中国の街で頻繁に見かけるのが「超市」(チャオシー)である。文字からすぐにおわかりだろう。スーパーマーケットの中国語訳である。ただし、日本のスーパーをイメージしてはいけない。その実態を紹介しよう。
小規模な超市と便利店
中国の超市で一般的なのは、この連載の第2回で紹介した小規模店である。そのほとんどが間口4m×奥行き6m程度の1区画である。
この種の超市が混雑することは皆無で、販売員は一人で店番をしている。通常、棚に並ぶ商品は飲料、菓子類、加工食品(カップ麺など)、タバコ、酒類(ビールなど)である。
果物やタバコなどを充実させている超市の場合、それを店名に反映させることがある。たとえば、写真では店名の最後にこの店の強みとなる「水果」(果物)を記している。また、経営者の名前を入れて、店名を「〇〇超市」とする例がある。
なお、同じ営業形態でも「便利店」と称するケースがある。これも文字からお察しの通り、コンビニエンスストアの中国語訳である。ただし、これまた日本のコンビニとは大違いだ。中国で日本のイメージに近いコンビニについては、稿を改めて紹介する。
大規模な超市はパンと惣菜が充実
さて、上記とは全く異なる大規模な超市が存在する。大型建築物の1階に入居し、食品全般を扱うが、雑貨や洗剤、文房具、調理器具、小型家電などのコーナーを併設することが少なくない。上の階ではブランド衣服や靴などの販売を行うケースもある。
この種の超市で扱う食品では、パン類が充実していることが多い。惣菜コーナーが備わることがある。昼食時には、これら惣菜とご飯を組み合わせて弁当を作ってくれる店舗も見かける。筆者も利用したことがあるが、2種類の惣菜とご飯で12元程度(約180円)と格安である。
ただし、中国の食事のボリュームは日本に比べて圧倒的に多い。筆者にとっては、ご飯が食べきれないことが難点である。しかし、昼食時の超市は混雑しており、翻訳機を使って「ご飯少量」を伝えるのは難しい。
大規模超市において、魚介類は砕氷上に整然と並べられており、食肉類はカバーのある冷蔵ケースに収まっている。衛生面の問題はなく、日本のスーパーと遜色ない状態と言える。この点、連載第5回で紹介した街の食品市場とは大差がある。ただし、価格面ではどうしても割高になる。したがって、大規模超市の店舗数は食品市場に比べて圧倒的に少ない。
なお、食品を扱わない大規模な超市も存在する。「家電超市」といった店舗がその例である。この場合の「超市」は「販売店」と捉えれば混乱しないで済む。