国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。FDAは食品・内服薬での赤色3号使用許可をデラニー条項に基づき段階的に取り消すと発表。発がん性が雄ラット特有でヒトにはリスクが低いが、法的基準に則った判断。FDAはまた、PFAS関連で35件の食品接触物質通知が2025年1月6日に無効化。それら食品接触物質の供給・使用が中止されたことを受けての判断。
注目記事
【FDA】FDAは食品及び内服薬におけるRed No.3(赤色3号)の使用許可を取り消す
米国食品医薬品局(FDA)は、2022年に提出された請願を承諾し、米国連邦食品医薬品化粧品法(FD&C 法)のデラニー条項に基づきFD&C Red No.3(赤色3号)の使用許可を取り消すことを発表した。食品及び内服薬に赤色3号を使用している製造業者は、それぞれ2027年1月15日、2028年1月18日までに製品の組成変更を行う必要がある。
請願では、ラット特有のホルモンメカニズムにより多量の赤色3号に暴露された雄ラットで発がんが認められた研究を引用し、デラニー条項が適用されるかどうかの審査をFDAに求めていた。
赤色3号が雄ラットにがんを誘発するメカニズムはヒトでは起こらない。また、ヒトでの赤色3号への暴露レベルは雄ラットで発がんを引き起こすレベルよりもはるかに低い。FDAは、食品や内服薬における赤色3号の使用によりヒトに健康リスクが生じるという主張は、入手可能な科学的情報によって裏付けられていないとしている。
※ポイント:デラニー条項では、食品添加物や着色料がヒトまたは動物にがんを誘発すると判断される場合は、食品に使用することは認められないとしています。そのため、根拠とされた赤色3号の発がん性が、発がんメカニズムから考えるとラットに特有でありヒトでの問題でなくても、デラニー条項に則っていないという法的な理由から認可取消しの対象になっています。連邦官報に経緯が詳細に記されていますので、ご興味のある方は参考になさって下さい。
※連邦官報:Color Additive Petition From Center for Science in the Public Interest, et al.; Request To Revoke Color Additive Listing for Use of FD&C Red No.3in Food and Ingested Drugs
【FDA】FDAはPFASに関連する35件の食品接触物質通知の認可はもはや有効ではないと決定した
FDAは、パー及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)に関連する35件の食品接触物質の市販前通知(food contact notifications: FCN)はもはや有効ではないと決定したことを連邦官報で通知した。2025年1月6日をもって無効となる。製造業者又は供給業者がそれら食品接触物質の生産、供給又は使用を中止したことを受けて判断された。35件のFCNでは、油の漏れを防いだり耐水性を持たせるために紙・板紙製の包装に塗布される耐油コーティング剤に使用される食品接触物質を認可していた。
※ポイント:米国では2020年に、FDAと食品接触物質の製造業者及び供給業者との間で、PFASを含む耐油性物質の販売を自主的に段階的に廃止することで同意していました。FDAは、今回の措置とともに、紙・板紙製の包装においてPFASを含む耐油性物質を検出するためのスクリーニング方法を開発したことも発表しています。
(注目記事のまとめ:安全情報部第三室)
目次
【WHO】
1. 微量栄養素調査アナライザー及びその他のツール
【FAO】1. Codex
【EC】
1. 欧州委員会、食品接触物質及び成形品中のビススフェノールA(BPA)、その他のビスフェノール類及びビスフェノール誘導体の使用に関する欧州委員会規則(EU)2024/3190
を官報で公表
2. 査察報告書
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. 農薬リスク評価のための陸域生態毒性学ガイダンス文書の改訂及び間接的影響に関するアプローチ開発のためのワークショップ
2. 食品添加物関連
3. 食品酵素関連
4. 新規食品関連
5. 食品接触物質関連
6. 農薬関連
【FSA】
1. Food Safety Act1990及びFood Standards Act1999における言及の修正
2. 気候適応(Climate Adaptation)報告書
3. 病気につながる犬用おやつについて飼い主に予防的助言
4. リコール情報
【FSAI】
1. 2024年に食品事業者に出された133件の執行命令
【RIVM】
1. 殺生物剤のヒト暴露評価における基礎測定データのスクリーニング
【FDA】
1. FDAは食品及び内服薬におけるRed No.3(赤色3号)の使用許可を取り消す
2. FDAはPFASに関連する35件の食品接触物質通知の認可はもはや有効ではないと決定した
3. FDAはタルク含有化粧品中のアスベストを検出・特定するための標準化された検査法を義務付ける規則を提案する
4. FDAは赤ちゃん及び小さい子供向け加工食品の鉛の基準値に関する事業者向け最終ガイダンスを公表する
5. FDAは、米国乳児用調製乳市場のレジリエンスを高めるための長期国家戦略を発表する
6. FDAはアレルゲン、食品安全及び植物性代替食品の表示に関するガイダンスを公表する
7. FDAは2つのガイダンス案を発表し、市販前動物用食品成分の審査プログラムについて一般からの意見を募集する
8. CVM GFI #187B 動物における遺伝性の意図的なゲノム改変:承認プロセス
9. FDAは、2025年1月1日から2026年12月31日までに発行される食品表示規則の統一の法令遵守日を公表する
10. FDAはポピーシード(ケシの実)に関する情報提供を求める
11. FDAは高タンパク質ヨーグルトに関する情報提供を求める
12. 着色料認証に関する報告:2025会計年度第1四半期、10月1日-12月31日
13. FDAは更新された「ヘルシー(Healthy)」の強調表示に関するウェビナーを開催する
14. 公示
【EPA】
1. EPA、複数のクロルピリホス製品に対する最終的な取り消しおよび使用停止命令を出す
2. EPAは水域のPFASレベルに関する健康影響に基づく勧告案を発表
3. EPAは9種類のPFASを有害化学物質排出目録に追加登録
4. EPA、フタル酸ジイソデシル(DIDP)のTSCAリスク評価を最終決定
5. EPAは、DCHPのTSCAリスク評価案、フタル酸エステルの累積リスク分析案、DIBP、DBP、DEHP、BBPのハザード技術支援文書案を発表
6. 動物実験削減に関するウェビナーに登録する
7. EPA、農薬ラベルの二ヶ国語化を追跡する計画を提案
【USDA】
1. FSISによる複数の残留化学物質分析法の更新
2.バイオトウモロコシに関するUSMCA 紛争で米国が勝訴
【US GAO】
1. 食品安全:FDAは米国の食品供給を保護するための査察活動を強化するべきである
【CFIA】
1. 選択された食品中のフラン、2-メチルフラン及び3-メチルフラン(2021年4月1日から2023年3月31日)
【FSANZ】
1. 食品基準通知
【APVMA】
1.パラコートとジクワットのレビュー期限を延長
【TGA】
1.ハーブ医薬品/伝統ハーブ医薬品の品質に関するガイドライン
2. リスト収載プロバイオティクス医薬品の品質証明
3. Black Salve 製品の違法な販売と広告の疑いで個人が起訴された
【香港政府ニュース】
1. ニュースレター
2. CFS、減塩点心の消費者の許容に関する調査結果を発表する
3. 違反情報
【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 食品表示、可読性向上のためのeラベルを本格的に推進
3. 2025年1月から変わる食品安全制度
4. 食薬処、グローバル食品安全規制情報システムを開放
5. 食薬処‐水品院、フィリピン産水産物の電子証明システムを共同活用
6. 食薬処‐消費者院、国民の安心のための食薬安全管理協力を強化
【その他】
・ProMED-mail2件
別添
【EFSA】
1. 欧州食品リスク評価フェローシッププログラム(EU-FORA)シリーズ7
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.02(2025.01.22)
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202502c.pdf
- 食品安全情報(化学物質)No.02(2025.01.22)別添
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202502ca.pdf