国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。WHOは水・公衆衛生・衛生に対する不適切な知識による持続的な健康リスクの存在を指摘している。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所第11回夏季アカデミーを開催。その目的の1つは、欧州の健康リスク評価制度を世界に普及させ、国際的に標準化することである。
注目記事
【WHO】安全ではない水と衛生知識不足による健康被害
世界保健機関(WHO: World Health Organization)は、2023年9月1日に刊行物「Bulletin of the World Health Organization(Volume101, Number9, September2023)」を発行し、不適切な「水・公衆衛生・衛生知識」(WASH:water, sanitation and hygiene)による持続的な健康リスクの存在を指摘する記事を掲載した。WHOは、これらの基礎的な保健サービスの普及が進めば、年間最大140万人の死亡を防ぐことができると推定している。
- Bulletin of the World Health Organization(Volume101, Number9, September2023)
- https://www.who.int/publications/journals/bulletin/
安全に管理された水・衛生設備を2030年までに誰もが利用できるようになることを掲げた「持続可能な開発目標(SDG)6」を目指し、大きな成果が得られている一方で、いまだに数十億人が、安全に管理された水・衛生設備を利用できず、自宅で石鹸と水による手洗いができずにいる。
WASHに関連する資金不足や組織的な問題などの課題は存続しているが、本記事は、対象を絞った投資、ガバナンスの強化、データの最適化、飲用水・衛生基準の遵守などによって速やかな前進が期待できる可能性を強調している。これらの施策により、健康の増進、疾患拡散の抑制、および、とくに気候変動や都市化などの問題に対応するWASHのレジリエンス強化が推進される。
【ドイツ】食品安全のため国際的な科学交流を強化
ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR: Bundesinstitut für Risikobewertung)は2023年6月26日〜7月7日に第11回夏季アカデミーを開催した。このアカデミーは2012年から開催されており、これまでに70カ国以上から1,000人以上の科学者がこの研修コースに参加している。今回は34人の研究者が参加し、国境を越えた食品安全に焦点が当てられた。
BfR夏季アカデミーの目的の1つは、欧州の健康リスク評価制度を世界に普及させ、国際的に標準化することである。これは、世界のほとんどの国が食品・動物用飼料の輸出入を世界的に行っているという認識にもとづいている。同時に、国際的な製品チェーンにおいて食品の多様化が進んでおり、健康リスクの科学的評価や情報提供がますます求められている。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(微生物)No.21(2023.10.11)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202321m.pdf
今号の目次
【世界保健機関(WHO)】
1.「安全ではない水、安全ではない公衆衛生および衛生知識不足」による持続的な健康被害
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 小型のカメに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Stanley、
S. Pomona およびS. Poona)感染アウトブレイク(2023年9月29日付更新情報)
2. エノキダケに関連して複数州にわたり発生したリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイク(2023年4月7日付最終更新)
3. 小麦粉に関連して複数州にわたり発生したサルモネラ(Salmonella Infantis)感染アウトブレイク(2023年6月7日付最終更新)
【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)
【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 食品安全のため国際的な科学交流を強化(ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)の第11回夏季アカデミー)