欧州の新しいゲノム技術規制案

No.04(2024.02.21)

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国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。新しいゲノム技術で生産される植物に関する欧州委員会の新しい提案について欧州議会が投票を行い採択した。欧州委員会はビスフェノールAに関する新しい規則案についてパブリックコメント募集している。FDAはクロルピリホスが残留に関する業界向けガイダンスを撤回した。

注目記事

【EC】新しいゲノム技術:欧州議会議員は農家のグリーン移行を支援する規則を支持

 欧州議会議員は、これまで遺伝子組換え生物(GMO)の枠組みで規制されていた新しいゲノム技術(NGT)で生産される植物について、従来のGMOでない植物と同等と見なされるもの(NGT1植物)と、その他のもの(NGT2植物)の2つに分類した上で規制するという欧州委員会(EC)の提案について投票を行い、賛成多数で規則案についてEU加盟国と交渉する方針を採択した。うちNGT1植物はGMO規則の要件が免除される内容となっているが、特許の取り扱いなど今後も議論が必要な課題は残されている。

※ポイント:他国ではNGT植物の規制緩和が進む中で、EUは頑なにGMOの枠組みでの規制を続けていたので、本規則が成立すれば大変革だと思います。ただ、投票数は307対263、棄権41と僅差だったので、反対の立場の国は依然として多いようです。

【EC】欧州委員会は食品接触物質中のBPAの禁止についてパブリックコメントを募集

 欧州委員会(EC)は、食品接触物質中のビスフェノールA(BPA)の使用を禁止する規則案についてパブリックコメントを4週間募集する。禁止の対象にはプラスチックやコーティングされた包装材だけでなく、食品加工機器など、他の種類の製品も含まれる。

※ポイント:EUではこれまで乳幼児用の飲料ボトルおよび容器と感熱紙を含むその他の消費者製品へのBPAの使用を禁止していました。今回の規則案は、食品に接触する容器や機材などを包括的に対象にしています。パブリックコメント終了後、加盟国の合意を得られた後にECで採択され、経過措置期間を設けた上で規則を発効・適用する予定とのことです。

【FDA】FDAはクロルピリホスが残留するヒト食品に対する執行措置に関する業界向けガイダンスを撤回

 米国第8巡回区控訴裁判所が、農薬クロルピリホスの残留物に対するすべてのトレランス(残留農薬基準値)を取り消した環境保護庁(EPA)の最終規則を無効とする判決を下したことを受けて、米国食品医薬品局(FDA)は関連の業界向けガイダンスを撤回した。

※ポイント:米国では、食品中のクロルピリホスの残留物に対するトレランスが2022年2月28日から完全に失効していましたが、裁判所の判決を受けて当該規則が無効となりトレランスが復活したというわけです。EPAはクロルピリホスについて定期的な登録審査の過程で引き続き検討していくとしています。

【MFDS】人工知能(AI)でハイリスク輸入食品を事前に阻止する

 韓国の食品医薬品安全処は、リスクの高い輸入食品の国内への流入を事前に阻止するため、「人工知能(AI)リスク予測モデル」を2024年に開発して輸入通関検査に適用すると発表した。今年は6億ウォンの予算を投入し、加工食品のタイプ別の特性(例:原材料、水分含量、製造方法、海外情報)を反映できるようにAIモデルを高度化する予定であり、とくに輸入量が多く不適合率の高い加工食品の特性を反映できるよう開発する計画である。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.04(2024.02.21)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2024/foodinfo202404c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 出版物

【FAO】
1. Codex

【EC】
1.(欧州議会ニュース)新しいゲノム技術:欧州議会議員は農家のグリーン移行を支援する規則を支持
2. 欧州委員会は食品接触物質中の BPA の禁止についてパブリックコメントを募集
3. 査察報告書
4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【ECHA】
1. ECHA は新しいデータベースを発表

【EFSA】
1. ビタミン A の耐容上限摂取量の更新のための準備作業
2. 鉄の耐容上限摂取量の更新のための準備作業
3. 栄養の新しい供給源や形状のための変換係数の導出に関するワークショップ
4. 食品添加物関連
5. 食品酵素関連
6. 新規食品関連
7. 農薬関連
8. 飼料添加物関連

【FSA】
1. FSA は2022/23年度の年次報告書と決算報告書を発表
2. 新規食品4品目、食品添加物3品目、食品香料22品目の認可取り消し、食品添加物中のエチレンオキシドの規制値設定の提案
3. 化学物質汚染
4. より安全な食品、よりよい事業(SFBB)
5. FSA は食品犯罪事件での禁固刑判決を歓迎する
6.2024年1月消費者調査

【COT】
1. マイクロプラスチックへの暴露による潜在的リスクに関するサブステートメント:吸入経路

【UKASA】
1. ASA 裁定
2. 広告助言

【FSAI】
1. アイルランドでは食品安全への信頼は高いことを研究が示す

【BfR】
1. フタル酸モノ-n-ヘキシル:尿検体からの可塑剤分解物の検出に関する背景情報

【RIVM】
1. RIVM は天然の代替植物保護製品の評価に提言する

【CAFIA】
1.10分の1のレストランが過度に熱した揚げ油で食事を調理する

【FDA】
1. 高濃度の鉛及びクロムの調査:シナモンアップルソースパウチ(2023年11月)
2. 小売食品保護情報及びリソースのリスト
3. FDA はクロルピリホスが残留するヒト食品に対する執行措置に関する業界向けガイダンスを撤回
4. FDA は物理的検査無しの即時留置(DWPE)対象水産物のサンプリング推奨ガイダンス案を発表
5. FDA の乳児用調製乳対応措置に関する最新情報
6. 警告文書
7. リコール情報

【CDC】
1. シナモンアップルソースパウチ製品に関連した鉛中毒の発生
2. 医師向け PFAS 情報

【US GAO】
1. 出産前サプリメント:いくつかの重要な栄養素が製品の表示と違う

【CFIA】
1. 特定の食品に含まれる食品着色料-2016年4月1日から2017年3月31日
2. リコール情報

【FSANZ】
1. 食品基準ニュース
2. 食品基準通知

【APVMA】
1. ブロモキシニル製品の再スケジューリング
2. 許可ラベルの結果が公表された

【DHA】
1. 民間艦船でのシガテラ中毒アウトブレイク:教訓と早期診断・管理・予防の展望

【NSW】
1. Standard3.2.2A は食品小売業者に新しいツールを提供

【香港政府ニュース】
1. CFS は2023年の食品ラベルに関する執行措置を完了
2. 違反情報
3. リコール情報

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. このような海外直輸入食品の購入に注意してください!
3. 勃起不全治療剤成分配合が含まれた「蜂蜜製品」不法輸入・販売業者を摘発
4. 輸入水産物も放射能検査を申請してください
5. でんぷん楊枝は食品ではありません
6. 食薬処、麻薬連想食品の表示・広告に注意を促す
7.人工知能(AI)でハイリスク輸入食品を事前に阻止する
8. 回収措置

【HSA】
1. HSA 警告:「骨節靈(Gu Jie Ling)」に強力な薬効成分が含まれていることが判明する;ある消費者が深刻な有害影響を経験した
2. HSA は2023年に112万件以上の違法健康製品を押収し、オンラインの1万2,000件以上の違法製品リストを削除した

【FSSAI】
1. 病院は健康的になる! FSSAI は全国の500病院を「正しい食生活キャンパス」として認証

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・ProMED-mail1件