(1) | 育苗培土(野菜苗を中心に) |
(2) | 固形培地によるハウス栽培 |
(3) | ハウスでの地床栽培 |
(4) | 露地畑 |
(5) | 水田での水稲 |
(6) | 水田からの転作 |
(7) | 海外での農業 |
農業生産を行う現場を7つに分類し、それぞれについて、土のあり方と栽培の実際について説明している。今回からは、ハウスなどの施設を使わない露地の圃場について説明する。
夏の北海道に行けば、バレイショの花が咲いた風景。本州では高原レタス。沖縄ではパイナップルやサトウキビ……。よく管理された一面の緑の畑は美しいものです。
こうした多くのきれいな光景は、露地畑という農業上の分類になります。露地畑は日本の耕地460万haの内の約200万ha程度を占めていいて、野菜をはじめとする多くの農産物の生産基地となっています。
そして、日本の露地畑にはいくつか独特の特徴があります。
まず、広大な1枚の畑というのは多くはなく、複雑な地形で分断されている上に、農家の細かな土地所有が重なりあって、それはそれは細かく分かれています。そのそれぞれに、自然条件と人的な条件が異なっています。
また、露地畑も耕作されずに放棄されている面積も大きいのです。
つまり、日本の露地畑はさまざまな問題を抱えているということです。
圃場整備が進んだ水田
詳しくは後の章で説明するのですが、ここで水田について考えてみましょう。
日本の耕地面積の半分以上の250万haは水田です。水田は、国家的事業として圃場整備を進めてきました。この事業では、高低差のある複数の小さな水田を均平にならして大きな1枚の水田にまとめるといったことが行われました。そして大型機械を入れやすいように地形や接道を整え、灌漑用水も完璧に整備してきました。
これらは、平たく言えば大規模な土木工事です。とくに、複数の水田を1枚にするには、表層の土を一度よそに移動しておいて、重機で土地を均平にならして1枚の圃場に作り直し、そこへ、よそに移動しておいた表層の土だけを拡げるといった工事を行います。
かなり荒っぽいことをするわけですが、それをしたことで水田の生産力が落ちるということは、ほとんど起こりません。
水田のような整備が難しい露地畑
さて、全国の水田の圃場整備が終わってしまうと、国は次に畑の圃場整備という事業に取り組みました。水田で行ったのと同じように、地形に分断され、起伏もある小さな畑を大きな1枚の畑に作り替えていく土木工事です。
畑が小さかったり、境界線が直線でなかったりすると、生産効率は上がりません。そこで、形のよい大きな圃場にまとめることは合理的だと考えられます。ところが、畑では、こうしたことをすると生産力が目に見えて落ちます。土木工事によって形こそ大型圃場にはなりますが、工事以前のような生産力は再現できないのです。
この工事の代金は、整備後にパワーアップした農業生産でまかなう青写真になっているので、農家は青くなります。
水田では平気なのに、畑ではなぜそうなってしまうのでしょう? それは、水田の場合は土壌構造というものはないに等しいのに対して、畑の場合は土壌構造こそが生命線とも言えるからです。
圃場を羊羹のように切って断面を見たときに、上には作物の根がはう作土があり、下のほうには水をうまく逃がす層があるという風に、露地畑には適正な構造が必要なのです。
露地畑に重機を入れて土木工事を行うことで一度土壌構造を壊してしまうと、それを元に戻すのは大変困難なことです。時間をかけても、改良資材を施しても、元の表層土のようにはならないものです。