国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。欧州および米国で2023年に3つのクラスターに分類されるサルモネラへの感染が計335人報告された。症例からこれらへの感染が重篤で命に関わる可能性があることが示されている。感染源が特定されていないことから新たな患者が発生する可能性が高いと考えられている。
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【欧州】鶏肉と鶏肉製品に関連の3つのサルモネラ
欧州食品安全機関(EFSA:European Food Safety Authority)の報告。2023年1月1日〜10月24日に、欧州連合/欧州経済領域(EU/EEA)加盟14カ国、英国および米国において、3つの異なる微生物学的クラスターに分類されるサルモネラ(Salmonella Enteritidis シークエンスタイプ(ST)11)への感染が計335人報告された。
聞き取り調査が実施された患者のほとんどが、チキンケバブなどの鶏肉製品の喫食を報告した。3カ国の患者計9人が入院し、オーストリアの患者1人が死亡したことから、本アウトブレイクに関連した感染が重篤で命に関わる可能性があることが示されている。
食品曝露の情報および2023年に各国で実施された調査の結果を受け、オーストリア、デンマークおよびイタリアの各食品安全当局は、食品10製品(このうち6製品が S. Enteritidis ST11のクラスター1またはクラスター2または双方に汚染されていた)、ポーランドの最終製造業者7社、およびオーストリアの最終製造業者1社を調査した。追跡情報から、サルモネラに汚染されていたケバブ3製品とポーランドの複数の食品事業者との関連が明らかになった。当該ケバブ製品の取引情報から、オーストリア、デンマークおよびイタリアに共通する1つ以上の感染源・汚染源の存在が示唆された。
ゲノム情報を収集しクラスター解析を行った結果、欧州の複数の国のフードチェーンにアウトブレイク株が存在していることが明らかになった。2022〜2023年に採取され疫学データが共通するアウトブレイク株が検出された食品検体は、ほとんどがポーランド産であった。
収集データにもとづくと、汚染されたチキンケバブおよび鶏肉製品がこれらの3つのクラスターの報告患者の原因食品である可能性が高い。決定的な微生物学的エビデンスや包括的な追跡情報がないため、特定された最終製造業者やこれらに鶏肉を供給した業者が本アウトブレイクにおいて果たした役割、および感染源としてその他の食品事業者が関連する可能性については確認も除外もできなかった。
的を絞った効果的な対策や是正措置を迅速に遂行するためには根本的な汚染原因と感染源の特定が不可欠であり、そのためにはさらなる調査が必要である。感染源(複数の可能性もある)がまだ特定されていないことから、長期間にわたる本アウトブレイクに関連して新たな患者が発生する可能性が高い。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
目次
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. デリカウンターで薄切りされた食肉製品に関連して複数州にわたり発生しているリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイク(2024年7月26日付更新情報)
2. 米国の国内感染サイクロスポラ症患者に関する2023年の調査(2023年10月26日付
最終更新)
【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. A型肝炎-2022年次疫学報告書
【欧州疾病予防管理センター(ECDC)/欧州食品安全機関(EFSA)】
1. ECDC-EFSA合同迅速アウトブレイク評価:鶏肉および鶏肉製品に関連して複数国にわたり発生している3つのサルモネラ(Salmonella Enteritidisシークエンスタイプ(ST)11)感染クラスター
【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)
【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 遺伝学的データの利用による定量的微生物リスク評価(QMRA)手法の向上
【アイルランド食品安全局(FSAI)】
1. 欧州委員会(EC)規則No.2073/2005にもとづくリステリア(Listeria monocytogenes)
の食品安全基準の改訂案について意見を募集
【ProMED-mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(33)(32)(31)
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(微生物)No.16(2024.08.07)
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2024/foodinfo202416m.pdf