国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。WHOはパーおよびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)に対する飲料水水質ガイドライン(GDWQ)の更新を検討している。ニュージーランド第一次産業省は、食品の健康スター格付システムの更新版を発表した。米国FDAは食品安全近代化法(FSMA)のトレーサビリティに関する最終規則を発行した。
注目記事
【WHO】パーおよびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)
世界保健機関(WHO)はパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とパーフルオロオクタン酸(PFOA)を中心とするパーおよびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)に対する飲料水水質ガイドライン(GDWQ)の更新を検討している。現在、背景文書案を公開し、2022年11月22日までコメントを募集する。その中で、暫定ガイドライン値(pGV)としてPFOSおよびPFASに対して個別のpGVとして0.1μg/L、総PFASに対しては複合pGVとして0.5μg/Lが提案されている。
※ポイント:これまで飲料水中のPFASについてWHOのガイドライン値は示されていませんでした。そのため現状では、各国でそれぞれ異なった指標値が設定されています。今回提示された暫定ガイドライン値は、日本の水質管理目標の目標値(暫定:PFOSとPFOAの合算値として50ng/L)よりも高い値です。今後、寄せられた意見を反映して、どのような最終版となるのか注目しておく必要があるでしょう。
【MPI】強化された健康スター格付は砂糖と塩に厳しくなった
ニュージーランド第一次産業省(MPI)は、食品の健康スター格付(Health Star Rating: HSR)システムの更新版を発表した。更新版では、砂糖や塩を多く含む製品の評価基準が下げられるなどの変更がなされた。現時点では製造業者によるシステムの利用は任意であるが、2025年までに利用率が70%という目標に達しない場合、政府はこのシステムの義務化を検討する。
※ポイント:オーストラリアやニュージーランドでは、その食品がどの程度健康的なのかをラベル上に星の数(0〜5:数が多いほど健康的)で示し、同じタイプの製品どうしでどちらが健康的なのかを星の数で比べられるようにしています。食品分野では、消費者がより健康的な食品を選択できるようにする制度作りが各国政府にとっての課題の一つで、今回ご紹介したシステムを含め、さまざまな取組が行われています。
【FDA】FSMAが提案した食品トレーサビリティ規則
米国食品医薬品局(FDA)は、食品安全近代化法(FSMA)のもと食品のトレーサビリティに関する最終規則を発行した。これは、汚染されている可能性のある食品をより迅速に特定し、市場から迅速に除去することを容易にすることを目的とする。遵守日は2026年1月20日。
【FSANZ】ポピーシードのリコール
オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)は、ヒトが摂取すると中毒を起こす「テバイン」を含む可能性があるとして、一部のポピーシード(ケシの実)の製品についてリコールを発表した。一部の州で摂取した人の症例が報告されている。通常、テバインを多く含む品種は医薬品用となり、食用として栽培された品種は検出可能な濃度のテバインをほとんどまたは全く含まない。
(安全情報部第三室)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.24(2022.11.22)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2022/foodinfo202224c.pdf
今号の目次
【WHO】
1. パー及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)
2. 出版物
【IAEA】
1. 突然変異育種とは何か?
【FAO】
1. Codex
【EC】
1. 抗菌剤耐性データ:EU の抗菌剤の使用は減少しているがまだやるべきことはある
2. ダイオキシン類及びダイオキシン様 PCBs の最大基準値の改訂
3. SCHEER 水枠組み指令優先物質の環境基準案についての科学的意見
4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. 食品安全の推進:「ONE-Health, Environment & Society―2022年会議」からの戦略的助言
2. 非標的陸生生物の植物保護製品への暴露評価シナリオの開発支援
3. EFSA 初のポッドキャスト「SCIENCE on the MENU」を聴こう
4. 新規食品関連
5. 食品接触物質関連
6. 農薬関連
7. 遺伝子組換え関連
8. 飼料添加物関連
【FSA】
1. 科学諮問委員会及び合同専門委員会のレビュー
2. リコール情報
【FSS】
1. 食品犯罪コントロール戦略
2. 研究でスコットランドの食事には食物繊維が不足していることが明らかになる
【FSAI】
1. 食品安全会議はオンライン食品配達の傾向を検討する
2. リコール情報
【BfR】
1. ミッション:安全第一-消費者の健康を守るための20年間の取り組み
2. 使命:安全な日常-BfR は20周年を迎える
3. 危機の際だけでなく、信頼が不可欠な理由
4. BfR の論文紹介
5. 毒性試験の要件策定:第3回タトゥーインクに関する BfR の専門家会議
6. 研究:動物用飼料としてのヘンプはウシの健康に影響を与える可能性がある
7. 製品と食品安全は信頼を得ている
【ANSES】
1. 燃料の吸い上げ:中毒のリスクに注意
【Ruokavirasto】
1. 食品偽装を暴くには協力が鍵
【FDA】
1. FSMA が提案した食品トレーサビリティ規則
2. FDA のサイバー近代化行動計画
3. 消費者向け情報
4. おもちゃや食品、漫画のキャラクターのように見える違法な電子タバコを販売する企業に FDA が警告する
5. FDA は心血管疾患治療を表示するダイエタリーサプリメントの販売する7社に警告する
6. 警告文書
【EPA】
1. EPA はキトサンを最小リスク農薬免除の対象となる有効成分リストに加える
2. EPA は環境中の化学物質混合物のリスク評価を改善するための770万ドルの研究費を与える
【USDA】
1. USDA は遺伝子組換えで開発されたアメリカグリの規制解除のための環境文書案にパブリックコメント募集
【US GAO】
1. 食品安全:FDA の食品の製造、包装、輸送に使われる物質への監視は強化できる
【CFIA】
1. 食品安全検査報告
【FSANZ】
1. ポピーシードのリコール
2. 食品基準ニュース
3. 食品基準通知
【TGA】
1. リコール情報
【MPI】
1. 強化された健康スター格付は砂糖と塩に厳しくなった
【香港政府ニュース】
1.「生食用牡蠣-食品事業者向け食品安全ガイドライン」案
2. 違反情報
【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 輸入キャンディ・チョコレート類の通関検査の結果、1件不適合
3. 食薬処、細胞培養食品など新技術適用食品の認定規定を用意
4. 代替食品の食感を向上させるメチルセルロースの使用基準を拡大
5. 政府合同で「食品安全」関連の公益侵害行為に対する集中申告期間を運営
6. 輸入農産物単純加工品の残留農薬通関検査の結果、3件不適合
【SFA】
1. 食料安全保障の確保にも消費者は大きな役割を果たす
2. 食品安全規制基準:化学保存料
3. シンガポールと持続可能なフードシステム、他
4. マレーシア産カイランの輸入規制
5. 食品輸入業者及び製造業者表示ガイドライン
【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から