国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国のCDCはじめ当局は複数州で発生しているサルモネラ感染アウトブレイクを調査しており、疫学データはPapa Murphy’s社製の生のクッキー生地が感染源となっている可能性を示している。CDCは生のクッキー生地を喫食しないよう繰り返し注意喚起を行っている。
注目記事
【米国】生のクッキー生地に関連のサルモネラ
米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Enteritidis)感染アウトブレイクを調査するため、さまざまなデータを収集している。
疫学データは、Papa Murphy’s社製の生のクッキー生地にサルモネラ汚染の可能性があ
り、本アウトブレイクの感染源となっている可能性があることを示している。
2023年5月23日時点で、S. Enteritidis アウトブレイク株感染患者が6州から計18人報告されている。患者の年齢範囲は14〜68歳、うち15人が女性である。人種・民族に関する情報が得られた患者14人は全員がヒスパニック系以外の白人であると報告した。
各州・地域の公衆衛生当局は、患者が発症前1週間に喫食した食品に関する聞き取り調査を行っている。これまでに聞き取りが行われた患者14人のうち12人が、Papa Murphy’s社製の食品の喫食を報告した。この12人のうち、9人は Papa Murphy’sブランドの生のチョコレートチップクッキー生地「CHOCOLATE CHIP COOKIE DOUGH」または生のチョコレートバー生地「S’MORES BARS」の喫食を報告し、1人はPapa Murphy’sブランドの「CHOCOLATE CHIP COOKIE DOUGH」を使用した加熱済みのクッキーの喫食を報告した。
Papa Murphy’s社は、生のチョコレートチップクッキー生地「CHOCOLATE CHIP COOKIE DOUGH」および生のチョコレートバー生地「S’MORES BARS」の販売を一時的に停止している。CDCは消費者に対し、冷蔵庫や冷凍庫を確認の上、当該製品があれば全て廃棄するよう注意喚起を行っている。CDCはこれまでも、生での喫食が安全であるという表示がない場合は、生のクッキー生地を喫食しないよう繰り返し注意喚起を行っている。
【米国】生魚に関連のサルモネラ
米国疾病予防管理センター(US CDC)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、複数州にわたり発生したサルモネラ(Salmonella Litchfield)感染アウトブレイクを調査した。2022年12月14日時点で本アウトブレイクは終息している。
疫学・追跡調査および検査機関での検査から得られたデータは、Mariscos Bahia 社が飲食店に販売した生鮮(冷凍されていない)魚が本アウトブレイクの感染源となったことを示した。
患者の発症日は2022年6月14日〜10月23日であった。患者の年齢範囲は1〜80歳。情報が得られた患者32人のうち15人が入院した。死亡者は報告されなかった。
各州・地域の公衆衛生当局は、患者が発症前1週間に喫食した食品に関する聞き取り調査を行った。聞き取りが実施された患者18人のうち13人が、生魚、寿司またはポキの喫食を報告した。
FDA の追跡調査から、これらの患者クラスターの患者が喫食した生鮮サーモンの供給元がMariscos Bahia社であったことが特定された。同社が当該製品を出荷したのは2022年6月14日〜10月17日であった。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(微生物)No.12(2023.06.07)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202312m.pdf
今号の目次
【汎アメリカ保健機構(PAHO)】
1. コレラの緊急事態は回避可能である
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 生のクッキー生地に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella
Enteritidis)感染アウトブレイク(2023年5月23日付初発情報)
2. 生魚の喫食に関連して複数州にわたり発生したサルモネラ(Salmonella Litchfield)感染アウトブレイク(2022年12月14日付最終更新)
【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. 赤痢 -2019年次疫学報告書
【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)
【欧州食品安全機関(EFSA)】
1.「Science Meets Policy」会議:食品由来の脅威への取り組みに次世代シークエンシング法を活用
【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 消費者の健康保護のためにチリと協力