月桂冠総合研究所は、「糖質ゼロの日本酒は、食事中の飲酒により口の中をすっきりさせる“ウォッシュ効果”が高い」と発表した。同研究所は、この研究結果を日本生物工学会大会(9月27日)と日本醸造学会大会(10月5日)で発表する。
料理との相性高める効果も
月桂冠は「月桂冠 糖質ゼロ」を販売しているが、今回の研究はこうした糖質ゼロの日本酒を食事中に飲むと、食事中に舌に残る料理の味の成分を洗い流し、二口目、三口目の味わいを最初の一口目の味わいのように新鮮にさせる「ウォッシュ効果」が、一般の日本酒に比べて高いというもの。
この効果は幅広いメニューで確認され、後味のバランスを保ちながら口の中をすっきりさせる、食べ物の味の余韻をふくらませるなど、料理との相性を高める効果も見られるとしている。
研究は、味香り戦略研究所(神奈川県横浜市)の協力により、味覚センサーを使って確認した。
月桂冠総合研究所の堤浩子氏らは、日本生物工学会2011年度大会のシンポジウム「酒類の食味成分研究の新展開」で「糖質ゼロ清酒への挑戦」と題して、また平成23年度日本醸造学会大会で糖質ゼロ清酒の開発」と題して、糖質ゼロ清酒の開発と“ウォッシュ効果”の研究結果について発表を行う。
酵母の選抜や工程の管理で“糖質ゼロ”実現
月桂冠は2004年9月にカロリー2割・糖質3割カットした製品を発売、2008年3月には糖質85%カットした製品を発売した。さらに、2008年9月には、栄養表示基準に基づき100mlあたりの糖質が0.5g未満のため「糖質ゼロ」を表示できる製品を発売した。
2011年7月には、これを実現する「糖質スーパーダイジェスト製法」(GSD製法)がが特許を取得し、9月出荷分からパッケージに特許番号と「特許取得 おいしさの秘訣【GSD製法】」の表示を開始した。
具体的には、麹が米のデンプンを分解する力を強化すること、醗酵後期まで醗酵力を持続できるような酵母を選抜することに加え、醗酵途上で成分分析をきめ細かに行って醗酵条件のシミュレーションを行い、温度などの条件を調整することで「糖質ゼロ」を安定して醸造できるようにした。
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●日本生物工学会2011年度大会 シンポジウム「酒類の食味成分研究の新展開」
演題:糖質ゼロ清酒への挑戦(堤浩子)
発表日時:2011年9月27日(火)9:30
会場:国立大学法人東京農工大学・小金井キャンパス S1会場
(東京都小金井市中町2-24-16)
※シンポジウムの詳細ページ
http://www.sbj.or.jp/2011/symposium_workshop/
●平成23年度日本醸造学会大会
演題:糖質ゼロ清酒の開発(堤浩子、犬童雅栄、秦洋二、川戸章嗣)
発表日時:2011年10月5日(水)15:15
会場:北とぴあ つつじホール
(東京都北区王子1-11-1)
※日本醸造学会
http://www.jozo.or.jp/gakkai