食物アレルゲン情報は書面で

No.06(2025.03.19)

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国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。英国食品基準庁は、外食産業向けに食物アレルゲン情報提供に関するガイダンスを更新、書面での情報提供を推奨。米国FDAは培養豚脂肪細胞を使った食品の市販前協議を完了。USDAによる次の段階の審査が予定されている。欧州環境庁(EEA)は気候変動によるカビ毒暴露の増加とその健康影響について報告した。

注目記事

【FSA】外食産業における食物アレルゲン情報に関する事業者向けガイダンスが更新された

 英国食品基準庁(FSA)は、食物過敏症の消費者へのアレルゲン情報提供に関する外食事業者向けガイダンスを発行した。このガイダンスは、事業者が食物アレルゲン情報を提供する際の消費者の安全確保をサポートすることを目的としており、外食産業の現場(レストランや屋台、テイクアウト等)で食物アレルゲン情報を書面で提供することを推奨している。

※ポイント:英国やEUでは、全ての食品事業者にアレルゲン表示・情報提供が義務付けられています。本ガイダンスでは、外食事業者が「消費者がアレルゲン情報を書面で簡単

に入手できるようにし、従業員が会話でサポートできるようにすること」がベストプラクティスとされ、使いやすい(easy to use)、明確(clear)、包括的(comprehensive)、正確(accurate)の4つの原則や、具体的な情報提供方法が示されています。日本では、外食・中食における食物アレルゲン情報提供が推奨されており、消費者庁が啓発資料を公開しています。(https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/

【FDA】FDAは培養豚脂肪細胞を使ったヒト用食品の市販前協議を完了する

 米国食品医薬品局(FDA)は、培養豚脂肪細胞を使用したヒト用食品に関するMission Barns社との市販前協議を完了した。FDAは、市販前協議で定義された生産プロセスで生産された培養豚脂肪細胞を使用した食品は、他の方法で生産された同等の食品と同程度の安全性があるとの同社の結論について、現時点で疑問はない。この培養豚脂肪細胞は、国内のヨークシャー豚の腹部脂肪細胞を用いたものである。

※ポイント:米国では、培養細胞から作られる食品の規制は、細胞バンクや細胞の培養、分化させる段階までの監視はFDAの管轄、その後の収穫から加工、包装など販売製品にするまでの段階の監視を米国農務省食品安全検査局(USDA-FSIS)が管轄しています。そのため、FDAによる事前協議が完了したので、今後は、USDAが収穫・加工等の施設が衛生やHACCPなどFSISの規制要件を満たすことを確認するとともに、製品表示の承認を審査することになります。今号では、この他に、英国食品基準庁(FSA)が細胞培養製品に関する2年間の規制ブログラムを開始したこと及び照射の反応に関するエビデンスレビューについても紹介しています。

【EEA】気候変動の影響により、有害な毒素への暴露が増加している

 欧州環境庁(EEA)が発表したブリーフィング「変動する欧州の気候におけるカビ毒暴露」によると、気候変動による気温の上昇により、特定の食品、飼料、作物に含まれる真菌が産生する天然の毒素であるカビ毒の増加が促進され、ヒトが暴露されるリスクが高まっている。このブリーフィングでは、カビ毒に関連する健康上の懸念、特に食用作物への影響と、欧州の協調的な取り組みがどのように拡散への対処と汚染防止に役立つかを考察している。

(注目記事のまとめ:安全情報部第三室)

目次

【FAO】1. Codex

【EC】

1. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】

1. 食品に含まれる動物用医薬品―2023年の非遵守は低水準を維持

2. Healthcare Reckitt社により製造された、タンパク質加水分解物を原料とする乳児用及びフォローアップ調製乳に使用される、脱脂牛乳と乳清タンパク質濃縮物を原料とする特定のタンパク質加水分解物の栄養学的的安全性と適合性

3. EFSAの作業者暴露計算の更新

4. EFSAの農薬遺伝毒性データベースの拡大

5. EFSAのパフォーマンスに関する意見募集―2025年4月1日締め切り

6. 食品添加物関連

7. 食品酵素関連8. 農薬関連

【EEA】

1. 気候変動の影響により、有害な毒素への暴露が増加している

【FSA】

1. FSAが細胞培養製品のための先駆的な規制プログラムを開始する

2. より健康的な食品組成変更

3. 外食産業における食物アレルゲン情報に関する事業者向けガイダンスが更新された

4. 規制製品申請ガイダンス

5. 野生の魚類及び甲殻類等の汚染物質に関する研究プロジェクト

6. 2025年3月のFSA理事会のペーパーが公表される

7. 規制製品安全性評価8.リコール情報

【FSS】

1.スコットランドの食品消費者追跡調査(第18回)

【BfR】

1. 一般家庭で抗菌製品の使用? 例外的な場合にのみ

2. xORA:食品及び飼料のリスク評価分野における教育プログラムのための共同ウェブプラットフォーム

【RIVM】

1.プラスチック廃棄物の熱分解:プラスチックチェーンの熱分解油に含まれるオランダの高懸念物質

【ANSES】

1.ガルシニア・カンボジアを含むフードサプリメントを摂取しないこと

2. 食品関連リスクに関する6つの新しい欧州科学プロジェクト

3. ANSESはガラキソリドを欧州CLP規則において生殖毒性として分類することを提案4.ベジタリアン食の健康への影響と関連する食事ガイドライン

【VKM】

1. 特定の乳化剤、安定剤、増粘剤の消化管への影響に関する研究のスコーピングレビュー

2. 乳児用調製乳に含まれるプロバイオティクスのリスク評価

【FDA】

1. FDAは培養豚脂肪細胞を使ったヒト用食品の市販前協議を完了

2. FDAはPFASを含むアサリの食品の輸入警告(Import Alert)対象企業を追加する

3. 警告文書

4.リコール情報

【HHS】

1. HHSのケネディ長官はFDAに対し、企業による食品成分の安全性の自己認証プロセスを廃止する規則の制定を検討するよう指示

【USDA】

1. USDAとHHSがアメリカ人のための食事ガイドライン策定プロセスの最新情報を共有

【FSANZ】

1. 害虫抵抗性遺伝子組換えダイズから作られた食品に関する意見募集

2. 食品中のカフェインに関する許可の見直しに関する第2回意見募集

3. 食品基準通知

【香港政府ニュース】

1. ニュースレター

【MFDS】

1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果

2. 残留農薬が基準値を超過して検出された輸入「アボカド」の回収措置

3. 食品安全と持続可能な産業成長のための食品基準を整えていきます

4. 食薬処、今年は海外直輸入食品の購入・検査を2倍に強化

5. 食薬処、春季の貝類毒素の先制的安全管理を実施

6. 食薬処、糖尿病リスクのある成人のためのオーダーメイド型栄養管理ガイドを開発

【SFA】

1. 穀類に含まれる重金属:知っておくべきこと

2. プレスリリース

【その他】

・ProMED-mail2件

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.06(2025.03.19)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202506c.pdf