国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。欧州委員会は、カビ毒やプロパノール類など食品汚染物質の最大基準値を改訂した。米国FDAは、食品に含まれる化学物質の安全性や暴露についての考え方を紹介している。
注目記事
【EC】食品汚染物質の最大基準値の改訂
欧州委員会が、食品に含まれるカビ毒(T-2およびHT-2、デオキシニバレノール)、3-モノクロロプロパンジオール(3-MCPD)および3-MCPD脂肪酸エステル、過塩素酸塩の最大基準値について、委員会規則(EU)2023/915の改訂規則を発表した。
※ポイント:T-2およびHT-2はA型トリコテセン系のカビ毒で、EUではこれまで穀類および穀類製品について指示基準(indicative level)が設定されていました。指示基準とは、その濃度を超える汚染が確認された場合に汚染の原因調査を実施し、汚染の防止又は低減措置を講じることを求めるものです。本改訂は、欧州食品安全機関(EFSA)が2017年に実施したリスク評価の結果に基づき、指示基準よりも低い濃度で最大基準値が設定されています。
【FDA】化学物質が含まれている食品は安全か?
米国食品医薬品局(FDA)が、食品に含まれる化学物質の安全性や暴露についての考え方を紹介。化学物質の存在だけで、その食品が食べても安全かどうかが決まるわけではない。FDAをはじめとする世界中の科学者たちは、食品に含まれる化学物質の安全性を評価するために、化学物質そのものの安全性だけでなく、食品に含まれる化学物質の量や、ヒトが飲食する量を調べる。重要なのは量である。
※ポイント:食品に含まれる化学物質の考え方について、一般向けに簡潔にまとめられた非常に良い文章だと思います。ぜひご一読ください。
【FDA】米国食品医薬品局の監視
米国議会におけるFDA長官Robert M. Califf氏による証言を公表した。現在FDAが重視している食品安全と栄養に関する主な取り組みとして、FDAが規制する製品についての関係機関(州や地方当局など)との情報共有の改善に向けた取り組み、消費者がより健康的な食品を選択できるようにするための包装前面表示システムの開発に向けた取り組み、ダイエタリーサプリメントの製品および成分のリストをメーカーに要求する権限取得に向けた取り組みについて述べた。また、カンナビジオール(CBD)製品の規制体制の構築に向けた取り組みについても言及した。
※ポイント:米国では、ダイエタリーサプリメントを規制する法律であるDSHEA(Dietary Supplement Health and Education Act of1994)の制定から25年が経過したことを契機に、数年前からダイエタリーサプリメントの関連制度の大幅な見直しや対策の強化が行われています。ダイエタリーサプリメントの監視における課題の一つが、市場に流通している製品や成分(素材)をFDAが把握できていないことです。そのため、FDAが流通製品や新規の製品を把握できるようにするための権限強化に向けて取り組んでいる様子がうかがえます。
(注目記事のまとめ:安全情報部第三室)
目次
【WHO】
1. 出版物
【FAO】
1. ワンプラネット、ワンヘルス
2. FAO と Mars 社は、食品安全強化のために再び協力
3. ウェビナー:農業食料システムにおける環境抑制剤の使用による食品安全への影響
4. フォアグラから鹿角製品まで、ニッチなイノベーションの流れ
5. FAO は5月30日の国際ジャガイモデーの初開催を案内する
6. Codex
【EC】
1. 食品汚染物質の最大基準値の改訂
2. 食品中ニッケル濃度管理のためのサンプリング及び分析方法に関する改訂
3. 欧州委員会は最も有害な化学物質を必須用途に限定する原則を定める
4. EU 加盟国、燻製香料の EU 市場からの撤退を承認
5. 査察報告書
6. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【ECHA】
1. EU 諸機関:化学物質を安全で持続可能なものにするため、さらなる取り組みが必要
【EFSA】
1. 食品中の残留農薬:最新の数値を発表
2. データに関するアドバイザリーグループの2023年の年次報告書
3. BMD 解析のための BMR 値のインベントリ
4. 食品酵素関連
5. 食品接触物質関連
6. 農薬関連
7. 飼料添加物関連8. ポッドキャスト
【FSA】
1. リスク評価
2. リコール情報
【FSS】
1. 食品規格ガイド-食肉業者
【FSAI】
1. ブレックファスト・バイト:食品安全トレーニング-知っておくべきこと
2. リコール情報
【BfR】
1. 共に安全な食品を:BfRとSFAは協力協定に署名
2. 科学評議会:「任務を見事に遂行」
【ANSES】
1. リン酸トリフェニルは環境中の生物種に対する内分泌かく乱物質
2. 内分泌かく乱物質:新たな研究課題
3. ゴム製造に使用されるジフェニルグアニジンの分類を強化
【Ruokavirasto】
1. TRACESで2要素認証が必須に
【CAFIA】
1. CAFIAは10種類の基準値を超える農薬が検出されたタイ産バジルを押収
2. リコール情報
【FDA】
1. 2024年4月PFAS更新情報
2. 事件後の対応措置:シナモンアップルソースパウチ中の鉛とクロム濃度の上昇
3. 化学物質が含まれている食品は安全か?
4. IFSS 規制及び検査研修システム(RLTS)
5. FDA が牛と豚用の新しい抗菌薬を承認
6. Ossos-Sans には表示されない医薬品成分が含まれる
7. Sammy’s Milkは、ヤギ乳の幼児用調製乳を乳児用として使用しないよう警告を出す
8. データ規格カタログ
9. よりスマートな食品安全新時代のデータとテクノロジーに関するバーチャル公開会議
10. 米国食品医薬品局の監視
11. ヨーロッパ視察の感想
12.「ジムとともに」‐2024年3月
13. 警告文書
14. リコール情報
【EPA】
1. バイデン-ハリス政権、公衆衛生を守るためPFAS 汚染を浄化する重要な規則を最終決定
2. EPAは労働者と地域社会を保護するためより強力な化学物質リスク評価プロセスを最終決定
【USDA】
1. USDAがReinvestment Fundと提携し、全国で健康的な食品への公平なアクセスを拡大
2. ブラジル査察報告書
【NIH】
1. ODS 更新情報:最新のダイエタリーサプリメント科学の発展
【CFIA】
1. 意見募集:Safe Food for Canadians Actの見直し
【APVMA】
1. 農薬規制ニュースレター2024年4月号
【NSW】
1. リコール情報
【MPI】
1. 冷凍ベリーの新たな輸入要件は消費者と食品輸入業者にとってウィンウィン
2. 公衆衛生警告:Marlboroughの貝類バイオトキシン
【香港政府ニュース】
1. E-News の最新の話題
2. 違反情報
【MFDS】
1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 6月14日から豚カツなど動物性食品の輸入管理がさらに厳しくなります
3. 子供・青少年の安全な食生活環境づくりのための衛生点検の結果、27カ所を摘発・措置
4. 子供嗜好食品など製造業者の衛生点検の結果、11カ所を摘発・措置
5. 食薬処、家庭の月に備えて健康機能食品の点検に乗り出す
6. 回収措置
【SFA】
1.日本からの輸入水産物の安全性に関して出回っているビデオについての説明
2. リコール情報
【HSA】
1. リコール情報
【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・ProMED-mail1件
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.09(2024.05.01)
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2024/foodinfo202409c.pdf