バーベキューの食中毒事故防止

No.20(2024.10.02)

バーベキュー(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、バーベキューによって発生する健康被害を防ぐための助言を行っている。

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【ドイツ】バーベキューの食中毒防止

 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR: Bundesinstitut für Risikobewertung)は、バーベキューによって発生する健康被害を防ぐための助言を発表した。そのうち、サルモネラやカンピロバクターなどの細菌性病原体に関しては以下のような内容がある。

食品の細菌汚染を防ぐ

 食品中の病原性細菌は、悪心・下痢・嘔吐などを引き起こす可能性があり、重篤な感染症の原因となることもある。

 夏は気温が上がるため、食品中の細菌が急速に増殖する可能性があり、食品由来感染症のハザードがとくに高くなる。たとえばサルモネラは、気温が7℃を超えると急激に増殖する可能性がある。このため、生で喫食される食品のコールドチェーンが確実に維持されることが特に重要である。

 したがって、サラダ、バーベキューソースおよびデザートは、喫食の直前に冷蔵庫内から取り出すべきである。また、一年のうちの少なくとも気温が高い数カ月間は、自家製のマヨネーズやティラミスなどのデザート等に、生卵の使用を避けることが推奨される。

 食肉や魚に存在する細菌は、グリル調理などの高温加熱によって通常は死滅する。しかし、調理中でも、加熱前の食肉、鶏肉、魚などからマリネ液、手指、食器類およびその他の物の表面にカンピロバクターなどの病原菌が移行する可能性がある。つまり、その他の食品にも交差汚染が起こる可能性がある。汚染された食品が再加熱されずに喫食されると健康危害が生じる可能性がある。

 したがって、生の動物性食品は、その他の食品とは別に保存・調理すべきである。衛生管理(調理の各段階で手洗いや調理器具・設備表面の洗浄を行うなど)は、サラダなどの生で喫食する食品やその他の副菜への交差汚染の防止に役立つ。また、バーベキューの際は、可能であれば専用の食器類を2セット用意し、1セットはバーベキューに使用するマリネ液漬けの生の食肉・魚用として、もう1セットは加熱済み食品の提供用として使い分けるべきである。

目次

【世界保健機関(WHO)】

1. 各国における医療活動および緊急時対応を強化するための世界保健機関(WHO)の取り組みに日本が貢献

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】

1. カンタロープメロンに関連して複数州にわたり発生したサルモネラ(Salmonella SundsvallおよびS. Oranienburg)感染アウトブレイク(2024年1月19日付最終更新)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】

1. 公衆衛生通知:ヤモリに関連して発生しているサルモネラ(Salmonella Muenchen)感染アウトブレイク(2024年9月27日付初発情報)

2. 公衆衛生通知:MalichitaブランドおよびRudyブランドのカンタロープメロンに関連して発生したサルモネラ(Salmonella Soahanina、S. Sundsvall、S. OranienburgおよびS. Newport)感染アウトブレイク(2024年1月29日付最終更新)

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】

1. リステリア症-2022年次疫学報告書

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】

1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【欧州食品安全機関(EFSA)】

1. フードチェーンにおいて計画的に使用される微生物の全ゲノムシークエンシング(WGS)解析の要件に関する欧州食品安全機関(EFSA)の声明

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】

1. バーベキューによる食品由来感染症および健康に有害な物質の生成を防ぐための方法

【ProMED-mail】

1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(53)(52)(51)(50)(49)(48)(47)(46)(45)(44)

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.20(2024.10.02)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2024/foodinfo202420m.pdf