国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。英国毒性委員会(COT)は、ターメリック/クルクミンをサプリとして摂取した場合にADIを超過する可能性を指摘し健康リスクの可能性ありと結論づけた。米FDAは「Healthy」と強調表示するために必要な要件を更新した。オランダRIVMは野生牛の肉へのダイオキシン移行モデルの更新版を発表した。
注目記事
【COT】ターメリックおよびクルクミンサプリメントのヒトの健康に対するリスクの可能性に関する声明
英国毒性委員会(COT)が、ターメリックとその成分クルクミンのサプリメントによる健康リスクに関する最終的な意見を発表した。食品添加物または香辛料として使用されるターメリック/クルクミンの摂取については、EFSAによる評価の食事摂取量(2010年、2014年)では暴露量が許容一日摂取量(クルクミンADI:0〜3mg/kg体重/日)の範囲内となる。しかし、サプリメントとして多量に摂取した場合にはADIを超過する可能性がある。COTは、肝毒性に関する最近の報告をもとに入手可能なすべてのデータを検討した結果、限られたデータではあるが、当該影響は摂取時に現れ、摂取停止後に消失することから、ターメリックの摂取との関連を示す合理的なエビデンスがあると結論づけた。その徴候は特異体質反応と一致する。COTは、ADIの大幅な超過は、特に他の医薬品を併用している場合や肝胆道系機能が変化している場合に、ヒトに対する健康リスクの可能性があると結論づけた。
【FDA】FDAが「ヘルシー(Healthy)」の強調表示を更新し、消費者に新たな手段を提供する
米国食品医薬品局(FDA)は、栄養成分強調表示の「ヘルシー(Healthy)」の定義を更新する最終規則を発表した。製品が更新された定義を満たせば、製造業者は食品包装に「Healthy」という強調表示を自主的に使用できる。定義要件の概要は下記の通りである。本規則は2025年2月25日に発効し、2028年2月25日を遵守の期限とする。
・Dietary Guidelines for Americans(アメリカ人のための食事ガイドライン)で推奨されている食品グループ又はサブグループ(果物、野菜、穀類、無脂肪乳製品、低脂肪乳製品、タンパク製品など)の少なくとも1つの食品を一定量(食品グループ相当量)含むこと。
・飽和脂肪、ナトリウム、添加糖類について特定の制限量を満たすこと。
【RIVM】野生牛におけるダイオキシン類およびダイオキシン様PCBsの移行モデルの更新
オランダの河川と堤防の間(氾濫原)にある多くの地域では、自然管理の一形態として野生牛の放牧が行われている。群れの管理のために屠畜された牛の肉は「野生の肉」として販売される。2020年、氾濫原の草や土壌に含まれるダイオキシンやダイオキシン様ポリ塩化ビフェニル(PCB)が原因で、一部の野生牛の肉から過剰な濃度のダイオキシンが検出された。そのため、オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)とワーヘニンゲン食品安全研究所が協力し、牧草や土壌に由来する野生牛の肉への移行量を推定する移行モデルの更新版を発表した。更新版では、さまざまなダイオキシン類とダイオキシン様PCBの特性の違いを考慮している。たとえば、牧草や土壌からの吸収速度や、乳汁中への排泄速度の違いである。本モデルは、オンラインで利用可能にする予定である。
(注目記事のまとめ:安全情報部第三室)
目次
【FAO】1. Codex
【EC】
1. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【ECHA】
1. ECHA、特定の芳香族系臭素系難燃剤に対する環境懸念を表明
【EFSA】
1. 意見募集―食品と飲料水に含まれるフッ化物のリスク評価案
2. 食品に含まれる過塩素酸塩:パブリックコメント募集のための科学的意見案
3. オントロジーロードマッピングとケーススタディの実践
4. 化学物質の規制のリスク評価における影響のバイオマーカー使用のためのガイダンス作成の概念的基礎
5. 食品・飼料の安全性における透明性を支援するための、ヒト集団のサブグループと動物種における汎用的な動態及び動的動態モデリング:ケーススタディ
6. 食品酵素関連
7. 新規食品関連
8. 農薬関連
【FSA】
1. CBD 製品の分析(2022-23)
2.2024年12月の規制対象食品及び飼料製品10品目の市場認可に関する協議
3. 規制製品安全性評価
4.ブログ:ステークホルダー情報更新2024年12月のFSA 理事会
【FSS】
1. 先天異常を防ぐため、パンと小麦粉に葉酸を強化する
2. 非動物由来の高リスク食品及び飼料規則の改正(レビュー3)
【DEFRA】
1.ポリシーペーパーイングランドで栽培される作物への特定のネオニコチノイドの使用に関する新たなアプローチ
2. 残留性有機汚染物質3カ年報告書2019〜2021年
3. 英国食料安全保障報告書2024
【COT】
1.ターメリックおよびクルクミンサプリメントのヒトの健康に対するリスクの可能性に関する声明
【FSAI】
1.アイルランドの食品システムに対する継続的な信頼を確保するためのFSAIの新5カ年戦略
【BfR】
1.フッ化物:欧州食品安全機関がリスク評価の更新案を提示この文書は一般からコメント可能
【RIVM】
1.50歳以上の人々に対するカドミウムと鉛の混合物のリスク評価
2. 成人におけるカドミウムと鉛のバイオモニタリング
3. 野生牛におけるダイオキシン類およびダイオキシン様PCBsの移行モデルの更新:モデル資料
【VKM】
1.ヘスペリジンに健康リスクはない
2. 硝酸塩と亜硝酸塩の食事摂取源のマッピング:食品中の硝酸塩と亜硝酸塩のリスク評価の第1部
【FDA】
1. FDAが「ヘルシー(Healthy)」の強調表示を更新し、消費者に新たな手段を提供する
2. FDAはEUに輸入されるすべての蜂蜜及びその他の養蜂製品に対する欧州連合(EU)の要件を公表する
3. FDAがアサリのPFAS 検査結果を共有する
4. FDAは食品におけるベニテングダケ(Amanita Muscaria)又はその成分の使用について業界と消費者に警告する
5. 証言:FDAが米国における糖尿病と肥満の流行を減らし、食品飲料業界の強欲に立ち向かうためにしていること
6. FDAはヒト用食品のリスト形式での輸出認証(輸出リスト)の経験について一般からの意見を募集する
7. 公示
8.リコール情報
【EPA】
1. EPA、TSCAの下でリスク評価を検討中の16の化学物質に関する健康および安全性のデータ報告規則を最終決定
2. EPA、有害物質規制法に基づく5つの化学物質のリスク評価を開始し、次の5つの化学物質のプロセスを開始する
3. EPAは、PFASから地域社会をより良く保護するための新たな研究とデータ収集活動を開始
【USDA】
1. 食事ガイドライン助言委員会の2025年版科学的報告がオンラインで入手可能に
【香港政府ニュース】
1.プレスリリース
2. 違反情報
【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 肝硬変患者用食品基準の新設など推進
3. 輸入冷凍キグチに対する検査命令の施行
4. 無登録漬物製造業者を摘発
5. 食薬処、毎日乳業の調査結果を発表
6. 食薬処、新しい健康機能食品機能性原料の開発を支援
7.チューインガム、トマトケチャップなど消費期限の参考値を追加提供
8. 食薬処‐産業部、民間参加型食品安全管理システムのモデル事業を実施
【HSA】
1. HSA 警告:高濃度の鉛を含む「ayukalp Mahayograj Guggulu」と偽造品「LACTOGG」カプセルが消費者に有害影響を引き起こした;消費者1名が入院
【その他】
・ProMED-mail1件
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.01(2025.01.08)
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202501c.pdf