輸入食品審査システムにAI

No.08(2025.04.16)

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国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。FAOは精密発酵の食品安全に関する報告書を発表。EU27カ国他は、動物用抗菌薬のEU初の販売・使用に関するデータを収集し、年次サーベイランス報告書として発表。韓国MFDSはAIを活用した輸入食品審査システムで国際認証を取得し、書類処理の自動化も導入。各国で食の安全と効率化が進む。

注目記事

【FAO】精密発酵は食料生産に安全で持続可能な未来をもたらすか?

 2025年3月28日、国連食糧農業機関(FAO)は、急速に進化する精密発酵の技術について、関連する食品安全への配慮に焦点を当てた報告書「精密発酵-食品安全に焦点を当てて」を発表した。本報告書では、名称の複雑さ、基本的な生産原理、既存の世界的な規制の枠組みについて検証している。精密発酵は比較的新しい用語で、国際的に合意された定義はない。従来は植物や動物から得ていた目的の食品成分を特異的に生産するための特定の発酵プロセスを示す用語として使用されることが多い。さまざまなタイプの精密発酵プロセスを紹介する3つの詳細なケーススタディも紹介している。本報告書は、世界の食品安全当局が優良事例や教訓をまとめるためのガイドとして利用できるものである。

【EMA】動物用抗菌薬のEU全体での販売と使用に関する最初の報告書

 EU27カ国とアイスランド、ノルウェーは、初めて、動物用抗菌薬の販売と使用に関するデータを収集し、第1回European Sales and Use of Antimicrobials for Veterinary Medicine(ESUAvet)年次サーベイランス報告書として発表した。ESUAvetの報告書は、欧州における動物用抗菌薬使用に関する欧州サーベイランス(ESVAC)プロジェクトが基となっている。今回のデータは2023年を対象としており、食料生産動物用の抗菌薬で最も販売量が多いのはペニシリン系であり、次いでテトラサイクリン系、スルホンアミド系であった。今後は毎年報告書を発行する予定である。

【MFDS】食薬処、政府機関初のAI国際標準認証を取得

 韓国の食品医薬品安全処は、安全性に問題のない輸入食品を自動的に検査・申告・受理する「輸入食品リスク予測及び電子審査(SAFE-i24)」システムについて、政府機関初の人工知能マネジメントシステム(ISO/IEC42001)認証を取得したと明らかにした。

 SAFE-i24は、デジタル技術を活用して行政業務を完全自動化した最初の事例である。過去の検査履歴、禁止原料の使用有無、不適合履歴など270以上の項目を検討し、輸入申告確認証まで自動発行する人口知能(AI)基盤の輸入食品検査システムで、2023年から段階的に導入し、今年初めにすべての輸入食品に適用した。これにより、書類検査が365日24時間可能になり、検査時間が最大で48時間から5分以内に短縮された。

【MFDS】輸入食品海外工場登録書類、AI技術で検討する

 食品医薬品安全処は、AIなどのデジタル技術を適用した「輸入食品海外製造事業所登録書類自動検討システム」を3月17日から運営する。

 新システムは、従来は民願担当者が直接検討していた民願書類を、AI機械学習をベースとする光学文字認識(AI-OCR)、業務処理自動化(RPA)技術などを活用して、登録申請者情報、海外製造事業所所在地などの基礎情報を検討し、輸出国政府証明書などの多言語書類を自動翻訳・比較する。これにより、申請情報の一致/不一致や重複事業所の有無などを確認する。海外製造事業所登録情報の誤りを最小化し、年間約4万件に達する苦情の処理期間を3日から1日に短縮できると見込まれ、効率的な輸入食品の安全管理が可能になる。

(注目記事のまとめ:安全情報部第三室)

目次

【FAO】

1. 精密発酵は食料生産に安全で持続可能な未来をもたらすか?

2. 食品安全フォーサイトへのアプローチを構築:専門家がローマで会合

3. AIは農家にとって画期的なソリューションとなり得る:FAOのイノベーションチーフのインタビュー

4. ビデオ公開 新しい食物アレルゲン管理アプローチ

【EC】

1.ビデオ録画-EUにおけるワンヘルスアプローチ科学的助言から実践まで(2025年3月28日)

2. SCHEER-水枠組み指令の下での総 PFASの環境質基準案に関する最終意見

3. 査察報告書

4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EMA】

1. 動物用抗菌薬のEU 全体での販売と使用に関する最初の報告書

【EFSA】

1. Safe2Eat2025キャンペーン:EUの食品安全に対する消費者の信頼を高める

2. 植物保護に使用される基本物質キトサン及びキトサン塩酸塩の承認のレビューに関する声明

3. 農業用土壌中のキチンの推定

4.データに関するアドバイザリーグループの2024年の年次報告書

5. ApisRAMバージョン3のモデル行動の評価(ApisRAM.03)

6. 食品酵素関連

7. 健康強調表示関連

【FSA】

1. FSAの消費者調査でキッチンでのリスクのある行動が浮き彫りになる

2. FSAは新たなイノベーションハブの立ち上げに140万ポンドの資金獲得を発表する

3. 規制製品の市場認可プロセスの改革が施行される

4. 規制製品安全性評価

【DEFRA】

1. 自然を後押しする:政府が10年ぶりに農薬に関する行動計画を発表

2. 意見募集:残留性有機汚染物質(POP)として提案された物質のリスクプロファイル案2025

【BfR】

1.スラッシュアイス飲料に含まれるグリセロールは望ましくない健康影響を起こす可能性がある

2. 電子タバコに含まれる冷却剤は十分に研究されていない:健康障害の可能性 特に吸入中に肺に起こりうる影響に関するデータが不足している

【FDA】

1. FDA 長官

2.よくある質問:食物アレルゲン表示に関する事業者向けガイダンス

3.リコール情報

【EPA】

1. EPAは飲料水中のフッ化物に関する新たな科学的知見を早急にレビューする

【CFIA】

1. 事業者向け情報-カナダにおける蜂蜜の真正性要件

【FSANZ】

1. 高甘味度甘味料生産用の新しい酵素に関する意見募集

2. 食品基準通知

【APVMA】

1. 化学物質のレビュー期間が延長される

【TGA】

1. 安全性助言

2.リコール情報

【MPI】

1. 食品通知:農業用化学物質の最大残留基準

【香港政府ニュース】

1. CFSは朝食用シリアルのターゲット調査の結果を発表する

2. 違反情報

【MFDS】

1.日本産輸入食品の放射能検査の結果

2. 国内流通農・蓄・水産物の残留物質検査の結果、安全なレベル

3. 輸入不老草に対する検査命令を施行

4. 食薬処、政府機関初のAI 国際標準認証を取得

5. 輸入食品海外工場登録書類、AI 技術で検討する

6. 自分に合う健康機能食品、オーダーメイド型で選択してください

【HSA】

1. HSA 警告

【その他】

・ProMED-mail1件

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.08(2025.04.16)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202508c.pdf