培養肉「細胞ベースの食品」に

No.23(2022.11.09)

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国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。FAOとWHOはオンライン会議を開催し、専門家会合では「細胞ベース」という用語を用いることが合意された。EUにおける国民の化学物質への暴露量の測定とその健康影響の評価を調和させることを目的とした欧州初の大規模プロジェクトが2022年6月下旬に終了し、論文や消費者向け資料などが公開されている。

注目記事

【FAO】率直に言う:細胞ベースの食品の「作業」用語の確立

 国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)は2022年11月1日から4日にシンガポールにおいて、細胞ベースの食品(cell-based food)に関する専門家会合を共同開催する予定である。そのプレセッションとして、10月6日に「食品安全と細胞ベースの食品:なぜ用語が重要か?」というオンライン会議を開催した。オンライン会議では、専門家会合に向けて作成された背景文書をもとに議論され、似たような用語が乱立する中で、「細胞ベースの食品」という用語は混乱が少なく、便利で包括的であり、一般的に消費者に受け入れられているとの研究結果に基づき、専門家会合では「細胞ベース」という用語を用いることが合意された。

※ポイント:人工培養した細胞から製造される動物性食品について、初めて国際的な専門家会合が開催されることになりました。その結果をもとに、各国での安全性評価や規制の枠組みなども前進するものと思われます。

【ANSES】ヨーロッパ人の化学物質暴露の実態を把握するためのデータの調和

 欧州ヒトバイオモニタリングイニシアチブ(HBM4EU)は、EUにおける国民の化学物質への暴露量の測定とその健康影響の評価を調和させることを目的とした欧州初の大規模プロジェクトであった。2017年1月1日に開始し、2022年6月下旬に終了した。本プロジェクトには欧州28カ国から100を超える研究機関が参加し、ヒトのバイオモニタリング研究として、血液、尿および毛髪に含まれる化学物質の内部濃度に焦点を当てた研究が実施された。

※ポイント:HBM4EUプロジェクトは、EUが研究とイノベーションを推進するために資金助成を行うHorizon2020の枠組みのもと実施された研究プロジェクトです。専用サイトを見ると非常に大規模なプロジェクトだったことが理解できます。専用サイトでは、HBM4EUプロジェクトの紹介とともに、優先的に選ばれた18の化学物質(アクリルアミド、金属各種、カビ毒、農薬、PFAS、ビスフェノール類、PAHs、他)について収集されたバイオモニタリングデータや研究結果に基づく政策提言、研究結果(学術論文など)、消費者向けの資料(ファクトシート、インフォグラフィック)、などが公開されています。

【EFSA】リスク評価におけるベンチマーク用量アプローチの使用に関するガイダンス

欧州食品安全機関(EFSA)は、ベンチマーク用量アプローチの使用に関する既存のガイダンスをFAO/WHO IPCS EHC240のChapter5(2nd,2020)に整合させるよう依頼され、改訂版を作成した。EFSAは、リスク評価において基準点(Reference Point)の導出には、従来から用いていた無毒性量(NOAEL)アプローチよりもベンチマーク用量(BMD)アプローチの方が科学的により発展した方法であることを再確認した。改訂による大きな変更点は、BMDアプローチにおいてベイズモデル平均化の利用を強く推奨していることである。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.23(2022.11.09)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2022/foodinfo202223c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 毎年鉛中毒で約100万人が死亡、子供の方が長期的な健康影響に苦しむ
2. 食物アレルゲンのリスク評価についての FAO/WHO 合同特別専門家会合-パート4:食物アレルゲン免除のレビューと制定
3. 出版物

【FAO】
1. 率直に言う:細胞ベースの食品の「作業」用語確立
2. 魚のことを考える、魚を食べる
3. FAO と IAEA は農業食料システムのための平和的核技術について協力を拡大する
4. 農業食料状況2022
5. Codex

【EC】
1. 一般食品法と EFSA:人命と消費者利益を守る20年
2. 査察報告書
3. 消費者の安全に関する科学委員会(SCCS)
4. 水枠組み指令優先物質の環境基準案に関する予備的意見にパブリックコメント募集
5. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. ヒドロキシアントラセン誘導体類の安全性に関する技術的支援要請についての技術的報告書
2. リスク評価におけるベンチマーク用量アプローチの使用に関するガイダンス
3. 食品酵素関連
4. 食品接触物質関連
5. 農薬関連
6. 遺伝子組換え関連
7. テーマ(コンセプト)ペーパー:EU における化学物質への統合暴露を前進させる
8. 飼料添加物関連
9. YouTube 動画

【FSA】
1. 迅速なリスク評価:食品中のヒマワリ油が精製された菜種油で代用された場合、英国の消費者に対するエルカ酸の長期的なリスクについて
2. Food Hygiene Rating Scheme のデータにアクセスする方法を変更する
3. オンラインで販売される食品に対する消費者の態度を調査する定性研究
4. 食品と環境中の放射能(RIFE)報告書2021

【DEFRA】
1. 遺伝子技術法案が、我々の時代の最も差し迫った環境問題に取り組む
2. POPs と提案された物質の情報募集

【ASA】
1. ASA 裁定

【FSAI】
1. リコール情報

【BfR】
1. ニコチンパウチの健康リスク評価

【ANSES】
1. 動物とヒトの健康をより良く守るための新しい欧州プロジェクト
2. ヨーロッパ人の化学物質暴露の実態を把握するためのデータの調和
3. ビタミン D:食品に内分泌かく乱物質の表示はない4. 食べられないカボチャに注意!

【FDA】
1. FDA は外国食品施設又は外国政府による査察拒否に関する最終ガイダンスを発行する
2. 食品分析試験所認定(LAAF)に関する FSMA 最終規則
3. 有害事象報告に関する調査:French Lentil & Leek Crumbles(2022年6月)
4. FDA は食品由来の疾患やその他の有害事象から消費者を保護するために活動する
5. FDA は食品由来のアウトブレイクにどのように対応するか?
6. FDA 小売食品規制プログラム基準自己評価及び検証監査ワークショップ
7. FDA は着色料認証料引き上げを提案する
8. 製造食品規制プログラム基準2022の更新
9. 消費者向け情報
10. 警告文書

【NTP】
1. トランスレーショナルトキシコロジー部門による報告書

【EPA】
1. 米国コミュニティの鉛暴露と格差を減らすための鉛戦略
2. イリノイ州3M Cordova
3. 汚染物質候補リスト5

【USDA】
1. APHIS は規制状況レビュー回答を発表:Infinite Enzymes, Inc.,社のトウモロコシと
J.R. Simplot ジャガイモ

【FSANZ】
1. 食品基準通知

【TGA】
1. Barbie drug に注意:メラノタン使用の危険性

【香港政府ニュース】
1. ニュースレター
2. プレスリリース
3. 違反情報
4. リコール情報

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 消費者のニーズを反映した多様な患者用食品基準を設けます
3. 食薬処、官民協業強化で消費者保護の先頭に立つ!
4. オンライン販売の多消費農水産物に対する先制的安全管理を強化
5. 養殖魚類計433件に対する輸入通関検査の結果、4件不適合・措置
6. 残留農薬基準が超過検出された「カボチャの種」の回収措置

【SFA】
1. Global Summit on Regulatory ScienceにおけるDr Tan Lee Kim食品局局長兼副CEO の発言
2. 食品中の製造副生成物:グリシドールエステル類及び MCPD エステル類
3. リコール情報

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・ProMED-mail4件