企業内・企業間であるべき連鎖・連携について考え直す連載。このシリーズで言う「チェーン・ビジネス」の範囲と、一般に行われている業種・業態分類の特徴を見ている。今回は、フランチャイズ・チェーンの特徴の続きと、ライセンシング・ビジネスについて解説する。
フランチャイジーによる直営店の問題
フランチャイズ・チェーンの成否は、フランチャイザーの商品開発力、ビジネスモデル開発力、トータルなプロデュース力などにかかるが、企業としての資質も問われる。すなわち、社会的な信頼性、CSR遵守の精神などは重要だ。
しばしばフランチャイザーとフランチャイジーの間で問題になることに、フランチャイザーによる直営店の展開がある。フランチャイザー自身が直接投資してダイレクト・ショップを出店する場合、ロイヤリティの負担があるフランチャイジーと同じ価格の“財”を売ることになるため、フランチャイジーの収益差が表面化するのである。しかし、現状ではフランチャイジーを保護する法律があるわけではない。
フランチャイズ・チェーンとして展開されるものの基本的な“財”はセルフサービスによって提供される類のものが多い。しかし、葬祭場や結婚式場など、人的なサービスやビジネスモデルそのものが“財”になることもある。
付)ライセンシング・ビジネス
なお、ブランドやノウハウの使用許諾(製造・販売を含むことが多い)を行い、その対価としてロイヤリティをとる場合にはライセンシング・ビジネスと呼ぶ。この形態のビジネスも増加する傾向にあるが、これは店舗があるとは限らず、したがって店舗運営のノウハウや販売上のノウハウが提供されるとは限らないなど、フランチャイズ契約とは異なるものだ。
たとえばハーレーダビッドソンの場合、数多いアパレル商品やアクセサリー商品は、車両本体に取り付ける部品を除くと、そのほとんどはハーレーブランドの使用を許諾されたライセンシー(ライセンスを与える契約の相手)によって作られていた。
ライセンシングの場合は、使用許諾を行う対象ブランドの商標権などの権利をライセンサー自身が持っている。ライセンサーは、ライセンシーに対して、厳格なブランド管理・運用規則に従うことを求め、対象商品や使用可能地域などを制限する。ライセンスを許諾した商品については、そのサンプルの提出を事前に求め、審査に合格したものだけを製造販売許可するなどの厳しい管理運用が基本になる。
なおライセンシング・ビジネスでは、ディズニーのブランドやキャラクターを使った商品なども有名である。