米国がダクタール使用中止命令

No.17(2024.08.21)

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国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。FDAは特定ブランドの菓子摂取後に重篤な急性疾患等が発生したことで関連製品のリコール及び検査を実施している。当該製品には向精神性アルカロイド等が含まれることが確認されている。米国環境保護庁は農薬ダクタールの使用中止を求める緊急命令を発令した。韓国の食品医薬品安全処は栄養表示をすべての加工食品に拡大した。

注目記事

【FDA】疾病調査:Diamond ShruumzブランドのMicrodosing Chocolate Bars(2024年6月)

 米国食品医薬品局(FDA)は、2024年6月にDiamond Shruumz TMブランドのチョコレートバー、コーン、グミを摂取した後に重篤な急性疾患やその他の有害影響が発生したことを受けて、関連製品のリコール及び検査を実施している。当該製品にはO-アセチルシロシン、シロシン、カバラクトン、プレガバリン、ムシモールを含む複数の物質が含まれることが確認されている。2024年8月9日時点で29州から合計130症例が報告され、うち53例が入院しており、関連した可能性のある死亡例2件を調査中である。

※ポイント:当該製品に含まれていたのは、ベニテングタケに含まれる向精神性アルカロイド(ムシモール)や植物のカバに含まれている成分(カバラクトン)などです。製品は異なりますが、ドイツでもムシモール入りグミに関する警告が出され、EUの食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)にも警告通知が報告されています。

【EPA】EPA、深刻な健康リスクに対処するため農薬ダクタールの使用中止を求める緊急命令を発令

 米国環境保護庁(EPA)は、約40年ぶりに連邦殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法(FIFRA)に基づく緊急停止権限を行使し、農薬ジメチルテトラクロロテレフタレート(DCPAまたはダクタール)の全登録の使用を緊急停止することを発表した。緊急停止は即時発効となる。この措置は、妊娠中の母親がDCPAに暴露された場合、胎児の甲状腺ホルモン値に変化を起こす可能性があり、こうした変化が一般にその後の低出生体重、脳の発達障害、IQの低下、運動能力の低下などにつながり、その一部は不可逆的である可能性があるためである。今後EPAは90日以内にDCPA製品の登録を取り消す意向を示している。

※ポイント:DCPAはEPAにとって長年の懸案事項でした。EPAは、DCPAの甲状腺機能への影響の可能性と、唯一の登録者である農薬メーカーAMVACが10年にわたるEPAからの再三の要求にもかかわらず登録継続に必要なデータを提出しなかったことを理由に、2023年8月にDCPA配合製品の新たな製造や販売、それらの使用を一時的に禁止していました。その後にAMVACからデータが提出され評価したところ、健康リスクの根拠があるとして、本年4月時点でEPAは農業従事者に警告を発しています。今回の緊急措置については、農薬の取り消しには長期の手続きが必要になるとして、その間、非常にまれな対応ではあるものの即時発効の停止命令が必要になったとのことです。

【MFDS】栄養表示、すべての加工食品に拡大

 韓国の食品医薬品安全処は、「食品等の表示・広告に関する法律施行規則」改正案を8月8日に立法予告した。本改正案は、これまで一部の品目のみに適用されていた栄養表示の全ての加工食品への適用拡大、高カフェイン含有表示の適用拡大、糖アルコール類含有食品の表示基準の強化を含んでいる。

目次

【FAO】

1.2025年5月に開催される全ゲノムシークエンシング(WGS)に関するFAO世界会議

への参加の希望者は今すぐ応募

【EC】

1. 特定の食品中のニッケルの最大基準値に関する規則(EU)2023/915の改正

2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】

1. ビタミンEの耐容上限摂取量に関する科学的意見

2. 電位依存性ナトリウムチャネル(VGSC)阻害を分子レベルの初期事象(MiE)とする発達神経毒性有害性発現経路(DNT‐AOP)

3. 欧州加盟国のデータフローマッピングと分析の方法論

4. 食品添加物関連

5. 食品酵素関連

6. 新規食品関連

7. 遺伝子組換え関連

8. 食品接触物質関連

9. 香料グループ評価10. 農薬関連

【FSA】

1. 竹を含むプラスチック容器及び食器に関する通知の更新

2. 食品及び飼料の原産国検証方法の能力のレビュー

3. 英国食品基準庁が学校食基準コンプライアンスパイロットに関する最終報告書を発表

する

4. 動物飼料に使用する飼料添加物の申請1件に関する意見募集

【DEFRA】

1. ポリシーペーパー残留性有機汚染物質(POPs):政策情報

【MHRA】

1. ガイダンス:伝統的ハーブ登録(THR)を受けているハーブ医薬品

【COT】

1. 植物性飲料の健康上のベネフィットとリスクの評価(報告書案)

2. COT会合:2024年7月9日

【BfR】

1. フタル酸エステル系可塑剤についてのQ&A更新

2. CLP規則第45条に従うドイツの救急医療用危険製品の届け出に関する通知者向け

Q&A

【LMW】

1. ムシモールグミについて

【FDA】

1. FDAは鉛とクロムの含有量が高いアップルシナモンフルーツピューレ製品の製造業者

に警告書を発出する

2. 疾病調査:Diamond Shruumz ブランドの Microdosing Chocolate Bars(2024年6月)

3. FDAインド事務所のハーブ製品及びアーユルベーダ製品への取り組み

4. FDAは2つのガイダンス案を発表し、市販前動物用食品成分の審査プログラムについ

て一般からの意見を募集する

5. FDAは食品中の化学物質の市販後評価のための強化された体系的プロセスの開発に関

するパブリックミーティングを開催する

6. FDAは任意適格輸入業者プログラム及び第三者認証計画の2025年会計年度使用料を

発表する

7. NIH-FDA栄養レギュラトリーサイエンスワークショップ

8. 抗菌石鹸でなく、普通の石鹸と水を使おう

9. 公示

10. 警告文書11. リコール情報

【EPA】

1. EPA、深刻な健康リスクに対処するため農薬ダクタールの使用中止を求める緊急命令

を発令

2. EPA、数種のクロルピリホス製品に対する最終的な登録の取消し・使用停止命令を出す

3. EPAと米陸軍、陸軍施設周辺のPFAS汚染を特定するための共同サンプリング計画を

発表

【NIH】

1. ODS更新情報:最新のダイエタリーサプリメント科学の発展

2. ODS戦略計画草案2025-2029:ODSが戦略計画草案に対するパブリックコメントを

募集

【CFIA】

1. ベーカリー製品、ビーガン製品、果物ベース及び野菜ベースの製品に含まれる農薬及び金属-2020年4月1日〜2021年3月31日

2. ナッツ製品における表示されないグルテン–2021年7月1日〜2022年3月31日

3. リコール情報

【FSANZ】

1. 第2回意見募集:P1055案遺伝子技術と新しい育種技術の定義

【TGA】

1. 安全性助言

【香港政府ニュース】1. 違反情報

2. リコール情報

【MFDS】

1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果

2. 栄養表示、すべての加工食品に拡大

3. 夏季の「健康な睡眠」など不当広告、56件を摘発・措置

4. 偽唐辛子の製造・販売業者を拘束

5. ヤギエキス・ヤギ湯、不当広告に注意してください

6. ダイエット・体形変化、海外直輸入食品の購入に注意してください

7. 食薬処、シュリンクフレーション、ゼロシュガーの情報提供を強化8.2023年、ラーメン、キムチ輸出歴代最高、機内食生産も急成長傾向

【SFA】

1. ゲノム編集された作物の安全性

2. 遺伝子操作した食品及び飼料

3. 昆虫規制の枠組み

【HSA】

1. 強力な成分を含む海外で発見された製品に関するHSAの更新情報(2024年7月)

【その他】

・食品安全関係情報(食品安全委員会)から

・ProMED-mail1件

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.17(2024.08.21)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2024/foodinfo202417c.pdf