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国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。FDAは生鮮・冷凍ベリー類の腸内ウイルス汚染を防ぐ戦略を発表。ベリー類関連のアウトブレイクが続く中、業界や関係者と連携しウイルス検出技術向上や対策の共有を促進する。欧州食品安全機関は反芻動物由来のゼラチン・コラーゲンによるBSEリスクを評価。経口曝露による新規BSE症例が発生しないことはほぼ確実としている。
注目記事
【米国】ベリー類からの腸内ウイルス汚染の予防
背景
米国食品医薬品局(US FDA: US Food and Drug Administration)は、生鮮・冷凍ベリー類の腸内ウイルス汚染に関する新たな予防戦略の概要を発表した。これには、FDAおよびその他の関係者による予防策の決定やその確実な実施に役立つ指針が概説されている。
生鮮・冷凍ベリー類に関連するA型肝炎ウイルスやノロウイルスなどの腸内ウイルスの感染症アウトブレイクは、米国および世界各地で長年にわたり発生している。米国では国産ベリー類に関連する腸内ウイルス感染アウトブレイクは35年間報告されていないが、輸入の生鮮・冷凍ベリー類に関連するアウトブレイクはたびたび報告されている。
生鮮・冷凍ベリー類におけるウイルス汚染リスク低減のための新たな予防戦略として収載されている対応策には、ベリー類に関連するアウトブレイクの調査報告で繰り返し紹介されているものもある。ベリー類やその他の手摘み農産物における腸内ウイルス汚染に関する衛生管理や制御対策は、世界的に有効なものである。有効な対策を特定・採用・共有することは、ベリー類や類似したリスク要因のある農産物の米国内外の栽培業者、加工業者および供給業者にとって有益である。
新たな予防戦略
この新たな予防戦略(以下 Webページ参照)は、ベリー類の腸内ウイルス汚染に寄与する可能性のある因子に対応できるように策定されている。
世界のベリー類業界で正確な情報が迅速に共有され、有効な予防策が継続的に実施されるために、FDA、業界およびその他の関係者が行うべきことが概説されている。また、知見不足を解消する取り組みとして、種々の検体からの腸内ウイルス検出能力・解析能力を高める科学研究の強化、および高度な検査方法を用いた汚染源の関連付けを行っている。ベリー類などの生鮮農産物における腸内ウイルスの生態学を解明するための研究も指定されている。
この予防戦略で設定されたすべての目標および成果は、生鮮・冷凍ベリー類に関連する食品由来疾患の発生を減らすことを目的としている。このような戦略を策定するための情報は、アウトブレイク調査結果の評価、業界の食品安全専門家やその他の関係者の協力、および過去のデータの見直しから得られた。
【欧州】反芻動物由来コラーゲンおよびゼラチンによるBSEリスク
欧州食品安全機関(EFSA: European Food Safety Authority)は、ヒツジ、ヤギまたはウシの骨から製造されたゼラチンおよびコラーゲンによる牛海綿状脳症(BSE)(C型、L型、H型)のリスクの推定を要請した。
種間伝播バリアは重要であると考えられているもののまだ定量化されていないことから、ヒトにおける感染物質への曝露をそのまま疾患リスクと解釈することはできない。しかし、ヒトの感染が成立するにはかなり多量の感染物質が必要であり、経口経路の場合は非経口経路より多量の感染物質が必要と考えられる。反芻動物の骨から製造されたゼラチンに経口曝露した場合に、ウシまたは小型反芻動物において新規のBSE症例が発生しない確率は99〜100%(ほぼ確実)と考えられる。今回の結論は、現在の知見、BSEの疫学的状況および作業状況にもとづいており、コラーゲンに関しても有効である。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
目次
【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. ベリー類における腸内ウイルス汚染の予防戦略を発表
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 有機栽培のクルミに関連して複数州にわたり発生した大腸菌O157:H7感染アウトブレイク(2024年7月9日付最終更新)
【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)
【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 反芻動物の骨由来のコラーゲンおよびゼラチンによる牛海綿状脳症(BSE)感染リスク
【Eurosurveillance】
1. フランス領マイヨット島で発生したコレラ(Vibrio cholerae O1)感染アウトブレイク
(2024年4〜7月)
【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 食品を介した志賀毒素産生性大腸菌(STEC)/腸管出血性大腸菌(EHEC)感染―リスクを認識し予防するためのQ&A
【ProMED-mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(13)(12)(11)(10)
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(微生物)No.04(2025.02.19)
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202504m.pdf