HHCを添加した食品の問題

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国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。ドイツでヘキサヒドロカンナビノール(HHC)を添加した食品通が問題になっている。FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会は二酸化チタンのADIを「特定しない」とした。国際がん研究機関(IARC)会合において、パーフルオロオクタン酸(PFOA)とパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の発がん性が評価した。

注目記事

【BfR】食品中のヘキサヒドロカンナビノール(HHC):精神活性作用の兆候

 ヘキサヒドロカンナビノール(HHC)はカンナビノイド物質群に属する。その化学構造は、大麻草(Cannabis sativa L;アサ)に含まれるテトラヒドロカンナビノール(Δ9THC)と類似している。しかし、Δ9-THCとは異なり、大麻草には少量しか含まれず、主に人工的(化学合成で)に生産される。2021年末に米国で初めて登場し、欧州では2022年5月に初めて報告された。2022年12月までに、EU加盟国の70%でHHC製品の存在が確認されている。HHCは主に電子タバコのリキッドへの使用や、HHCオイルの形態で提供されている。しかし、ワインガムのような消費者が食品として認識する可能性がある製品も確認されており、今回、それら製品の摂取について評価を実施した。

※ポイント:ドイツではHHCを添加した食品の流通が問題になっているようです。今回のBfRの評価によるとワインガム1個でも精神活性の作用(陶酔感)が誘発される可能性があるとしています。日本でHHCは令和4年3月に指定薬物に指定されています。

【別添 WHO】JECFA第97回会合における二酸化チタンの評価

 FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会(JECFA)の第97回会合が、2023年10月31日〜11月9日にローマで開催された。本会合において二酸化チタン(TiO2:INS171)の安全性評価が行われ、前回(第13回)と同様に、許容一日摂取量(ADI)を「特定しない(not specified)」と結論された。また規格モノグラフについても、アルミナ(酸化アルミニウム)とシリカ(二酸化ケイ素)の含有量に関する規格が削除されるなどの改訂が行われた。

※ポイント:EUで食品添加物としてのTiO2の使用が禁止される根拠となった欧州食品安全機関(EFSA)の評価では、遺伝毒性の懸念が排除出来ないという理由からもはや食品添加物として安全とは考えられないとの結論が出されました。今回のJECFAの評価では、TiO2のような難溶性の粒子状物質に関する試験法の限界から生じるデータの不確実性を認めてた上で、入手可能なすべてのデータをもとに食品添加物TiO2の遺伝毒性について説得力のある根拠はないと結論しています。

【別添 WHO】IARCによるPFOAおよびPFOSの発がん性評価

 2023年11月7日〜14日にリヨンで開催された国際がん研究機関(IARC)モノグラフ第135会合において、パーフルオロオクタン酸(PFOA)とパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の発がん性が評価された。その結果、IARCはPFOAを「ヒトに対して発がん性がある(グループ1)」、PFOSを「ヒトに対して発がん性がある可能性がある(グループ2B)」に分類した。

※ポイント:PFOAは再評価、PFOSは初めての評価です。前回(2014年)評価ではPFOAはグループ2Bに分類されましたが、今回の評価では新しい研究データから、実験動物における発がん性の「十分な根拠(sufficient)」と、暴露されたヒトにおけるメカニズムの「強い根拠」(strong)があると判断されグループ1と評価されています。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.25(2023.12.06)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202325c.pdf
食品安全情報(化学物質)No.25(2023.12.06)別添
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202325ca.pdf

今号の目次

【WHO】
1. WHO は5才以下の子供の急性栄養不良対策の新しいガイドラインを発表
2. 公衆衛生殺虫剤管理:コースモジュール

【FAO】
1. Codex

【WTO】
1.年次農業シンポジウム 食品の違法取引と食品偽装

【EC】
1. 欧州委員会は2024年の健康と食品査察及び解析作業計画を発表
2. グリホサート
3. 農業漁業委員会での Stella Kyriakides コミッショナーのスピーチ-NGT’s
4. EU 新規食品カタログ改訂版
5. 査察報告書
6. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 燻製香料:香料に関する EFSA の作業グループ議長 Wim Mennes 氏との Q&A
2. モンテネグロの1〜9歳児の全国食事調査―外部科学報告書
3. エピソード12―毒見:食品中の汚染物質
4. 食品酵素関連
5. 新規食品関連
6. 食品接触物質関連
7. 農薬関連
8. 飼料添加物関連

【FSA】
1. 学校食基準コンプライアンスパイロット:発見と実現可能性の調査
2. 食品取扱者の間での薬剤耐性(AMR)に関する知識
3. 食品衛生評価制度(FHRS)Food and You2:第6回
4. ウェールズ全土で最高衛生評価を獲得した食品事業者の数が過去最多になった
5. 食物過敏症の子供及び成人における食品に対する反応とニアミス
6. FSA は病気になる「Cali-Gold」チョコレートバーについて警告する
7. リコール情報

【FSS】
1. 食品法実施規範2019

【UKHSA】
1. 健康保護報告

【FSAI】
1. リコール情報

【BfR】
1. 燻製香料は健康に有害な物質を含む可能性がある-EFSA による再審査
2. リスク評価とコミュニケーションに焦点を当てる-FSA と BfR との間の食品安全に関する科学的意見交換会
3. 世界的につながる-食品安全性を高めるための韓国とドイツの協力
4. オメガ-3脂肪酸サプリメントは心臓病患者の心房細動リスクを増大させる可能性がある
5. 化学物質とは何かを知る
6. 食品中のヘキサヒドロカンナビノール(HHC):精神活性作用の兆候7. 異なる魚種の摂取による PCDD/F 及びダイオキシン様 PCB 並びに PFAS の摂取に関する暴露評価

【ANSES】
1. 毛髪を特定の化学物質への暴露の根拠として使用する

【FDA】
1.2023年度以降の CVM の抗菌剤に対する責任
2. 高濃度の鉛の調査:Cinnamon Applesauce パウチ(2023年11月)
3. FDA は重要食品製造業者向けの冗長リスク管理計画に関する情報を共有する
4. FDA は低脂肪ヨーグルトと無脂肪ヨーグルトの SOI を取り消し、ヨーグルトの規格を改正する最終規則に関する小規模企業向けコンプライアンスガイドを発表する
5. FDA は特定の NAC 製品に対する施行裁量に関する最終ガイダンスを発表
6. FDA はステークホルダーを支援する食品トレーサビリティ規則に関する3回目の新しい FAQ とツールを展開する
7. 消費者への助言
8. 警告文書
9. リコール情報

【EPA】
1. EPA は人々を難分解性で生物蓄積性の有害な化学物質への暴露から守るためのより強い規則を提案
2. Biden-Harris 政権は、鉛・銅規則の強化を提案
3. Biden-Harris 政権は食品ロスと廃棄を減らす国の戦略案を発表

【USDA】
1. 請願
2. USDA は遺伝子組換えを用いて開発されたトウモロコシを規制解除

【FSANZ】
1. 食品基準通知

【TGA】
1. TGA の規制するもの、しないもの

【MPI】
1. 公衆衛生警告

【香港政府ニュース】
1. 違反情報

【SFA】
1.2023年シンガポール国際農業・食料ウィークの主なハイライト

別添

【WHO】
1. JECFA 第97回会合2023年10月31日〜11月9日:二酸化チタン(TiO2)評価
・毒性学的評価と食事暴露評価の情報と結論
・背景情報(WHO 発表)

2. 国際がん研究機関(IARC)
・IARC モノグラフが PFOA 及び PFOS の発がん性を評価
・PFOA 及び PFOS の発がん性に関する IARC モノグラフ評価‐Q&A-