赤黄色土は、日本の北から南まで広く分布する土です。これは、更新世という太古に日本列島が高温多湿であったために、岩石のさまざまな成分が風化して流れ出し、鉄とアルミニウムが多く残って出来た土壌と言えます。
日本の南北に広く分布する赤黄色土
赤黄色土はいわゆる赤い土のことです。
赤みのある土としては、畑の土(10)暗赤色土 iで、暗赤色土という石灰岩が風化してできた粘りの強い土のことを説明しましたが、そこでも述べたとおり、これは世界には広く分布しているものの、我が国で分布している地域はわずかです。
それに比べると、今回説明する赤黄色土は日本列島の南から北の端まで広く見ることができます。
赤黄色土は、その赤い色の鮮やかさが特徴です。黄色も濁りのない黄色です。褐色森林土の色は濁った色ですが、赤黄色土はこの鮮やかさですぐにそれとわかります。
この土の分布はどうなっているでしょうか。
沖縄に行けば、この種の土です。赤黄色土は熱帯土壌としては最もよく見られるものです。
九州以西ではどうでしょうか。まず、九州では筑紫平野から北にはありますが、南には全くありません。中国地方では日本海側の松江辺りに分布しています。また北陸から新潟にかけての日本海側にもあります。
太平洋側では、愛知県の渥美半島や静岡県の三方原台地や牧之原台地がこの土の典型が分布しています。
北海道にもあり、小樽郊外やサロマ湖の北部辺りで見ることができます。
日本列島が熱帯雨林気候にあった時代の名残り
さて、この種の土はどのようにしてできたのでしょうか。話は今から2万年から100万年ほど前、日本列島が暑くて雨も多かった時代に遡ります。この時代は地質学では更新世(洪積世)に含まれます。
更新世の時代は、日本列島はいわば熱帯雨林気候のような中にあったと言えます。この気候下では岩石の風化が激しく進み、風化して溶け出してきたケイ酸分に始まって、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどがどんどんと流れ去っていきました。そして結果として土壌中に残ったものはアルミニウムと鉄でした。このことは、これまでに何回も説明した話です。
こうして残った土は、アルミニウムと鉄がかなりの割合を占めるものとなります。その中の鉄は錆びた鉄の色になります。つまり赤錆色ということですが、これが土の色を左右するものとして決定的なものになっているということです。
ですから、沖縄から南へと赤道目がけて進んで行けば、どこでもこの赤い土になっていくというわけです。
ただ、赤が鮮明な色の場合と黄色みを呈する場合とがありますが、これらは何が異なるのか、その原因は何かということはわかりません。わかることは、色は異なっても同じ性質を持つということです。
ところで、現在でも暑い気候でこの種の土があることは理解ができると思いますが、寒い北海道ではどうして出来たのかと思うでしょう。それは、更新世は北海道まで熱帯雨林のような気候にあったためです。
このように、更新世の時代に高温多湿であった地域で岩石が激しく風化して鉄とアルミニウムの多い赤い土が出来上がり、しかもその後の地殻変動を受けてもそのまま地上に留まることができた場所で、現在赤黄色土が存在する、ということになります。