EC加盟国はBPA使用禁止へ

No.13(2024.06.26)

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国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。EC加盟国は食品接触物質におけるビスフェノールAの使用を禁止する欧州委員会の提案を支持した。英国当局の報告書によると、英国の成人集団の約6%が食物アレルギーであることが判明した。米国保健福祉省当局は2022年に発生した事象について米国食品医薬品局(FDA)の方針と手順の不全を指摘している。

注目記事

【EC】加盟国、食品接触物質におけるビスフェノールAの禁止を支持

 EC加盟国は、最新の科学的根拠を考慮し、国民の健康を保護し、最高の食品安全基準を確保する観点から、食品接触物質におけるビスフェノールA(BPA)の使用を禁止する欧州委員会の提案を支持した。段階的使用禁止期間終了後、EU域内ではこれらの製品にBPAを使用できなくなる。今後、欧州議会と欧州理事会による精査期間を経て正式に採択され、2024年末に発効する。

※ポイント:欧州食品安全機関(EFSA)が2023年4月に発表したBPA再評価の結果を受けての措置であり、今年2月に規則案についてパブリックコメントを募集していました。EFSAの再評価では、マウスにおける脾臓中のTh17細胞の割合増加を重要なエンドポイントと判断して耐容一日摂取量(TDI)を大幅に引き下げ、BPAへの食事暴露は免疫系に有害な影響を及ぼす懸念があると結論していました。ただし、このEFSAの再評価で選択したエンドポイントや懸念があるとの結論については、欧州医薬品庁(EMA)、ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)、英国毒性委員会(COT)が同意しないとの見解を示しています。

【FSA】FSAの最新の報告書により、英国の成人集団の約6%が食物アレルギーであることが判明した

 英国の成人集団における大規模な調査「成人の食物アレルギーのパターンと有病率(PAFA)」の報告書が公表され、有病率が約6%であることが判明した。原因食品としては、ピーナッツやヘーゼルナッツ、クルミ、アーモンドなどのナッツ類や、リンゴ、モモ、キウイなどの果実類が多かった。また、約半数は成人期後半に発症していた。

※ポイント:成人のみが対象で、臨床的評価結果を専門家が確認している、非常に信頼性の高い貴重な調査結果です。一般的に食物アレルギー患者は子供が多いと考えられていますが、今回報告された発症時期や、有病率が「令和4年度アレルギー疾患に関する調査報告書」(日本学校保健会、https://www.gakkohoken.jp/books/archives/265)の中の日本の小中高生の有病率6.3%と同程度であること等、興味深い知見です。また、日本でも近年ナッツ類に対するアレルギー症例が増加しています。

【HHS】乳児用調製乳供給の安全性を確保するため、食品医薬品局の査察およびリコールのプロセスを改善すべきである

 米国保健福祉省(HHS)の監察総監室(OIG)は、2022年の乳児用調製乳不足における米国食品医薬品局(FDA)の対応に関する監査報告書を発表し、FDAによる乳児用調製乳のリスクの特定、苦情・査察・リコールのプロセスを通じて効果的に対応するための方針と手順が不十分、あるいは欠落していたことによるFDAの対応の遅れによって引き起こされたと指摘した。

※ポイント:前号でご紹介した米国FDAの組織再編のきっかけの一つとなった監査の報告書です。

【WHO】

目次

1. WHO、健康的な食生活を促進する財政政策に関する新ガイドラインを発表

2. 出版物:JECFA報告書

【FAO】

1. FAO報告書:世界の漁業と養殖業の生産量が過去最高を更新

2. 誕生日おめでとう:FAOの食品安全のための適正衛生規範(GHP)とHACCPツールボックスが1周年

3. 食品安全性評価の実践とツール強化のためのFAOのワークショップとトレーニングセ

ッション

4. Codex

【EC】

1. 加盟国、食品接触物質におけるビスフェノールAの禁止を支持

2. 査察報告書

3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【ECHA】

1. ECHAの殺生物性製品委員会、申請データの欠落に懸念を表明

2. 有害化学物質規制のための研究ニーズが更新された

3. 6月のRAC及びSEAC会合のハイライト

【EFSA】

1. ビタミン及びミネラルの耐容上限摂取量に関する科学的意見

2. アレルギー誘発性予測のための新戦略:革新的なタンパク質のアレルギーリスクを評価するためのランキング法とスクリーニングツールの開発

3. EU食品安全システムの根拠に基づいたリスクコミュニケーションに関する行動ロードマップの作成

4. ワンヘルスサーベイランスデータ収集のための報告ガイダンス

5. EFSAは独立性方針を更新

6. 新規食品関連

7. 農薬関連

【FSA】

1. 動物製品輸入プロジェクト:公衆衛生専門家の意見

2. FSAの最新の報告書により、英国の成人集団の約6%が食物アレルギーであることが

判明した

【BfR】

1. ベルリン高齢者週間始まる

【ANSES】

1. 子供がボタン型電池を飲み込んだら、一分一秒を争う!

【FDA】

1. バイデン・ハリス政権、食品ロスと廃棄物の削減及び有機物のリサイクルに向けた国家戦略を発表

2. FDAと連邦協力機関が子供の成長と発育へのシーフード摂取の役割についての研究を発表

3. FDAは特定のカッテージチーズをトレーサビリティ要件から除外することを提案

4. 疾病調査:Diamond ShruumzブランドのMicrodosing Chocolate Bars, Cones, & Gummies(2024年6月)

5. FDAはアップルシナモンピューレ製品に含まれる鉛とクロムの濃度上昇に関する調査を受けて追加措置を講じる

6. FDAは、麻痺性貝毒に汚染されている可能性があるカナダのブリティッシュコロンビ

ア産の特定の牡蠣をレストランや小売店に提供又は販売しないよう、また消費者には摂取しないよう勧告した

7. 公示

8. 警告文書

9. リコール情報

【NTP】

1. B6C3F1/Nマウスに経皮投与されたトリクロサンの毒性および発がん試験

【HHS】

1. 乳児用調製乳供給の安全性を確保するため、食品医薬品局の査察およびリコールのプロセスを改善すべきである

【NIH】

1. スクープ:骨の健康に役立つ栄養素

【CPSC】

1. CPSCは、摂取の危険性があるため、マグネティックゲームの使用を直ちに中止する

よう消費者に警告;マグネティック玩具に関する連邦安全規制違反

【CFIA】

1. リコール情報

【FSANZ】

1. 食品基準通知

【APVMA】

1. オーストラリア及びニュージーランドにおける動物用医薬品の統一ラベル取得に関するガイダンス

【NSW】

1. Standard3.2.2Aの延長期限は6か月後

【MPI】

1. Christchurch海岸及びLytteltonの貝類バイオトキシン警告

2. リコール情報

【香港政府ニュース】

1. ニュースレター

2. プレスリリース

3. 違反情報

4. リコール情報

【MFDS】

1.日本産輸入食品の放射能検査の結果

2. このような海外直輸入食品の購入に気をつけてください!

3. 食薬処、国民のナトリウム・糖類摂取実態の分析結果を発表

4. 食薬処、夏季食中毒予防強化など食品安全対策の推進

5. 一般食品を疾病予防・治療食品として不法、不当広告232件を摘発

6. 相手先商標製品製造(OEM)輸入食品など現地衛生評価ガイドブックを発刊

7. ラーメンなどK-フードの中国輸出へ活性化支援

【SFA】

1. Forum Replies

【その他】

・食品安全関係情報(食品安全委員会)から

別添

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食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.13(2024.06.26)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2024/foodinfo202413c.pdf