日本食いしんぼ学会のおいしい情報研究会は、日本の消費者が外食をしようとするときにどのような情報源を活用しているかを解明するために行った調査「第一回グルメディア調査」の結果を発表した。
調査はインターネット調査で、関東1都6県に住む20代~60代の男女を対象に、7055人から回答を得た。調査対象情報源は「友人・知人」「雑誌やグルメ本」「ぐるなび」「食べログ」「ホットペッパーグルメ」「お店のホームページやブログ」「SNS」の7つで、これらは予備調査で重要と判定されたもの。
調査結果では、消費者が店選びの際に重視する情報は店に関する事実情報であり、他人の意見は重視されていないことがわかった。また、「ぐるなび」「食べログ」などのグルメサイトの利用率は高かったが、FacebookやTwitterなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)は店探しではほとんど利用されていなかった。
店選びでは事実情報を重視する
外食の店選びで重視することを複数回答で尋ねた結果、「料理のメニュー」「価格帯」がそれぞれ7割と最多で、「お店の場所」6割、「店内の雰囲気」5割が続いた。
一方、「他人の評判」「お店の規模・席数」「接客サービス」はそれぞれ2割程度で、他の項目に比べると重視することとして挙げる人が少なかった。
「お店のホームページ」と「ぐるなび」で店を選ぶ
外食をしようとするときに参考にする情報源を、「ゼロからお店を探すとき」「比較検討するとき」「最終的に決めるとき」の3つの場面について複数回答で尋ねた結果、いずれの場面でも「ぐるなび」を挙げた人が多かったが、それぞれの場面で情報源の使い分けがされていることがうかがわれた。
「ゼロからお店を探すとき」は、「ぐるなび」5割、「友人・知人」4割、「食べログ」3割の順に回答が多かった。
「比較検討するとき」は、「ぐるなび」4割、「お店のホームページやブログ」4割、「食べログ」3割の順に回答が多かった。
「最終的に決めるとき」は、「お店のホームページやブログ」4割、「ぐるなび」3割、「友人・知人」3割の順に回答が多かった。
各場面で、食べログは20代~30代で比較的多く使われていた。
また、いずれの場面でも「SNS」を利用する人は1~2%ごくわずかであった。
なお、同研究会の他の調査から、独自のホームページを持たず「ぐるなび」のページを店のホームページとしている店が多いことがわかっており、今回の「グルメディア調査」では、「ぐるなび」と「お店のホームページやブログ」を混同している回答者が含まれている可能性がある。研究会では、次回の調査では両者をはっきりさせる調査を行いたいとしている。
外食積極派は「食べログ」、消極派は「友人・知人」頼み
外食をしようとするときに参考にする情報源の回答を、外食に積極的な人と消極的な人に分けて集計した。これは、別の質問で「お店選びにこだわる」「お店選びでは必ず情報源を選択する」「お店選びを相談されることが多い」「お店選びが楽しい」のうち3つ以上を選択した人を「外食積極派」(877人)、いずれも選択しなかった人を「外食消極派」(2770人)としたもの。
「外食積極派」では、「ぐるなび」5割、「お店のホームページやブログ」5割、「食べログ」5割の順で回答が多かった。
「外食消極派」は「外食積極派」に比べて全般に情報源の利用が少なく、「ぐるなび」3割、「友人・知人」3割、「お店のホームページやブログ」3割の順で回答が多かった。「外食積極派」の5割が選択した「食べログ」は、「外食消極派」では2割となるところに大きな違いがある。
「ぐるなび」は情報が多い・便利・高鮮度
各情報源の評価を20項目の設問で尋ねた結果から5つの要因を識別して分析した。
この結果、「ぐるなび」は「情報量・網羅性」「検索のしやすさ」「情報の鮮度」で評価が高かった。また、「見やすさ・楽しさ」では「お店のホームページやブログ」、「信頼性」では「友人・知人」の評価が高かった。
評価の順位 | 情報源 |
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1 | ぐるなび |
2 | お店のホームページ |
3 | 食べログ |
評価の順位 | 情報源 |
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1 | ぐるなび |
2 | 食べログ |
3 | ホットペッパーグルメ |
評価の順位 | 情報源 |
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1 | ぐるなび |
2 | お店のホームページ |
3 | 食べログ |
評価の順位 | 情報源 |
---|---|
1 | お店のホームページ |
2 | ぐるなび |
3 | 雑誌やグルメ本 |
評価の順位 | 情報源 |
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1 | 友人・知人 |
2 | お店のホームページ |
3 | ぐるなび |
ネットに店や料理の書き込みをする人はわずか
外食した店や料理についてネットに書き込みをしたり写真をアップロードするかを尋ねた。「よく行う」「たまに行う」の合計は、「SNSや自分のブログ」で2割、グルメサイト」で1割の結果となった。
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●第一回グルメディア調査
調査期間:2013年2月
調査方法:インターネット調査
サンプル:無作為抽出した20代~60代の男女7055人
調査対象地域:関東1都6県
調査機関:日経BPコンサルティング
おいしい情報研究会メンバー
阿部誠(東京大学大学院経済学研究科教授)
片平秀貴(丸の内ブランドフォーラム代表)
渋谷覚(東北大学大学院経済学研究科教授)
津村将章(東北大学大学院経済学研究科博士課程)
吉松敏也(丸の内ブランドフォーラム ディレクター、日本食いしんぼ学会 専務理事)