内分泌かく乱化学物質暴露減少

No.04(2025.02.19)

ブームスプレーヤ(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。FAOは内分泌かく乱化学物質への暴露状況を分析。規制や消費者意識向上により減少傾向だが、さらなる低減が課題。EFSAはアゾール系殺菌剤の使用がアスペルギルス症の原因菌の耐性獲得を促すリスクを警告し、ワンヘルスアプローチの重要性を強調。EUは第三国由来伝統食品の認可手続きに関するガイダンスを発表。

注目記事

【FAO】内分泌かく乱化学物質への暴露:2002年から2024年までの変化

 国連食糧農業機関(FAO)は、報告書「内分泌かく乱化学物質への暴露:2002年から2024年までの変化」を、インフォグラフィックとビデオとともに発表した。この報告書は、内分泌かく乱化学物質(EDC)への暴露低減化のためのリスク管理導入後の数十年を対象に、EDCへの暴露量の変化に関する文献レビューの結果をまとめたものである。

 FAOはとくに食事由来のEDCへの暴露に焦点をあてている。ただし、ヒトでのEDC暴露に関する入手可能な情報の大部分は、暴露経路を区別していないバイオモニタリングのデータによることに留意が必要である。本報告書で対象にしたのは、有機塩素化合物、ポリ臭化ジフェニルエーテル、フタル酸エステル類、ビスフェノール類、パラベン・トリクロサン・ベンゾフェノン、アルキルフェノール類、パーフルオロアルキル化合物、植物性エストロゲンなどである。

 2002年以降、ヒトでのEDCへの暴露量は全体的には減少傾向にあり、その変化は、特定の規制措置、業界の自主的な取り組み、消費者の意識の高まりによりもたらされたものである。しかし暴露がすべてなくなったわけではなく、さらなる低減化のための課題を提起している。

【EFSA】ワンヘルス:EU機関はAspergillus属菌のアゾール系殺菌剤耐性に団結して取り組む

 欧州連合の5つの機関(欧州食品安全機関、欧州疾病予防管理センター、欧州化学品庁、欧州環境庁、欧州医薬品庁)が、ヒト用医薬品以外のアゾール系物質の使用が公衆衛生にどのような影響を及ぼすかをレビューした共同報告書を発表した。

 アゾール系医薬品は、Aspergillus属菌が引き起こす重篤な感染症であるアスペルギルス症の治療に欠かせないものである。しかし、原因菌がアゾール系医薬品に対する耐性を獲得しつつあり、治療効果が弱まっていることが近年問題になっている。共同報告書では、農業や園芸におけるアゾール系殺菌剤の広範な利用がAspergillus属菌がアゾール耐性を獲得するリスクに寄与していることなどを指摘した上で、耐性獲得のリスクを低減するための措置に関する提言をまとめ、分野を超えたワンヘルスアプローチによる協力強化が重要であると強調している。

【EFSA】規則(EU)2015/2283に従った第三国由来伝統食品に関する通知書および申請書作成のための行政ガイダンス

 EUの新規食品制度を定める規則(EU)2015/2283のもと、第三国由来伝統食品について、第14条に従った通知(notification)および第16条に従った認可申請(application)の手続きに関する行政ガイダンスをEFSAが発表した。第三国(EU域外の国)で相当数の人が25年以上安全に食してきた歴史を有する一部の食品については、第三国由来伝統食品として新規食品制度の手続きが簡略化される。

 本ガイダンスは、書類作成や提出、タイムライン、EFSAスタッフとの一連のやり取りなどの手続きについて詳しく説明するものである。付属文書として、申請者が準備すべき提出物のチェックリストが提供されている。これは、EFSAが科学的要件への適否を評価するのに必要な情報リストとも言えるものであり、手続きが簡略化される第三国由来伝統食品とはいえ、安全性をはじめ科学的要件を満たしている証拠を示すのに膨大な情報が必要になることを理解できる。

(注目記事のまとめ:安全情報部第三室)

目次

【WHO】

1. ファクトシート:ナトリウムの低減

2. 低ナトリウム塩代替品の使用:WHOガイドライン

3. 国際がん研究機関(IARC)

4. 出版物

【FAO】

1. 内分泌かく乱化学物質への暴露:2002年から2024年までの変化

2. 発表イベント:動物用医薬品残留物リスク評価のためのJECFAツールボックス

3. 食品安全管理のためのAI、FAOのYouTubeで公開中

4. Codex

【EC】

1. 査察報告書

2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】

1.ワンヘルス:EU機関はAspergillus属菌のアゾール系殺菌剤耐性に団結して取り組む

2. 化学物質モニタリング報告ガイダンス:2025年データ収集

3. 規則(EU)2015/2283に従った第三国由来伝統食品に関する通知書及び申請書作成のための行政ガイダンス

4. 第三国由来伝統食品としてのトンカ豆(Dipteryx alata Vogel)の煎った種子の通知に関する技術的報告書

5. 食品に関する誤情報を検出するためのAIツールのベンチマーク分析と特定

6. 利害関係者フォーカスグループ:公開協議用ツールキットの共創

7. 新規食品リスク評価データモデリング及び抽出(NORA)—最終報告書

8. 食品添加物関連

9. 食品酵素関連

10. 食品接触物質関連

11. 香料グループ評価

12. 農薬関連

13.ポッドキャスト

【FSA】

1. 乾燥ベースで少なくとも85%のタンパク質を含む赤及び/又は黄レンズ豆(Lens culinaris)から得られる「レンズ豆タンパク質(Lentil protein)」:同化規則(EU)2015/2283第4条2項に基づく新規食品としての位置づけの判断

2. リコール情報

【FSS】

1. Food and You2消費者調査:スコットランド(第8回)重要事項

【COT】

1. 水銀が母親の健康に及ぼす影響に関するディスカッションペーパー

【BfR】

1.タトゥーインク:どのくらいの着色料が体内に入るのか?

【RIVM】

1. 労働条件規則における感作性に関する注意書きについてのアドバイス

【ANSES】

1. 超加工食品の潜在的な健康影響をよりよく良く理解する

2. ANSESは欧州CLP規則でレゾルシノールを内分泌かく乱物質に分類することを提案

【FDA】

1. 魚介類に関連する毒素及びスコンブロトキシンによる魚中毒の報告方法

2. 動物用飼料GRAS通知インベントリ

3. 公示

【EPA】

1. EPA、合意を最終決定し、内分泌かく乱物質スクリーニングプログラムのデータ通知に関する新しい追跡ウェブサイトを発表

2. EPA、カルバリルの生物学的意見書案に対する意見公募期間を延長

【CFIA】

1.アルコール飲料、ノンアルコール飲料、酢、穀類ベースのパンやクラッカー、大豆ベースの製品に含まれるカルバミン酸エチル(2016年4月1日〜2018年3月31日、及び

2020年4月1日〜2022年3月31日)

2. 意見募集

3. 食品表示を理解する

【FSANZ】

1. 食品基準通知

【MPI】

1. New Zealand Sugar Company社は鉛に汚染された砂糖製品の輸入と販売で約15万ド

ルの罰金を科せられた

【香港政府ニュース】1.プレスリリース2. 違反情報

3.リコール情報

【MFDS】

1.日本産輸入食品の放射能検査の結果

2.年末年始の食品など合同点検の結果、違反業者115業者を摘発・措置

3. 不眠症・うつ病・不安症状改善、海外直輸入食品の購入に注意してください

4. 食薬処は今年、緑茶抽出物など9種の健康機能食品の再評価を実施

【SFA】

1. 食品(改正)規則2025

2. 非栄養性甘味料について理解する

3.プレスリリース

【HSA】

1. HSAは2024年に97万件以上の違法健康製品を押収し、7,000件以上の違法製品リストを削除した

【その他】

・ProMED-mail2件

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.04(2025.02.19)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202504c.pdf