二酸化チタン遺伝毒性根拠薄い

No.23(2024.11.13)

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国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。英国毒性委員会は二酸化チタンの遺伝毒性について声明を発表した。米国FDAのヒト用食品プログラムはリスク管理の活動を微生物関連、化学物質、栄養の3つの主要領域に集中する。FDAはまた、魚のヒスタミン濃度規準を引き下げた。ドイツ当局はナノマテリアルに関するQ&Aの更新版を発表した

注目記事

【COT】二酸化チタンのin vitro及びin vivo遺伝毒性に関するCOMの評価に関する声明食品添加物としての二酸化チタン(TiO2:E171)の遺伝毒性に関し食品・消費者製品・環境中の化学物質の変異原性に関する委員会(COM)が実施した評価について、英国毒性委員会(COT)が声明を発表した。COMの意見では、in vitro試験でTiO2ナノ粒子に遺伝毒性があるというエビデンスはほとんどないこと、in vivo試験に関しては遺伝毒性誘発に関連した健康上の懸念があることを示唆する文献的エビデンスはほとんどないことを報告している。

 食品グレードのTiO2の安全性を確定的に評価するには、OECDに準拠した質の高い試験がないため現時点では困難である。また今回レビューした既存の研究は、食品添加物として使用されるナノ粒子の割合が50%未満のE171を反映するものでないため、明確に評価するためにはE171を用いたGLP試験が必要となるとしている。

【FDA】FDAヒト用食品プログラム:2025年会計年度優先措置

 米国食品医薬品局(FDA)は、ヒト用食品プログラム(HFP)における2025年度の優先措置(Priority Deliverables)を発表した。HFPはリスク管理の活動を3つの主要領域(微生物関連、化学物質、栄養)に集中している。うち化学物質については、規制強化として、食品に含まれる化学物質の市販前レビューの効率化と市販後評価の枠組みの更新、乳幼児用食品に含まれる有害元素のアクションレベルに関するガイダンスの作成(Closer to Zero)、新規ダイエタリー成分通知に関するガイダンスの更新などを行うとしている。また栄養については、Healthy(健康的)表示の定義づけ、包装前面の栄養表示の義務化に関する規則の提案、ナトリウム削減の支援などを行うとしている。

【FDA】スコンブロトキシンを産生する魚及び水産物に関するコンプライアンスポリシーガイドの最終版を発表

 米国FDAは、スコンブロトキシン(ヒスタミン)を含む魚及び水産物の規制遵守に関する考えをまとめたガイダンスを更新し、最終版を発表した。消費者の保護を強化するため、FDAが措置を講じる可能性がある魚のヒスタミン濃度(腐敗の判断規準)について、以前は50ppm以上としていたが、本ガイダンスでは35ppm以上に引き下げた。

【別添BfR】ナノマテリアル:微粒子が多様な特性を仲介する

 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)がナノマテリアルに関するQ&Aの更新版を発表した。ナノマテリアルは、化粧品、食品包装、消費者製品など日常生活のさまざまな製品分野で使用されている。各製品分野でナノマテリアルの用語の定義、表示の規制、使用される種類などが異なることを紹介している。さらに食品安全に関連して実施しているBfRの研究プロジェクトでは、ナノ粒子を含む混合物の腸からの取り込み、腸と肝臓での輸送と細胞への影響、食品分野で使用されるナノプラスチックポリマーなどをテーマとしていることを報告している。

(注目記事のまとめ:安全情報部第三室)

目次

【WHO】

1. 国際がん研究機関(IARC)

2. 出版物

【FAO】

1. FAO JECFAモノグラフの新巻:特定の動物用医薬品の残留物の評価

2. FAOが新しい4つのベターコースイニシアチブを開始

3. Codex

【EC】

1. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【ECHA】

1. ECHAの統合規制戦略は目標を達成-高生産量化学物質のスクリーニング

【EFSA】

1. リスク評価におけるオミクスと関連するバイオインフォマティクスアプローチの適用

に関する行動ロードマップの作成

2. ビタミンと必須ミネラルの耐容上限摂取量の設定と適用のためのガイダンス

3. EFSAの包括的食品摂取量データベースを用いた栄養摂取量推定値に非常に影響のある、摂取頻度の低い食品を考慮することの課題:プレフォームドビタミンAの例

4. 食品及び飼料のリスク評価における(新規)タンパク質のためのin vitro毒性試験アプ

ローチの特定

5. B‐リスクの開発

6. 食品添加物関連

7. 遺伝子組換え関連

8. 農薬関連

【Europol】

1. 9,100万ユーロ相当の偽造及び規格外の食品が欧州全域の作戦で押収される

【FSA】

1. 食品と環境中の放射能(RIFE)報告書2023

2. 利害関係者の回答の概要:飼料添加物及び特定栄養目的(PARNUT)の飼料の認可申請に関する協議(2024年秋)

3. リスク評価

4. 消費者調査(2024年7月〜2024年9月)

5. リコール情報

【COT】

1. 二酸化チタンのin vitro及びin vivo遺伝毒性に関するCOMの評価に関する声明

2. COT会合:2024年10月21日

【BfR】

1. 高濃度カフェインパウダーは少量でも重篤な中毒を引き起こす可能性がある予想外

の過剰摂取も簡単に起こりうる

2.15種類のパー及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)混合物の単回経口投与後のキネティクス-男性のボランティアにおけるパイロット研究

3. PFAS:全ての「forever chemicals(永遠の化学物質)」が体内に残留するわけではない

4. BfR消費者モニター:ドイツ人の大半は「睡眠ホルモン」メラトニンを知っているが、多くは疑いを抱いている

5. 雑食主義者、ビーガン、厳格なローフード食者における加熱による食品汚染物質への内部暴露:2-及び3-モノクロロプロパンジオール(尿中排泄物)とグリシドール(ヘモグロビン付加物N-2,3-ジヒドロキシプロピル-Val)への暴露のバイオマーカー

【ANSES】

1. どの作業工程に職業がんのリスクがあるのか?

【CAFIA】

1. 検査した関節用フードサプリメントの4分の1が、実際の成分について消費者を欺い

ていた

【FDA】

1. FDAヒト用食品プログラム:2025年会計年度優先措置

2. FDAは2022年Food Codeの補足を発表する

3. 食品包装及び食品接触用途におけるフタル酸エステル類に関するFDAの最新情報

4. FDAはスコンブロトキシン(ヒスタミン)を産生する魚及び水産物に関するコンプライアンスポリシーガイドの最終版を発表する

5. FDAはナトリウム削減の次の段階の取り組みを開始する

6. 高濃度の鉛により、更に多くの粉末シナモン製品がFDAの公衆衛生警告に追加される

7. FDAはヒト用食品のリスト(輸出リスト)形式での輸出認証の経験について一般からの意見を募集する

8. 公示

9. 警告文書

10. リコール情報

【EPA】

1. EPAが農薬ダクタールの取り消しを最終決定

2. EPAが新規除草剤有効成分グルホシネート-Pを登録

3. EPAは鉛塗料粉塵への暴露から子供を守る基準を強化

4. EPAが農薬と絶滅危惧種の教育資料ツールボックスを発表

【CFIA】

1. カナダのフードサプライを安全に保つためにCFIAが行っている6つのこと

【FSANZ】

1. 食品基準通知

【香港政府ニュース】

1. 食品警告

2. 違反情報

3. リコール情報

【MFDS】

1.日本産輸入食品の放射能検査の結果

2.「記憶力改善」「集中力向上」効果を標榜する海外直輸入食品の購入に注意してください

3. 子供・青少年給食施設など衛生点検の結果、20カ所・摘発

4. K-Foodの海外進出のために、食薬処がAからZまで助けます

5. K‐鶏肉製品をEUに輸出する輸出経路を案内するナビゲーションを用意

【SFA】

1. 調理油の再利用

【その他】

・食品安全関係情報(食品安全委員会)から

・ProMED-mail1件

別添

【BfR】

1. ナノマテリアル:微粒子が多様な特性を仲介する

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.23(2024.11.13)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2024/foodinfo202423c.pdf
食品安全情報(化学物質)No.23(2024.11.13)別添
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2024/foodinfo202423ca.pdf