国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国の「マクドナルド」で「クォーターパウンダー」を喫食した人たちに大腸菌O157:H7アウトブレイク株感染患者が発生。原因食品が商品に使用された細切りタマネギか牛ひき肉かを特定するため追跡調査が行われている。
注目記事
【米国】マクドナルドの商品に関連のO157:H7感染アウトブレイク
米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)は、マクドナルド社の「クォーターパウンダー」に関連して複数州にわたり発生している大腸菌O157:H7感染アウトブレイクに関する情報を発表した。
米国疾病予防管理センター(US CDC)、複数州の公衆衛生・食品規制当局、米国食品医薬品局(US FDA)および米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)は、複数州にわたり発生している大腸菌 O157:H7感染アウトブレイクを調査するため、さまざまなデータを収集している。
疫学データは、マクドナルドの店舗で提供されたハンバーガー「クォーターパウンダー」が大腸菌に汚染されており、本アウトブレイクの感染源となっていることを示している。
FDAからの初期の情報では、タマネギが本アウトブレイクの原因食品である可能性があることが示されている。汚染された原材料を特定するため、すべての関連機関の担当者が調査を進めている。
疫学データ
2024年10月24日時点で、大腸菌O157:H7アウトブレイク株感染患者が13州から計75人報告されている。患者の発症日は2024年9月27日〜10月10日である。情報が得られた患者61人のうち22人が入院し、2人が溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症した。コロラド州の高齢患者1人の死亡が報告されている。この死亡者は、HUS を発症した2人とは別の患者である。
各州・地域の公衆衛生当局は、患者が発症前1週間に喫食した食品に関する聞き取り調査を行っている。聞き取りが実施された患者42人全員がマクドナルドの店舗での食事を報告し、このうち39人が牛肉のハンバーガーの喫食を報告した。喫食した具体的なハンバーガーを覚えていた36人のうち31人が「クォーターパウンダー」の喫食を報告した。本アウトブレイクの一部の患者は、発症前に他州に旅行していたことを報告した。
追跡調査によるデータ
「クォーターパウンダー」に使用された細切りタマネギまたは牛肉パテが本アウトブレイクの具体的な原因食品であるかどうか特定するため調査が進められている。
FDAによる予備的追跡調査および流通情報に関する調査の結果は、「クォーターパウンダー」に材料として含まれていた細切りタマネギが汚染されていた可能性が高いことを示している。FDAは、これらのタマネギが本アウトブレイクの原因食品の1つであることを確認するため、また当該タマネギがその他の事業者でも提供・販売されたかどうかを特定するため調査を進めている。
マクドナルド社の店舗のうち本件に関連した店舗に細切りタマネギを供給したTaylor Farms社は、イエローオニオンの回収を開始した。同社はまた、当該タマネギの供給先に直接連絡を取り、当該製品を販売対象から除外するよう要請した。FDAは、関連業者と緊密に連携して本件に対応しており、回収対象タマネギの供給を受けた事業者に必要と思われる追加の回収情報など、更新情報の提供を継続していく。
FSISは、牛ひき肉が原因食品であるかどうか特定するため、マクドナルドの店舗で提供されたハンバーガーパテに関する追跡調査を行っている。
公衆衛生上の措置
感染源を確認中であることから、マクドナルド社は、顧客を保護するため、一部の州の店舗において、生鮮細切りタマネギおよび「クォーターパウンダー」用の牛肉パテ(重量が4分
の1ポンド)の使用を中止している。「クォーターパウンダー」は、一部の州では販売が一時的に中止される。CDCは、マクドナルドの「クォーターパウンダー」を喫食して大腸菌感染による重篤な症状が見られる場合は医療機関に連絡するよう呼びかけている。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
目次
【世界保健機関(WHO)】
1. 紛争中のレバノンにおけるコレラ感染の拡大を阻止するための世界保健機関(WHO)の取り組み
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. マクドナルド社のクォーターパウンダーに関連して複数州にわたり発生している大腸菌O157:H7感染アウトブレイク(2024年10月25日付更新情報、22日付初発情報)
2. 乾燥ドッグフードに関連して複数州にわたり発生したサルモネラ(Salmonella Kiambu)感染アウトブレイク(2024年1月10日付最終更新)
【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)
【Eurosurveillance】
1. ワークショップ報告:水供給システムにおける食品由来疾患リスクのバイオサーベイランス
【アイルランド保健サーベイランスセンター(HPSC Ireland)】
1. アイルランドの胃腸疾患および人獣共通感染症、2022年(サルモネラ症)
2. アイルランドの胃腸疾患および人獣共通感染症、2022年(ノロウイルス感染症)
【ProMED-mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(64)(63)(62)(61)(60)(59)(58)(57)(56)
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(微生物)No.22(2024.10.30)
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2024/foodinfo202422m.pdf