国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国疾病予防管理センター(CDC)は東アジア・太平洋地域事務所を東京に開設した。米国でチーズに関連のリステリアならびに大腸菌O157:H7感染アウトブレイクが発生している。
注目記事
【米国】CDCが東アジア・太平洋地域事務所を日本に開設
米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)の新たな東アジア・太平洋(EAP)地域事務所が日本の東京に開設されることを記念し、CDCのコーエン所長は、エマニュエル駐日米国大使、日本の武見厚生労働大臣、EAP地域各国・国際機関・学術機関の外交分野および衛生分野の代表者らとともに祝賀式典に出席した。CDCのEAP地域事務所は、日本・その他の提携各国・地域機関と協力して公衆衛生上の脅威を予防・検出しこれに対処することで、国際的な公衆衛生への米国政府の影響力強化を促す。
今回の新事務所の開設により、CDCは、アウトブレイクの発生源で迅速に対応し米国への拡散や米国内での拡大を防ぐため、国際レベルでの健康危害の特定および対応・低減策の実施に重点的に取り組む予定である。
【米国】チーズに関連のリステリア
米国疾病予防管理センター(US CDC)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、複数州にわたり発生しているリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイクを調査するためさまざまなデータを収集している。
2024年2月6日時点で、L. monocytogenesアウトブレイク株に感染した患者計26人が11州から報告されている。患者の発症日は2014年6月15日〜2023年12月10日で、情報が得られた患者26人全員のうち23人が入院、死亡者は2人が報告されている。
聞き取りが実施された患者22人のうち16人が、queso fresco、cotija(※)およびこれらに類似したその他のチーズの喫食を報告した。
CDCは、すべての回収対象製品を喫食・販売・提供しないよう注意喚起している。
【米国】生乳チーズに関連の大腸菌O157:H7
米国疾病予防管理センター(US CDC)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、複数州にわたり発生している大腸菌O157:H7感染アウトブレイクを調査するためさまざまなデータを収集している。
疫学データは、RAW FARMブランドの生乳チーズが本アウトブレイクの感染源となっていることを示している。
2024年2月16日時点で、大腸菌O157:H7アウトブレイク株感染患者が4州から計10人報告されている。患者の発症日は2023年10月18日〜2024年1月29日で、情報が得られた患者9人のうち4人が入院し、1人が溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症した。死亡者は報告されていない。
各州・地域の公衆衛生当局は、患者が発症前1週間に喫食した食品に関する聞き取り調査を行っている。聞き取りが実施された患者8人のうち6人が、RAW FARMブランドの生乳チェダーチーズの喫食を報告した。この割合は、過去に実施された FoodNet の住民調査(以下 Web ページ参照)において、
調査はまだ継続中であるが、CDCは、RAW FARMブランドの生乳チェダーチーズを喫食・販売・提供しないよう注意喚起している。
※編集註:queso fresco(ケソ・フレスコ)=queso blanco(ケソ・ブランコ)、cotija(コティハ)はメキシコのチーズ。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(微生物)No.04(2024.02.21)
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2024/foodinfo202404m.pdf
今号の目次
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 米国疾病予防管理センター(US CDC)が新たな東アジア・太平洋(EAP)地域事務所を日本に開設
2. チーズ(queso fresco および cotija)に関連して複数州にわたり発生しているリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイク(2024年2月6日付初発情報)
3. 生乳チーズに関連して複数州にわたり発生している大腸菌 O157:H7感染アウトブレイク(2024年2月16日付初発情報)
4. シャルキュトリ(食肉加工品)に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ
(Salmonella I4:I:-)感染アウトブレイク(2024年2月15日付更新情報)
【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. 欧州における抗菌剤耐性サーベイランスの2023年次報告書(2021年データの報告)
【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)
【アイルランド食品安全局(FSAI)】
1. 英国が2024年1月31日付で輸入管理制度を変更
【ProMED-mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(08)(07)(06)(05)