バイオ作物懇話会が「遺伝子組換え作物の研究開発と野外栽培試験に関する署名」を募集

バイオ作物懇話会(事務局宮崎市・長友勝利代表)は、「遺伝子組換え作物の研究開発と野外栽培試験に関する署名」を集める活動を行っている。宮崎大学で行われている遺伝子組換えワタの隔離試験栽培に対する反対運動に対して、生産者、研究者、消費者、遺伝子組換え技術に携わる企業等の要望を伝える考え。3月10日を目処にとりまとめ、宮崎県に提出する。

 宮崎大学は、バイエルクロップサイエンスとの共同研究で、昨年から除草剤グルホシネート及びチョウ目害虫抵抗性ワタの生物多様性影響評価試験を開始。現在、隔離圃場で栽培を行っている。これに対して、遺伝子組換え作物に反対する団体が署名活動などの運動を展開している。

 バイオ作物懇話会は、遺伝子組換え作物がすでに多くの国で栽培されていること、その収穫物は家畜飼料、食用油原料(トウモロコシ、ダイズ、ナタネ、ワタ等)として、日本の畜産と食品産業にとってすでに欠かせないものとなっていることを踏まえ、国内農家も注目している技術であることを訴えている。

 半面、遺伝子組換え作物の利用や開発については、国が安全性評価を行っているにもわらず、科学的とは言えない情報の流布がなされていること、いくつかの地方自治体が国の法律が定めていない過剰な規制を行っていることを憂慮。それらによって国民の適切な理解が進まず、新技術を導入したい生産者の権利が侵害され、また国内の研究開発が遅れることで国益が損なわれているとしている。

 また長友氏は、「現在の豊かな暮らしは、品種改良をはじめ科学技術の進歩が大きく貢献していることは紛れもない事実。私たちは将来にわたり、消費者にとっても生産者にとっても安全で低コストにつながる農産物を提供していかなければならない。世界的な人口増や環境の変化による栽培面積の限界が懸念される中、研究開発や検証の場をも閉ざすことは、我が国の将来に大きな禍根を残すことになるのではないか。私たちは現在の遺伝子組換え作物を巡る状況に大きな危機感を持っている」と訴えている。

 署名で求める内容は以下の通り。

  1. 食料や飼料など全ての農業生産物に対する生産者の要望に応えた、新しい遺伝子組換え作物の研究開発の促進
  2. この商品化のために必要な検証や、安全性確認のための野外栽培試験を推進すること
  3. 今後とも遺伝子組換え農産物に関する正しい情報を国民に伝える

 バイオ作物懇話会は代表の長友氏が「日本農業の発展を願って、若い農業後継者に夢と誇りを残せる農業のために何ができ、何が必要か」を考えて1997年から活動を開始。現在、全国の農家約740名が加盟し、遺伝子組換え作物の利用などの新技術について議論や勉強会を行っている。

「遺伝子組換え作物の研究開発と野外栽培試験に関する署名」署名用紙
※プリントアウトして自筆で署名し、バイオ作物懇話会へ郵送のこと。住所等は上記ファイル中に記されています。