第11回ソバ研究会。 世界の穀物需給の中でソバをとらえる

第11回ソバ研究会。懇親会でも活発な情報交換、交流があった。
第11回ソバ研究会。懇親会でも活発な情報交換、交流があった。

第11回ソバ研究会。懇親会でも活発な情報交換、交流があった。
第11回ソバ研究会。懇親会でも活発な情報交換、交流があった。

ソバ研究会(事務局:筑波大学農林技術センター内)は第11回ソバ研究会を2月26日つくば国際会議場で開催した。

 今回の話題は、世界の穀物需給を俯瞰する中で穀物としてのソバに注目した内容となった。

 筑波大学大学院生命環境科学研究科教授徳永澄憲氏は、「中国の穀物の生産・流通について」の題で激変する中華人民共和国の食糧需給の変化を詳細にレポート。急成長するなか、食肉や乳製品需要が拡大している様子、穀物から換金性の高い作物へシフトする農家の出現、内モンゴル自治区の草地管理などについて発表した。

 アメリカ穀物協会日本事務所代表浜本哲郎氏は、「アメリカにおける穀物の生産と流通:メジャークロップとマイナークロップ」と題して、米国での穀物生産の概要に加え、米国内のソバ生産地が主にオオムギ生産地と重なる傾向があること、トウモロコシ播種が遅れた場合に、ソバ栽培が有利になるという試算などについて発表した。

 三忠國島進氏は「蕎麦原料の流通について」として、最近のソバ需給、玄そば高騰とそば消費減少の原因究明と対策の必要性をレポートした。また、各国のソバ生産とそば利用についての話題で、世界的には蒸しそば(蒸して乾燥したソバの実。主に粒食で利用)の需要が多いことや、中国のソバ生産は主に個人の農家により、30a-100aの小規模な圃場が点在している状況などを紹介した。

 食品総合研究所藤田かおり氏は「第11回世界ソバシンポジウム開催報告」をする中で、蒸しそばの食べ方の一つであるロシアのカーシャなど、さまざまなそば料理も紹介した。

 また、来場していて急遽演壇に立った中華人民共和国のソバ研究者林汝法氏が最近の研究について報告し、穀物の安定供給と特徴あるソバ品種による高付加価値の生産は両立するという持論を発表した。

 質疑応答では、蒸しそばに関する質問や、米国でのソバ生産・流通の実態に関して、コンタミネーション、トレーサビリティに関する質問があり、流通の実務者の関心の高さを感じさせた。

 ソバ研究会は農業、食糧の研究者、製粉、飲食店などの事業者、そば打ち愛好家と、ソバ・そばにかかわるさまざまな人が集まり、植物として、食糧として、商品としてなど、ソバ・そばに関する多様な情報交換を行っている。毎回、講話のほかポスター発表、製品、産物等の展示も行っている。

 今回は穀物の話題に重点があった形だが、例年通り約150名が参加し、懇親会でも当日の話題について活発な情報交換が行われた。