技術士からの提言(Y)

東京都に望む「BSE全頭検査」の卒業

名門大学生の逮捕により大麻汚染の広がりを認識する昨今だ。大麻や覚せい剤周辺の脱法ドラッグは取り締りが困難だったが、これを可能にしたのが2005年施行の「東京都薬物濫用防止に関する条例」である。用途にかかわらず薬物そのものを指定して規制した。本条例により、都内の脱法ドラッグは一掃され、その後の改正薬物法につながった。正に地方から日本を動かした。こうした東京都の実力は、地方自治体の中でも抜きん出ている […]
Harvey WileyとUSDA化学課職員たち。
Maryanskiのバイテクと食品安全考

中国のメラミン汚染ミルク/Melamine Tainted Milk in China

薄めたミルクのたんぱく質の栄養価を見掛け上高めるために工業用化学物質のメラミンが使われた最近の中国における公衆衛生上の危機は、1900年代初頭に米国食品医薬品局(FDA)が設立されることとなった事件を彷彿させる。Wiley博士のあの有名な「毒物捜査班」を想起させるのだ。 Melamine Tainted Milk in China: A Case of Food Adulteration, a L […]
事が大きくなればなるほど、仕事も生活もいかに彼の国に依存しているかが分かる(記事とは直接関係ありません)
食の損得感情

冷凍インゲンのジクロルボス汚染。何を求め、何をするべきか

東京都八王子市のスーパーで販売された冷凍インゲンが、有機リン系殺虫剤ジクロルボスで汚染されていた。包装に開封した切り口以外に穴はないというから、事実なら開封後に汚染したか、シール前に汚染したかのどちらかだ。一方、開封した途端に石油系の臭いがしたというから、証言が正しければ、シール前の汚染ということになる。また、その臭いから、散布するために有機溶剤に溶かした状態のもの、つまり農薬として流通しているも […]
うねやま研究室

中国ミルク汚染事件のメラミンとはどんなもの?

中国におけるメラミン汚染ミルク事件が世界中に波紋を広げています。現時点では事件の全容は不明ですが、とりあえずこれまでわかっていることをまとめてみようと思います。今回の事件の前に、2007年の米国でのペットフード事件についておさらいしてみましょう。この事件は中国産の「コムギグルテン」が、実は小麦粉にメラミンやメラミン類似体を混ぜただけの粗悪品だったことから、それを原料にして作ったペットフードを食べた […]
Maryanskiのバイテクと食品安全考

医薬用バイテク作物――前途有望な技術かそれとも食糧供給の脅威となるのか/Pharma Plants: A Promising Technology for Drugs or a Threat to the Food Supply?

日本の科学者は、花粉症に悩む多くの人々を救うため、その症状を緩和するコメの品種を開発中である。これはしかし、遺伝子組換え植物を使って重要な医薬品を作る(「医薬用」作物と称される)という現代バイオテクノロジーの利用の一例にすぎない。しかしながら、この技術が受け入れられるには、技術的および社会的な双方のハードルを超えなければならない。初の医薬用作物の多くは、トウモロコシ、イモ、コメといった一般的な食用 […]
技術士からの提言(Y)

三方一両得の食品回収対策

8月15日は終戦記念日。数年前のこの時期、出張先のホテルでアニメ版「火垂るの墓」を観たことがある。誰にも遠慮することなく、ボロボロ涙をこぼしたものだ。あの戦争では大勢の人が武器により、そして飢餓で亡くなった。現在の日本の繁栄は、彼らの尊い犠牲のおかげである。清太と節子、そして戦争で犠牲になった方々がこの日本を見ているとすれば、どのような気持ちだろう。農林水産消費安全技術センター(FAMIC)がまと […]
子供が包んだギョーザ。やれやれ、可愛さも味のうちか……
食の損得感情

ギョーザの内食化が進むのは外食の黄色信号

同業者のことをあげつらうのはあまりやりたくないことだが、新聞、テレビ、週刊誌のむき出しのセンセーショナリズムには、いよいよぞっとさせられる。中国製冷凍ギョーザの中毒事件に関して、最初は「中国産」「農薬」「毒」が見出しに躍っていたかと思えば、この1週間は「テロ」の2文字を入れるのが流行になっている。現在の段階では、分別に欠ける、危険な言葉の使い方と感じる。
国産の焼きギョーザ(記事とは直接関係ありません)
食の損得感情

中国産ギョーザで傷ついたのは誰?

中国産ギョーザによる健康被害の問題は、中国産商品が今後、日本の消費者と企業からどのように扱われるかを決する、重要な分岐点となるだろう。これまでに、中国産の農産物や食品でも、「日本向けに作られている商品は安心できる」とする論調があったが、これに冷や水が浴びせられた格好だ。私自身、それに概ね賛成していたので、考えさせられることが多い。もちろん、今でも中国産がすべてだめというつもりはさらさらないが、消費 […]
肘掛上のコールボタン
食の損得感情

間違いを起こせない環境こそがヒューマンエラーを封じ込める

先日、羽田から福岡へ向かった時のこと。飛行機の座席に座って新聞を読み始めたところ、私の隣、通路側に座った男性にキャビンアテンダント(CA)が声を掛けて来た。「お呼びになりましたでしょうか?」。男性は、「いや、呼んでない」と答える。すると、CAの手がヌッと私に向かって伸びてきて、肘掛に載った私の腕を払いのけた。