はちみつの食品偽装対策を強化

No.09(2023.04.26)

はちみつ(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。欧州委員会の調査によると、EUへ輸入された蜂蜜320品の約半数に他の糖類が混入し違反の可能性があった。米国環境保護庁は、滅菌に使用されるエチレンオキシドについて、労働者の健康を保護するために新しい規制を提案した。シンガポール保健科学庁は強力な医薬品成分が含まれている健康食品について注意を呼びかけている。

注目記事

【Ruokavirasto】欧州市場の蜂蜜の異物混入疑い

 フィンランド食品局(Ruokavirasto)が、欧州委員会がEU加盟国を対象に実施した蜂蜜への異物混入(adulterated)に関する調査結果を紹介した。EUへ輸入された蜂蜜320品のうち147品(46%)に他の糖類が混入し違反の可能性があることが確認された。

※ポイント:EUでは、理事会指令2001/110/ECのもと、蜂蜜は天然のものであり、加工せずにその純度を維持することを目指しています。そのため指令では、食品添加物をはじめ蜂蜜以外の他の成分を添加してはいけないこと、そして蜂蜜に含まれるスクロース(ショ糖)の上限量を定めています。

 蜂蜜は他の一般的な糖類よりも高価なため、より安価な糖類を添加して増量するという偽装が行われているようです。食品安全情報(化学物質)2023年6号でご紹介したカナダの食品偽装調査でも、蜂蜜が他の品目よりも偽装率が高かったと報告されていました。各国で食品偽装への対策が強化されていますが、蜂蜜は食品偽装のターゲット調査の対象となる品目の一つのようです。

【EPA】公衆衛生を守りエチレンオキシド暴露を減らすため、新しい基準を提案

 米国環境保護庁(EPA)は、医療機器や特定のスパイス類の滅菌に使用されるエチレンオキシド(EtO)のガスにさらされる労働者の健康を保護するために、より厳しい大気排出基準などを含む新しい規制を提案した。

※ポイント:EUで数年前から食品からの検出が問題になっているEtOですが、米国ではハーブ/スパイス類の病原性微生物汚染(とくにサルモネラ)による食中毒防止のために使用を認め、その残留基準値(トレランス)も設定しています。食品への使用を禁止して検出されたら違反であると判断しているEUと、労働環境については保護するものの、食品についてはトレランスを設定した上でEtO処理された食品の喫食はリスクにはならないと判断している米国は対照的です。

 どのような措置を講じるかは国/地域の方針によりますが、EUの措置が健康へのリスクが小さいのに大量の食品回収につながっていることを考えると、食料安全保障がますます深刻な問題になりつつある中で、科学的にリスクの大きさを考えたリスク管理措置の選択がこれまで以上に求められていると感じています。

【HSA】HSAの警告

 シンガポール保健科学庁(HSA)は、「D’SIHAT HERBA GOUT & SENDI」と「Yanwo Chongcao Yanyin Qinfei Huatan Dan」という2つの製品に、消費者に深刻な有害影響を引き起こす可能性のあるステロイドや他の強力な医薬品成分が含まれているとして注意を呼び掛けている。ステロイド誘発性の有害事象が2名報告されている。

※ポイント:国内でもステロイドを含む茶の販売が問題になりましたが、ステロイドは海外で健康被害が出ているいわゆる健康食品から検出される代表的な成分の一つです。医薬品と同じように何らかの効果があると強調している製品には注意し、摂取しているうちに具合が悪くなった場合にはすぐに医師に相談しましょう。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.09(2023.04.26)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202309c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 出版物

【FAO】
1. 極小、小、中規模企業のフードロスホットスポットを見つけて対策する
2. Codex

【EC】
1.「ミツバチと農家を救え!」:欧州市民請願の100万人の署名が EU 共同立法者に環境への野心を維持するよう伝える
2. WHO/ECDC 報告書:欧州地域で薬剤耐性が患者の安全性を脅かしている
3. パブリックコメント募集
4. 査察報告書
5. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 可塑剤に関する広範な文献レビュー
2. 新規食品関連
3. 食品接触物質関連
4. 農薬関連
5. 飼料添加物関連
6. 遺伝子組換え関連

【FSA】
1. 生及び加工した牛肉 DNA に含まれる馬 DNA 及び豚 DNA の相対定量を目的としたリアルタイム PCR 法の試験室間共同研究フェーズ1及びフェーズ2
2. より良く食べる、より良く選ぶ
3. 第8回2022年 Eating Well Choosing Better(EWCB)追跡調査

【ANSES】
1. 植物寄生性線虫類:新たな廃棄物管理解決法

【Ruokavirasto】
1. 欧州市場の蜂蜜の異物混入疑い

【FDA】
1. 乳幼児向け食品中の鉛に対するアクションレベルについての業界向けガイダンスに関する情報更新
2. 規格食品のナトリウムを減らすための塩代用品を許可する提案をする
3. CVM GFI#50対象動物及びヒトの食品安全、医薬品の有効性、乳頭消毒製品の環境及び製造研究
4. FDA の措置により、最も脆弱な集団の汚染物質への暴露が低減している
5. 栄養に関する取り組みを通じて、食事に関連する慢性疾患の蔓延に取り組む
6. フードサプライを保護する査察
7. ダイエタリーサプリメント成分ディレクトリ
8. 食用の植物新品種に、食物アレルゲンであるタンパク質の遺伝子を導入することの食品安全リスクに関して産業界に書簡を発行
9. ヨーグルトの同一性規格を改定
10. 消費者向けの新しい GMOs 教材「Feed Your Mind」を発表
11. FDA は植物性乳代替品のラベル表示に関するガイダンス案を発表
12. FDA は食料品のオンライン購入における食品表示に関する情報提供依頼を発表する
13. 公示
14. 警告文書

【EPA】
1. 公衆衛生を守りエチレンオキシド暴露を減らすため、新しい基準を提案
2. 将来の包括的環境対処・補償・責任法(CERCLA)のもとでの規制の可能性について情報とデータを求めることで PFAS 戦略的ロードマップを進める重要な一歩を踏み出す
3. EPA は子どもの重金属暴露防止に役立つ新しいオンラインリソースを公開する

【USDA】
1. 遺伝子組換えによって開発されたトウモロコシの規制解除のための環境文書案にパブリックコメント募集(2023年5月11日まで)
2.5月10日の2025食事ガイドライン助言委員会第二回会合に登録しよう
3. 科学者がヘンプ種子固形飼料を与えられた牛の肉を摂取することによるヒトのカンナビノール暴露の可能性を評価する
4. 米国の農産物輸出業者にとっての厄介な(くっつく)問題を解決することでメタン排出を減らすのに役立てる

【FTC】
1. 約700のマーケティング会社に、製品の宣伝文句が裏付けられない場合、民事上の罰則に直面する可能性があると警告

【CFIA】
1. Share your thoughts:動物衛生規則パート15(識別とトレーサビリティ)の変更案に関する協議

【AAFC】
1. カナダは日本の牛肉市場への完全なアクセスが可能になる

【FSANZ】
1. 食品基準ニュース
2. 食品基準通知

【APVMA】
1. 農薬規制ニュースレター

【TGA】
1. キノコ製品に関するガイダンス

【MPI】
1. 長期展望概要説明

【香港政府ニュース】
1. ニュースレター
2. 違反情報

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 東西食品のコーヒーミックスの異物はシリコーンパッキンと確認、行政処分など措置
3. 青少年、高カフェイン飲料の過剰摂取に注意
4. 食薬処、日本産食品の放射能安全管理を慎重に行っています
5. あなたの食生活パターンは?
6. 苦いミニトマトの出荷制限及び自主回収勧告
7. ズッキーニカボチャ(주키니 호박)関連
8. 残留農薬が基準超過で検出された輸入「唐辛子」の回収措置
9. 福島原子力発電所汚染水関連 IAEA モニタリング TF 第3次訪日ミッション報告書発表
10. 有害物質の人体へのリスク評価、さらにスマートにさらに安全に

【SFA】
1. 食用及び飼料用の昆虫
2. トマトには本当に問題があるのか?
3. Forum Replies:食品安全は共同責任
4. 食品(修正)規則2023
5.43の食品施設のライセンシーが、食品安全のためのマスク/スピットガード要件への違反について警告された

【HSA】
1. HSA の警告:「D’sihat Herba Gout & Sendi」と「Yanwo Chongcao Yanyin Qinfei Huatan Dan」には強力な医薬品成分が含まれていることがわかった;1人が入院、もう1人は深刻な有害影響

【FSSAI】
1. メディアメモ

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・ProMED-mail1件