豚の丸焼きを安全に行う方法

No.18(2024.09.04)

豚の丸焼き(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国農務省食品安全検査局(USDA)は、豚の丸焼きを安全に調理し喫食するための助言を発表した。

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【米国】豚の丸焼きによる食品由来疾患を防ぐための助言

 米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS: Department of Agriculture, Food Safety and Inspection Service)は、豚の丸焼きの安全を確保するための助言を発表した。

 米国では、自宅の庭で豚の丸焼き料理をふるまう人もいる。しかし、豚の丸焼きは食品由来疾患アウトブレイクの原因となり得るため、時間をかけて計画や準備を適切に行うことが重要だとしている。

豚の購入について
生きた豚を購入し、検査済み施設または受託業者に屠畜・食肉処理を委託することができる。生きた豚は、地元の農家から購入でき、また検査済み施設や受託業者の協力を得て手配してもらうこともできる。丸焼き用の豚と体は、検査済み施設や食肉小売市場、またはこれを商品として提供している食料品店から購入できる。豚と体の手配の依頼やそのための十分な時間の確保が必要となる可能性がある。
環境(塵、埃など)から豚を保護し、豚の肉汁から有害細菌が拡散するのを防ぐため、供給業者に食品グレードのプラスチックで豚を包装してもらう。
丸焼き用の豚の多くは大きすぎて冷蔵庫には入らない。冷蔵庫に入らない場合は、行事の直前の調理日にと体を受け取る。
豚と体は、冷蔵庫内で冷蔵するか、大型の冷却器内またはコンテナ内で氷の下に置いて保冷する。これは、有害細菌が急速に増殖して健康被害をもたらす「Danger Zone(危険温度帯)」に豚肉が曝されるのを防ぐための措置である。
豚の安全な解凍方法について
冷凍された豚を調理前に解凍するためには、サイズによっては数日間が必要になる。
丸焼き用の豚と体は、冷蔵庫内で解凍するか、大型の冷却器内またはコンテナ内で氷の下に置いたまま解凍することができる。後者の場合、角氷が溶けない状態であることを確認する。この状態は、保冷温度が安全な温度帯である華氏40度(約4.4℃)未満に保たれていることを意味する。必要に応じて氷を補充する。解凍作業の前後に冷却器やコンテナを洗浄・消毒する。
豚と体の安全な解凍方法が確保できない場合は、解凍済みの豚を行事の直前に受け取るか、受け取りの準備が整う直前まで購入店に保管しておいてもらう。

 FSISは、調理する際に食品安全のための次の4つの手順を遵守するよう改めて注意喚起している。

「清潔にする」
豚と体と接触した物(手、調理器具、調理設備表面など)はすべて高温の石鹸水で洗浄すべきである。
「食品を分ける」
生の豚の肉汁は健康被害の原因となり得る有害細菌に汚染されている。交差汚染を避けるため、生の豚は、そのまま喫食可能な(ready-to-eat)食品と分けて保存する。
「加熱する」
FSISは、豚肉製品の加熱調理について、内部温度が華氏145度(約63℃)以上になるまでの加熱に加え3分間の余熱を推奨している。料理用温度計で複数カ所の内部温度を確認する。切り分けた豚肉は1〜2時間以内に提供する。
「冷やす」
加熱調理した豚から残りの豚肉を切り取って浅い容器に入れ、2時間以内に冷蔵する。ただし、気温が華氏90度(約32℃)を超えている場合は1時間以内に冷蔵する。

目次

【米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)】

1. 豚の丸焼きによる食品由来疾患を防ぐための助言

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】

1. 小型のカメに関連して複数州にわたり発生したサルモネラ(Salmonella Stanley、S. Pomona およびS. Poona)感染アウトブレイク(2023年11月21日付最終更新)

2. 生鮮角切りタマネギに関連して複数州にわたり発生したサルモネラ(Salmonella

Thompson)感染アウトブレイク(2023年12月13日付最終更新)

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】

1. 志賀毒素産生性大腸菌(STEC)感染症-2022年次疫学報告書

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】

1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【欧州食品安全機関(EFSA)】

1. ベイズ法によるベンチマークドーズモデリングのためのWebアプリケーション

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】

1. 卵の中身を取り出す際の食品由来疾患感染予防:ストローまたはベローズポンプの使用

【ProMED-mail】

1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(39)

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.18(2024.09.04)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2024/foodinfo202418m.pdf