国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。世界保健機関(WHO)の国際食品安全当局ネットワーク(INFOSAN)事務局は、2022年の第1四半期に対応した事例の件数と内訳を発表した。欧州食品安全機関(EFSA)は、ポルトガル国民におけるアニサキスのリスクと消費者のリスク認識の調査を行った。
注目記事
【WHO】国際食品安全当局ネットワーク(INFOSAN)2022年第1四半期報告
世界保健機関(WHO: World Health Organization)発。2022年の第1四半期に国際食品安全当局ネットワーク(INFOSAN)事務局は、世界保健機関(WHO)加盟の延べ141の国・領土が関連した計47件の食品安全事例に対応した。
このうち生物的ハザード関連の事例は25件で、その内訳は以下のとおりであった。
- サルモネラ属菌 9件
- リステリア(Listeria monocytogenes) 7件
- 大腸菌 5件
- セレウス菌 1件
- クロノバクター(Cronobacter sakazakii) 1件
- ノロウイルス 1件
上記以外の残り1件については生物的ハザードの詳細が不明であった。
非表示のアレルゲン/成分に関連した事例は11件で、その内訳は以下のとおりであった。
- 乳 3件
- 卵 2件
- ナッツ 2件
- アーモンド 1件
- ヘーゼルナッツ 1件
- ピスタチオ 1件
- 大豆 1件
物理的ハザード関連の事例は8件で、その内訳は以下のとおりであった。
- 金属 3件
- ガラス 2件
- 昆虫 1件
- マウス 1件
- プラスチック 1件
化学的ハザード関連の事例は3件で、その内訳は以下のとおりであった。
- エチレンオキシド 1件
- 3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン 1件
- ハザードの詳細不明 1件
INFOSAN事務局が本四半期に対応した上記47件の事例に関連した食品カテゴリーは以下のとおりであった。
- スナック・デザート・その他の食品 8件
- シリアル・シリアルベース製品 7件
- 野菜・野菜加工品 6件
- 複合食品 4件
- 乳・乳製品 4件
- ナッツ・油糧種子 4件
- アルコール飲料 2件
- 魚・水産食品 2件
- 卵 1件
- 食品添加物 1件
- 乳幼児用食品 1件
- 果物・果物製品 1件
- 果物・野菜ジュース 1件
- ハーブ・香辛料・調味料 1件
- 豆類 1件
- 食肉・食肉製品 1件
上記以外の残りの2件については原因食品が特定されなかった。
【欧州】ポルトガル国民におけるアニサキスのリスクと消費者のリスク認識
欧州食品安全機関(EFSA: European Food Safety Authority)発。
欧州食品リスク評価フェローシッププログラム(EU-FORA)による「魚の食品安全と人獣共通感染症:ポルトガルの漁師から最終消費者に至るまでの魚の喫食と微生物リスクに関する評価および認識」という標題の活動プログラムが、Interdisciplinary Centre of Marine and Environmental Research(CIIMAR:海洋環境学際研究センター)の主催でポルトガルのポルト市で行われた。その目的は、魚のアニサキス属汚染に関するポルトガル国民のリスク認識と考え方および感染予防方法の知識についての情報を収集すること、および同国民におけるアニサキス症のリスクを調査することであった。
ポルトガルではアニサキス症患者の報告は極めて少ないが、アニサキスアレルギー患者が確認されており、国民がアニサキスに曝露していることを示している。
アニサキス属に属する寄生性線虫は、魚由来の重要な人獣共通感染症であるアニサキス症(anisakiosis)の病原体である。ヒトは、アニサキスに汚染された魚を生または加熱不十分で喫食することによって感染する。感染すると胃腸炎症状およびアレルギー症状の両方を呈する。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(微生物)No.15(2022.07.20)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2022/foodinfo202215m.pdf
今号の目次
【世界保健機関(WHO)】
1. 国際食品安全当局ネットワーク(INFOSAN)2022年第1四半期報告(2022年1〜3月)
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. アイスクリームに関連して複数州にわたり発生しているリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイク(2022年7月8日付更新情報)
2. 小規模飼育の家禽類との接触に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ
(Salmonella Enteritidis、S. Hadar、S. Infantis、S. Typhimurium、S. Mbandaka)感染アウトブレイク(2022年7月13日付更新情報)
3. 包装済みサラダに関連して複数州にわたり発生した大腸菌 O157:H7感染アウトブレイク(2022年3月3日付最終更新)
【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:冷凍ホールカーネルコーン(粒のトウモロコシ)に関連して複数州にわたり発生したサルモネラ(Salmonella Enteritidis)感染アウトブレイク(2022年3月
11日付最終更新)
【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)
【Eurosurveillance】
1. オランダの食品由来アウトブレイクのサーベイランス結果(2006〜2019年)
【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 水産食品の安全性および魚による食品由来人獣共通感染症:ポルトガル国民におけるアニサキスのリスクおよび魚の喫食に関する消費者のリスク認識の調査