欧BPA禁止。甚大な影響懸念

No.26(2024.12.25)

イメージ

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。欧州委は食品接触物質のBPA使用禁止を採択、移行期間は18カ月で一部例外あり。EFSAは食品中の有機ヒ素を評価、AsBなど一部化合物にリスクない可能性考慮したが、データ不足で結論不明の部分も。EPAはクロルピリホス食品用途をほぼ全廃する規則案を提示し、2025年2月10日まで意見募集中。

注目記事

【EC】欧州委員会、食品接触物質におけるビスフェノールAの使用禁止を採択

 欧州委員会は、健康に有害な影響を及ぼす可能性があるとして、食品接触物質におけるビスフェノールA(BPA)の使用禁止を採択した。この禁止措置は、今年6月に実施されたEU加盟国による賛成投票と、その後の欧州理事会および欧州議会による精査期間を経たもので、欧州食品安全機関(EFSA)による最新の科学的評価を考慮したものである。

※ポイント:BPAの用途は非常に多様なので多大な影響が生じると予想されます。大部分の用途に対する移行期間は18カ月間とし、濾過膜の製造への使用など一部の限られた用途については例外的に追加の期間が設けられます。現在EUでは、食品接触物質について規制全体の見直しを行っており、BPA規制の他にも、セラミック及びガラス質の食品接触材料からの移行物質の規制値の変更や新規導入を検討しているとのことです。

【EFSA】食品に含まれる複雑な有機ヒ素化合物のリスク評価

 欧州食品安全機関(EFSA)は、食品に含まれる複雑な有機ヒ素化合物に関するリスク評価の結果を報告した。主に水産物に含まれており、アルセノベタイン(AsB)、アルセノ糖(グリセロールアルセノ糖/AsSugOHなど)、アルセノ脂質などがある。AsBとAsSugOHへの食事暴露は健康上の懸念を引き起こさない可能性が高いと考えられたが、その他のアルセノ糖に関する結論は出せなかった。またアルセノ脂質については毒性データが不十分なためリスクキャラクタリゼーションを実施できなかった。

※ポイント:EFSAが実施しているヒ素に関する一連のリスク評価の一つであり、無機ヒ素(2024年1月)、低分子無機ヒ素化合物(2024年7月)に次ぐ科学的意見です。これらの科学的意見をもとに、最後に無機ヒ素と有機ヒ素の複合暴露に関するリスク評価を予定しているとのことです。

【EPA】EPAは殺虫剤クロルピリホスのほとんどの食品用途を取り消す規則を提案

 米国環境保護庁(EPA)は、11種の食用及び飼料用作物に関連するトレランスを除き、クロルピリホスに関するすべてのトレランスを取り消す規則案を発表した。食用作物11種は、2020年の暫定登録審査決定案(PID)で用途の候補として特定された、アルファルファ、リンゴ、アスパラガス、チェリー、柑橘類、綿花、桃、大豆、イチゴ、甜菜、小麦(春および冬)であり、PIDで評価された特定の州に限定されている。2025年2月10日まで意見を募集する。

【ご挨拶】

 2024年の最終号となります。国内では紅麹含有製品による重篤な健康被害の問題があり食品安全行政の歴史に残る年となりました。海外ではPFAS関連、米国食品医薬品局の組織再編(ヒト用食品プログラム)、新たな食糧源及び生産システムに関するニュースが目立ちました。来年も引き続き食品安全の海外情報をご紹介していきますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。皆さま、よいお年をお迎えください。

(注目記事のまとめ:安全情報部第三室)

目次

【WHO】

1. 出版物

【FAO】

1. FAOの新しい報告書は、食品貿易政策に栄養目標を統合するためのガイダンスとデータを提供

2. Codex

【EC】

1. 欧州委員会、食品接触物質におけるビスフェノールAの使用禁止を採択

2. 欧州委員会、2025年に向けた包括的な健康・食品査察・解析の作業計画を発表

3. 欧州委員会、欧州農業食料委員会を発足

4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【ECHA】

1. 分類、表示、包装に関する改訂規則発効

2.11月のRACおよびSEAC会合のハイライト

【EFSA】

1. 食品に含まれる複雑な有機ヒ素化合物のリスク評価

2.2023年の新興リスクに関するEFSAの活動

3. 累積リスク評価の実施を考慮した農薬の毒性影響のデータベースの更新パート1:毒

性エンドポイントのカタログと毒性エンドポイント収集のためのデータモデル

4. 規制対象製品の申請において提出されたGLP試験の検証のための方法論の精緻化

5. ガイドラインに基づく発達神経毒性試験の使用に関する情報の概要

6. In Vitroアッセイ開発のためのDNT標準化学物質試験セットの推奨

7. 2024年危機準備訓練:年次報告書

8. 食品添加物関連

9. 食品接触物質

10. 香料グループ評価

11. 農薬関連

12. ポッドキャスト

【ECA】

1. 特別レポート23/2024: EUにおける食品表示–消費者は表示の迷路に迷い込む

【FSA】

1. ブログ:Bovaer牛用飼料添加物に関する説明

2. 飼料添加物の申請:要件と推奨事項

3. 新規食品代替タンパク質中のアレルゲン検出方法のレビュー

4. マスタード原料へのピーナッツ混入:ピーナッツアレルギーのある人の認識と行動

5. リスク評価

【FSS】

1. FSSはスコットランドにおけるソーシャルメディアを通じた食品販売の実態を示す報

告書を発表した

【DHSC】

1. 子どもの肥満を抑制するため、ジャンクフード広告を禁止する法規制が進む

【COT】

1. 緑茶カテキン類の肝毒性に関する声明

【BfR】

1. ボタン型電池の誤飲は小さな子供達に重大な危害をもたらす可能性がある

2. 消費者保護のためのリンクトデータBfRでのリンクトデータと人工知能に関するシンポジウム

【RIVM】

1. N-アセチルシステイン(NAC)含有フードサプリメントのリスク評価

2. 統合暴露:リスク評価における割当係数の使用を探る

【FDA】

1. FDAは、乳児用調製乳の製造の永久中止又は製造中断をFDAに通知するためのガイ

ダンスを発表した

2. FDAは特定の輸入調理器具に含まれる鉛について小売業者と流通業者に文書を発行する

3. FDAが有毒なキバナキョウチクトウで代用された特定のサプリメントについて警告する(2024年1月)

4. FDAはゲノム編集を用いて生産された植物由来食品に関する自主的な市販前報告に関するガイダンスを発表する

5. FDAは2024年版の自主的な全国小売食品規制プログラム基準を発表した

6. USDA-FDAは米国の消費者にさらなる明確性、透明性及びコスト削減を提供すること

を目指し、食品の日付表示に関する情報を求める

7.2026年会計年度VQIP申請を開始する

8. FDAとStop Foodborne Illnessは食品安全文化ウェビナーシリーズを共同開催する

9. 公示

10. 警告文書

11. リコール情報

【EPA】

1. EPAは殺虫剤クロルピリホスのほとんどの食品用途を取り消す規則を提案

2. EPAは、公衆衛生の保護と効率性、一貫性の向上を目指し、新規化学物質のレビュープロセスを改革:新規PFASおよびPBT化学物質は製造前安全性レビュープロセスの対象

3. EPA、フタル酸エステル類のTSCAリスク評価スケジュールを発表

4. EPA、絶滅危惧種法のレビューが必要な抗菌性農薬に関するガイダンス案を発表

5. EPAは、購入者が持続可能な製品を見つけるのを支援する勧告の最終更新を発表

【CFIA】

1. そのまま喫食可能な食品、植物油脂に含まれるフタル酸エステル類(2020年4月1日から2021年3月31日)

2. リコール情報

【FSANZ】

1. 食品基準通知

【TGA】

1. 伝統中国薬(TCM)に含まれる元素不純物

2. 安全性助言

3. リコール情報

【香港政府ニュース】

1. 食品混入不純物(金属汚染物質)規則の改正案に関するパブリックコンサルテーショ

ンが開始された2. 違反情報

【MFDS】

1.日本産輸入食品の放射能検査の結果

2. 正しい食生活で子供がより健康に成長する社会を作ります

3. フードQR表示製品発表、多様な食品情報を私の手の中で確認できます

4. チキン、麻辣湯のデリバリー店、ラーメン無人販売店など点検、30カ所を摘発・措置

5. ヨーロッパに続き、食品医薬品安全処規制外交でK‐ラーメン海外進出へ

【SFA】

1. Forum Replies

2. リコール情報

【その他】

・食品安全関係情報(食品安全委員会)から

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.26(2024.12.25)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2024/foodinfo202426c.pdf