたかれている。テレビも新聞もニュースサイトも、同じような見出しを立てていて、さながら掲示板やブログの“祭り”にも似て見える。どうも、玄人が素人と一緒になって大騒ぎしているようで、観ていて小恥ずかしい――と、ここに書くのだから、私もたちの悪い野次馬の一人なのには違いない。